知らない月の出る晩に/馬後の竹の子
賑やかな一日の終わり お別れと共に北風が吹いた
胸がつかえる寒さが 私に寂しさをおびき寄せた
喧騒がじわじわと何よりも羨ましい代物になる
街灯は暴く 私の弱々しい足取りを
ああ これを無くすには、この渇きを無くすには
あと どれだけの体温が必要か、言葉が必要か
一人で生きられないひ弱さ これが私の本性か
歩いた道の距離だけ孤独は寄り添うものだと思っていた
だが こんな晩は いまだ 街が白々しく明かりを差す
暗闇に心が掴まれる
満月が 心にあいた穴になる
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