首肯 二題/岡部淳太郎
 
うなずいて言われるままにここに来ていまや迷子となりしや我はいずこか


いつだって曖昧にうなずいてきた
そうして 自分というものを主張出来ないまま
言われるままに進んできた
そこに俺の意志はなかった
少なくとも 「俺」という
生々しいギラギラしたエゴのようなものを隠して
何となくやり過ごして
それだけで済ませてきてしまった
その結果がこれとは
何とも滑稽ではなかろうか
道は無数にあったはずなのに
言われるまま進んだ結果
道を見失って迷子になってしまった
自分自身が何者であるのかもわからなくなり
放下すべき夢も理想もなく
この身に迫る秋の気配
しずかな滅び
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