生きるな   蒼風薫/エヴァル−ジュ
 
心はどこに在るのだろう
心は海に在るのだろう


今朝の静かな潮では
私が時を遡り


大人の靴を履いたまま
探しているのは子守唄

すでに無数のお魚は
シャンパン色の夢の中


けれども一人の私は
6歳の日々を泣くばかり

寂しい一人の私は
6歳の日々を抱きしめる


靴を脱いではいけないよ
それだけはしてはいけないよ


声する方を求めると


網にかかったお魚が
未だ死なない心持ち

どこかへ向かって諦めて
諦めきれずと諦めて

しょっぱい涙を振りまいて

本日開店『初雪屋』


あなたがささやかな詩をというなら
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