空っぽの悲哀/泡沫の僕
 
泣いている君に、僕は優しい声をかけた。
背中をそっと擦り、優しさを装った。
君が泣きながら並べる意味不明な理由に、
「僕と同じだ…」と嘯いてみせた。
「分かるよ」そう言って、僕は一粒だけの涙を落とす。
そうやって君の悲しみから薄皮だけ剥ぎ取って
そっと自分の笑顔に被せた。
僕は声を上げて泣いた。
誰かが肩を抱いてくれるのをじっと待った。
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