静脈から降る雪/泡沫の僕
 
少しずつ景色は冷えていく。
眺めた窓から見える景色は
徐々に白く靄がかったように曖昧になる。

凍えるような街の空気に
誰もが逃げ出そうとしている。
彼等は何処に向かうんだろう?

そこはきっと知らない誰かの体温で
生温くも心地の良い空間だろう。

ならば、僕は白い空気に身を投げ出そう。
僕の気持ちの悪い体温は
降った雪が凍らせていく。
そうやって全てはいずれ重く固くなる。

閉じた瞼の裏側から雪が落ちていく
重ねた睫毛を雪が覆い尽くしたら
見えるものは何もなく
血流もいずれ静かに止まっていく。
戻る   Point(4)