向かいの棟の ベランダに 煙草をふかしている 女がいる 赤ん坊が 蝉のように鳴いている 今日の 空はとても青い 手摺に掛けられた 赤 青 幾色かの布団と、 寒色ばかりの 洗濯物が 時折吹く 乾いた風に カラカラと 回っている ここに来て もう 何年が経つのだろう これからも 僕たちの日常は 生活という イレモノの中へ 無理やり 押し込まれて ゆくのだろうか 女は、青空に 幾つかの 雲を残したまま いなくなっていた 赤ん坊が 蝉のように鳴いている 今日の 空はとても 青い