遡皓譜/あらい
 
あの」と言いかけて、細く
たよりなく、くつひもを結ぶ灯台になる
汐の匂いがする窓 なりすまし、遊び
裁縫室にていま、宙に散らす

おぼえていたことをもう、忘れてく
やわらかになりすぎた机の傷に擦れて
くしゃくしゃに、ほどいてしまったらしく
じぶんではなく たにんになったあとの
わたしだっただれかの影をひきずって
会話は三十年前に終わっている。

うれま」たみたいな「つくにわりつて
ぐるう、と ななめのだんのをぼる

その香は中空で、さよならが途切れる
もともと手紙だった ガラスに白檀
鱗翅の寄木細工 くみあわさらない
あさいとは驟雨に、ちえのわのくし
イ二シャルの代わりに、浮雲としいて
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