晩秋の赤子/
本田憲嵩
あめ色のクモの子、
尽きることがいちはやく約束された、
はかない太陽の子、
古い階段の手すりに金色の糸を垂らして、
もうほとんど冬にちかい、
まばゆい晩秋の陽に透けて、
とてもちいさくかがやいている、
とてもさびしいいのち、
穏やかで冷たい風に揺すられながら、
その細やかな手足を、
赤子のように活発にうごかして、
なんだかとても微笑ましい、
ぼくの指先をあるいて いる、
おそらくはとてもみじかい、
光の子、
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