お昼ごろまろやかな粉のような白い雪が降って、触れる度に、溶けていく。冷たさに、濡れる。
霧になった雪に触れて増していく色並みが加えていく、濃さ深さ。街並みが輝いている。息を静かに繰り返す。吐息の ....
車体は低速な運転だ
もわっとした熱気に包まれ
夜闇に次々走り抜ける街道、
ちょこまか花開く
路傍に野性、
いろんな色おどらせ
青々艶めく猫じゃらし、
冬枯れ色褪せから蘇り
夏の ....
〈揺り籠の鳴る気息に点いて。〉
梢の濡れた通り狭く開かれた
頭上は
輝きだけでも ない。
藪蛇さえ 喉を通らず 羽の揃わない天使のころも、
きっと い ....
返還された軍用施設跡を覗きに
まだ子供だった僕らはフェンスを越えた
建物はまだ残されていて
バーらしき場所には
ボトルが転がっていた
中途半端に積まれたパレットに腰掛 ....
中心が多様な中心であり
多様な中心が中心であり
唯一の中心に多様な中心が呑み込まれる
(象徴天皇制・既存のキリスト教・唯物科学etc. )
コトナイ、
ノンセンス波打ち際に遊び ....
蝋細工の、人間の形をした名前の無い紛い物が、夏の温度によって次第に溶け瘦せ衰えていくさまを記録した短いムービーが、失われたシアターでリフレインされていた、それにはBGMどころか音そのものすら記録さ ....
ふりこにふれるたびに。このおもいでもちかいうちに。うけつがれていくのかな。ってなっていく。たかなるのはなんですか?
もしてつくられたもぞうひんであっても。わたしたちのあかしとしてのこる。 ....
ビーチもゲレンデもナイトプールもダンスフロアもレストランも、そういうのぜんぶいらなかった。あたしに必要なのは、きみの声が届く静かな空間だけ。音程、はずしてもいいからその声で歌ってほしかった。小さく、静 ....
未知の道の途上に在り
根っこ深々と張り出し
次第に熱帯びるノスタルジア
濃密に暗まる空の青みに沈潜する
日を追うごとに
思念は衝動は強く熱く
虚脱と執着は止むことなく
お前は何を求 ....
高校の嘱託講師から予備校の非常勤講師になってしばらくすると、下鴨から北山に引っ越した。家賃が五万七千円から二万六千円になった。ユニット・バスの代 ....
ダイヤモンドの針をそっと置く
行っておいで
想い出は遠くなるばかりで
美化されたがっているのはなぜだろうか
この溝は
なぞられれば現れる道だ
ふたたび
さみしさの琴線に音を咲かせ ....
指先を太陽に翳して
陽の光の中を着物の着崩れを直しながら歩く
隣町まで足を棒にして歩いてみたら
少しはこの気持ちが楽になるだろうか
茶色い茅葺き屋根の家を過ぎて
長屋を横目に見て
空き ....
蛍の明滅だけが知っている
かすかなぬくもり
かすかなのこりもの
まるで映写機のように
今だけはおもいださせてそっと瞳をとじて
鏡の中の自分に問いかけている。積み重ねてきたすべてが答えてくれる瞬間がいつか来ると知っている。あきらめないで、でも、あきらめてでもなく。私の中にだけあることだけ。その中から失い得たすべてがかけがえのな ....
水道道路、貫き
荒い息に疾駆する白馬たち、
空中都市マチュピチュ麓通過し
クスコからウルバンバまで駆け抜ける
*
強い思念を不断に携え
その力動を徐々に感じつつ
肉体の脈動と ....
私は葬式がきらい
何のためにいくのか そんな自分が嫌になる
激しくない人づきあいの中で
人の心配はすれど 人から心配された記憶はあんまりない
あくまでも他人 それが死んだら ....
舌の肥えた過去が焼け落ちた瞬きを拾い上げ
同じ口を借りるまで、垢を吹き混ませて
足を酌み交わしてつないだ中心から
私は死にゆくのかと思いながら
(飢 ....
私という孤独が
厳しく露わになる
この瞬間、
青銅の窪みに穴穿たれ
濃密に暗まる空の青み
昼の意識に広がり
抉るように流れ落ちる
ぽっかり深淵が口を開く、
ぽっかり深淵 ....
澄んだ山の彼方に
何がある と
希望して良かったのは
遠い年代だけの事だったのか
暗い中をぬけていくと
ふいに光の中に出て
あたりは竹、の林
散りしいた藁に埋もれて
....
濃密なすきまによって武装された道化師の衣装
時代の手綱を放れて八頭だて馬車がもぐりこむ
目をこらす間をうめてミクロはマクロを着服し
際限のない馬蹄の音で布袋腹をリピートさせる
いついかなる ....
ひと晩中つよい風が吹いていた
翌朝いつもの道には帽子をかぶった
まだ青いドングリがいくつも落ちていた
幼子の首のように見えた
自然の範疇 織り込み済み
きりさめ交じりの風が嘯いた
境目など ....
あなたのせかいにはわたしがいましたか?いなかったとしてもつづいてきたかんけいが、いまをきづいたのです。せかいじゅうにだいじなことをつたえたい。そのいっしんはわたしにはなく、けっかとしてあるのは。じんせ ....
日本の膝小僧に
かさぶたができている
原発事故でできたかさぶたを
フクシマと呼んでいる
日本はかさぶたの残る足で
東京オリンピックを走りきった
膝をつけば血が出る恐れもあったのに
....
湯船の蛇腹式の蓋を開けると、カツラが浮いていた
黒髪でセミロングほどの長さのカツラだった
嫌がらせだと思ったので、警察に届けて回収してもらった
一週間、今度はベランダにカツラが落ちていた
....
曲がり方、昔は左今は右
過去に目を瞑るものは現在においても盲目になると
特攻隊を美化できる精神性とはいかなるものか
僕は今を見る
今も手もなく騙されて
コロコロ殺されてるのでは
....
僕が寝ている
始終寝ている
するとどうなる
傍が働く意欲をなくす
僕が飲んでる
終始飲んでる
するとどうなる
女が自暴自棄になる
惚れた男がこのざまで
どうして病まず ....
○「坐禅会」
足を組み背筋を伸ばし
一息一息に意識を集中する
坐ると無心になれますか
と聞く人があるが
坐っていると
妄想が次々と浮かんでくる
無心とは程遠い
線香の灰の落ちる音ま ....
午後、
いちまいの枯れかけの葉を、
三塁からの盗塁走者、
にする、
ひとすじのつむじ風、
の、狡さは、
運搬するコンベアーの滞り、
に、よって無残にも堰きとめられた、
試合は、
14 ....
あの日の夜空はまったくの偶然なのでしょうか
生きられないと思っていた
希望とかそんな簡単に声にできないなにか
立っている
電柱から
(かすかなノイズを)
点が結ぶ線を
つまさきで ....
あなたが前を歩いていると
平らな気持ちになれるのよ
ちょっと間隔が開いた時は
追いかけなくても気づいてくれるは
あなたの背中を覗きながら
脚の運びを見てい ....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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