全行引用による自伝詩。 08/田中宏輔2
 
獄さながらの場所に入りこむことになるだろうと警告した。あとでわかったことだが、アグノル・ハリトの警告はあまりにもひかえめなものだった。
(ニクツィン・ダイアリス『サファイアの女神』東谷真知子訳)

 バードはおちつかなげに歩きまわり、弁護士というよりは、むしろ床(ゆか)を相手に話をしているようだった。
(オスカー・シスガル『カシュラの庭』森川弘子訳)

 彼らの心理は病んでおり、彼らには傷痕がたくさんある。彼らは他人をおそれ、同時に、他人の援助を求めなければならないことを知るがゆえに、その他人を軽蔑する。
(スタニスワフ・レム『地球の泰平ヨン』時間の環、袋 一平訳)

 わたしは
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