題名なんでしょう/雲野しっぽ
 
かにあるのに
忘れたりしないのに
掴めない心の光

(18)
無くなる事にすら
なにも感じなくなってしまって
明日の事も知らないくせに
放心しながら歯を磨く事

(19)
美しくて触れたくなるけど不安で
あけすけに笑って見せてから
太陽を眩しそうに見上げる事





(20)
日がかげってゆく
さよならと呟くたびに
そうならないでと心が叫ぶから
中身のない会話の
後ろに輝く大きな意味

(21)
光に惑わされないように
目を細めて見るけれど
すでに立っているその場所が
光で埋め尽くされている罠

(22)
自分ですらも気づかない内に
無意識の視線の切れ端に光る
歩む歩幅の小さな揺らぎに光る
キラキラと散る、淡い綺麗な欠片

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