触れないでいる温度/
泡沫の僕
きっとそこには、母のような温かみがあるんだろう。
その微笑みも、その恥じらいも、その芯の強さも。
誰かが汚したとして、
揺らぐことは決してない。
それが妬ましくてーー
頬をわずかに紅潮させた僕は
握りしめたボールペンで机を叩く。
だから、僕のペン先は
卑しく曲がっている。
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