霧の様な死あるいはナルシシズムについて/立原道造を読む/渡邉建志
旅装 (部分)
僕は手帖をよみかへす またあたらしく忘れるために
わぁすてきだ。なんてセンチメンタルでナルシスティックでなんという言葉をこの詩人は書くのでしょうか。この一文は本当に素敵だ。
■みまかれる美しきひとに (部分)
――嘗てあなたのほほゑみは 僕のためにはなかった
――あなたの声は 僕のためにはひびかなかつた、
彼の愛の歌は、いったいどういう事情があったのか読者にわからなかったとしても、そう、内容がよくわからなくても、その甘い雰囲気に読者が自分の体験
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