空から落ちた星をもらった日/花野誉
 
で芝生の上をつまんでいます。
つまんだ何かを、私に差し出したので、手のひらに置いてもらいました。
それは、小さな小さな白い石でした。
彼女は、空を指差して、
「し、し」と、言います。
──石?
「石ね」と、私が言うと、
空を指差して、また、
「し、し」と、言います。
いつの間にか、女の子の後ろに初老の男性がいて、
「星ね」
と、おっしゃいました。

ああ、なるほど。
私は、空から落ちた星をもらったのか、と納得しました。

「し、し」
「星ね。ありがとう」

私がお礼を言うと、女の子は踵を返して、芝生の向こうへ走って行きました。
初老の男性は、
「おくつろぎのところ、失礼致しました」
と、丁寧に頭を下げられて、女の子を追って行かれました。

ただ、それだけの出来事です。
それでも、こんな素敵なことが自分に起こるなんて、と、
嬉しくなりまして、書かずにおれませんでした。
はい、そうです。自慢話です。



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