静脈から降る雪/泡沫の僕
少しずつ景色は冷えていく。
眺めた窓から見える景色は
徐々に白く靄がかったように曖昧になる。
凍えるような街の空気に
誰もが逃げ出そうとしている。
彼等は何処に向かうんだろう?
そこはきっと知らない誰かの体温で
生温くも心地の良い空間だろう。
ならば、僕は白い空気に身を投げ出そう。
僕の気持ちの悪い体温は
降った雪が凍らせていく。
そうやって全てはいずれ重く固くなる。
閉じた瞼の裏側から雪が落ちていく
重ねた睫毛を雪が覆い尽くしたら
見えるものは何もなく
血流もいずれ静かに止まっていく。
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