雨の声は/クイーカ
 
雨の声は小さくて
耳をそばだてた僕をカラスが笑った
どんな時を過ごしたの
小川に溶け
また上昇し降りる
雨の声は
雨音ではない
雨音は
ごま粒のような擦れ音
雨の死骸のすれきれる匂い
雨の声
すべての色を網羅できないように
だから
僕は小説を開いて
染まったページの雨跡に
ペトリコールと書かせた
それしかできなかった
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