【水だ】
空が、しだいにコーラルブルーに
かすむ
骨だけになって、鯨は
今日も尾頭付き
水族館の いっかいから
二階にかけて
....
花を照らす灯が消えて
風がひとしきり吹いたあと
花は土を
濡らすように照らし出す
幾何学の家
同心円の小さな灯り
地の風が雷雲を追い
やがて窓は静かになり
....
1番線、ドアが閉まります。ご注意ください。
5番線、電車が参ります。 ご準備ください。
14番線、窓が開きます。ご用意ください。
23番線、天井が倒れます。ご安心ください。
7番線、特急が通過 ....
小籠りくすぐりあっているのが
お仕事に影響するのは、はた迷惑ですね
「嫁の躾しろよ」という話になる
小籠りくすぐりあっているのが
生活を後ろ楯るのはいいですね
仕事は進む ....
行く先はここだ
男が寄越す手紙は
宛名が無い
遠き地への旅路
ある犬がアルペジオを踏んで海の記憶のなかで眠る
鉄面皮から温かい血が飛び上がり赤く染まった両手を見る
小さな白痴のように路地裏で踊る
手から砂がこぼれ落ちる時を見ている
祈りと ....
庭にゆりの花を植えると病人が絶えない
そう教えてくれたのはあなただった。
家長がほいほい死んでしまうから、とも言ってた。
そして笑いながら、赤黒い球根を掘り返した。
秘密を知られている ....
いつか空が墜ちる時
地球が融けたようなこの地上で
僕は誰に祈るのだろう
空が迫り来る
黒い黒い裂け目が増える
不自然な黒がウイルスか何かのように巣喰う
空は海の青を映してい ....
こまにたこ
ほうきはとしの
うつりにて
きもしおやぢほ
もいぢりするな
ひと息ごとにこぼれるのをあつめて結いあげたのが
いまあなたの胸にひかっている涙です
気がつかなかった
愛がどれほどのものか
おわってみてようやく眺めることができた
一連を終えて
....
あみだくじにして遊ぶ
選択肢の魔術で
手に入れたものは喜びだったのか
悲しみだったのか
そのままの言葉で生きていければいいよ
差し出した手を受けとるだけで
はずれだったりあたったり
過ぎ ....
絶対に汚れない脂がありますか?昨日わたしは夢を洗いました。重なる木箱と転校生の匂い。わたしはつねにわたしではありません。(過去ではそうだった)血のにおいに負けました、そのボールは満たされているんだ ....
握手会に誰も来ない
生卵ぐちゃぐちゃにして生きろ生きろカレーライス
体温計がなく温度計を脇にはさんでいる闇
むもくてきな独り言
ついに剥奪された虹
爪にかりかり 梅干
関与 火の鳥 カン
かまざりし 草々庫
ライオン折り紙 河
身持ち崩すちりとり
月 落としても 朝
私の重みで、凹んでいる
タイヤの椅子のブランコが
ぎっしり…ぎしり…と{ルビ軋=きし}んで、ゆれる
軋んで、ゆれていくほどに
ぷらたなすの樹は、詩いだす
ざわつく若葉も、踊りだす
....
頭体、重たく 何かがのしかかる
電気が消える
液晶の白さと楽器や声の重なりが
暗闇を割いて
体と頭を中から包む
だれか泣いてる人がいるように
だれかが居るようにだれか ....
冷たい海の中を、
ふわふわと漂うクラゲの
その美しさに魅かれる
誰にでも愛される
そんな存在でも無く、
ただ、
生きる為の術ではあっても
そのふわふわとした
透明で自由な浮遊感 ....
てっきり
魔法の越中ふんどしで
飛んで行ったと思っていた
おじいちゃん
実は猛烈な強さの台風に向かって
「わしはわしの家族を
お前から守ってみせる!」
と叫びながら突っ込んで行ったのを
....
量販店でメモリカードを買ったついでに
あれこれ眺めていると
昔、夜店でよく見た透明な電球が
仰々しく棚に陣取って光っていた
こんなもんが、今頃なんで?
棚の売り文句を見ると
これが、省 ....
君はこういうの苦手?
俺はそんなのあきらめていないからどうでもいいし怒れる
君は「できない子」君は「この世で一番できない子」
自分の名前もいえない子
明日どんぐりではがきに
ぐるぐる文字みた ....
星の残像をまぶたで凝視する無力すぎて聞こえない鮮明な色
古ぼけた皮膚のままスキなだけ歌を歌って夜が沈む
昨日の終わりのこないままで
指のすきから産まれおちる五線譜
もっとふかく溺れたいのもっと ....
極めて具体的な意味で関係ないから軽く死ぬ
「わたしは今日もずっとこれからもしあわせでした、です」
いつまでも泡の数を数えて
地平線は線ではない真っ白だからそれはたぶん光だ
沈んで生まれなかった ....
あなたの手にする
てるみーという不思議な棒は
香の煙をもくもく漂わせ
熱を地肌に{ルビ擦=こす}りつつ
体の痛みを和らげます
私の妻が
顔をしかめた腰痛も
止まらなかった咳さえも
....
真夜中のスーパーマーケット
わたしたち、二人逃げこみました
逃亡者なのです
追われているのです
月に、星に、夜に
ここにいれば彼らの姿は見えないので
安心して手をつなぐことが出来ます
最 ....
幼い頃から
鼻血を出したことがない。
だが、街灯が消えて
露が凝縮して
霧がコンクリートから浮かぶ時に
(寒い朝に
ある目に見えない神の息)
頭が空になった感じ
鉄の匂いと
赤
を ....
絨毯は毛を食べる。受け止め、取り込み、嚥下して、同化する。
それは、吸引力が変わらない奴だろうが、円筒形のころころ転がす奴だろうが、発達した猿の末端器官だろうが、まるで届かない身体の奥底に溜め込まれ ....
そして
我々は排水管に流れ込む汚水の様なものだ
何もかもごちゃ混ぜにして
蓋の隙間から暗闇に落ちてゆく
落ちてゆく落ちてゆく
次から次と落ちてゆく
あんたにも私にも
何の意味も価 ....
雨が降ったあとだけ
わたしは
この世に生まれます
黒い空から
産み落とされたというのに
見上げれば
――おもいわずらうことなど最初からなかったように
――おもいわずらうことは誰で ....
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