詩の日めくり 二〇一四年十三月一日─三十一日/田中宏輔
ころを決めさせているものとして考えられるものをあげていけば
きりがないであろう
たとえば、それは、自分の父親の記憶
ぼくの父親が
ぼくや、ぼくの母親に向かって言った言葉とか
その言葉を口にしていたときに父親の顔に浮かんでいた表情や
そのときのぼくの気分とか
そのときの母親の顔に浮かべられた表情や
母親の思いが全身から滲み出ていたそのときの母親の態度とか
反対に、そのときの思いを必死に隠そうとしていた母親の態度とか
そのときの部屋や、食事に出かけたときのお店のなかでのテーブルの席とか
いっしょに旅行したときの屋外の場面など
その空間全体の空気というか雰囲気とかいったものであっ
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