Poison gas/ストレス
知らぬ間に日常に散布されていた毒ガス
家を出る前に鏡の中に写すその作り笑いは
肺の中に溜め込んだ本音を守る防毒マスク
口から嘘を吸っては吐いて息苦しくなりな ....
Gift / 1日
プレゼントあける時のように
そっとカーテンをあける
木漏れ日と共に部屋に舞い込んできた1日
日めくりカレンダーを上から1枚破りとった後
トーストにバターをつける
....
Equality / 壊れた文房具
後ろへ後ろへ回される答案用紙
それを見て私達の時代もきっと未来に先送り?なんて顔してる君に消しゴムを当てて振り返らせる
「ねぇ 二人で答えあわせしない?」 ....
Zoo/ありのままで
「突然呼び出してごめんね。」の言葉の後
平日の広い園内を歩き始めた
突然始まった ヒールとスニーカーの追いかけっこ
「私 ゾウが見たいの」
振り返りもしないで
よ ....
『sunset』
行き道より重い足取りで歩く帰り道
オレンジの陽だまりが緊張した心を溶かして
雪解け水のように冷たい涙が流れた
失敗だらけ いいところなしの僕にさえ彼女は頬を寄せて ....
Traffic jam /停滞
屋上の手すりに乗りかかって
海岸線まで続く渋滞を見下ろして2人笑ってる時は
まさか自分達があの中にいるなんて思いもしなかった
勢いよく滑走路を加速し ....
salvage /創造
体にチェーンを巻きつけて
その先に繋がったイカリを静かに海に沈める
重みに引っ張られて
冷たい海に投げ出される
ウェットスーツに 冷たい水が入 ....
教師がチョークで引く線
黒板に集まる視線
サラサラとペンがノートを走る音
皆何をそんな必死に
黒板に書かれた文字なんてすぐ消える
脳裏によぎるのはどんな砂嵐にも消され ....
ここにくる途中
近所に住む子供達が唄う
童謡を聞いたよ
黒いローブを着た連中が
闇に紛れて
シャッターを切り
他人の人生を奪っていく
お伽話だとしても
本当にそんな連中がこの世界にいた ....
高層ビルの屋上
この世とあの世の境目に放り出した片足
目を閉じ 胸に手を当てて 聞く最後の独奏
目を開けると美しく没する夕日
カサカサと音がして視線を下に逸らすと
この ....
Night worker /帰り道
新しい日付の刷られた朝刊が駅の売店の前に置かれる
深刻な顔で今にもつり革で首をつりそうなサラリーマンが車内で揺れてる
パンパンに人がパックされた環状線 ....
震え続けるコンパス指針
粉々に壊され砂塵となったあの頃の自信
ああ ここはきっと例の樹海
ルービックキューブのようにバラバラにされた東西南北
あの頃の想いはもう迷宮入り
何度 ....
いつものように見上げる向かいの家に植えられた大木
いつかあんな風に地面に真っ直ぐ立って 空に向かって目一杯枝を広げることができたならって
まだ薄ら白い双葉を目一杯広げて思ってた
でも ....
Friends
仕事帰り去年と同じジャケットを着ているのに今年は何故か中綿抜けたみたいに感じる
画鋲が外れて空に舞っていた無数の広告に自分達を重ねるなんて
笑えよ 僕は弱気になってる
....
Lonely
二つの水晶体を通して世界を見る
受刑者がアクアリウムの板を挟んで面会人と向き合う気分になる
おでこを付き合わせて熱心に話し込んでみても
どこも触れていない
頭に固定された ....
Era
惚けたように突っ立ってたら
怒鳴られて 渡されたトンカチ
わけもわからないままに
今に釘を打ち込む
手の平にできた血豆が潰れて
放り投げたトンカチ
通りかかった先輩が拾って ....
営み
ビッグバン以来広がり続ける宙 星の大洪水は今だに進行中
一度手放したら きっと二度目はないから登山家の命綱のようにお互いの腰に引っ掛けた両手
理不尽な運命が二人のベットを揺らして ....
隣に座る男が見えなくなるほど部屋に充満するタバコの煙
顔が見えたって同じこと ここじゃ誰もが手札を隠してポーカーフェイス
体にまとわりつく緊張感はここでのドレスコード
目の前で
たまらず首 ....
プロローグ~~~
止まってしまった歯車に手を置いて
故障箇所を探す
もしやと 思い胸に手を当てる
皆が去った後もうるさく鳴り響く心音 ここがきっと故障箇所
せき止められていたダムに亀裂が ....
7日間で作られた世界は
用が済んだらすぐに取り壊される
プレハブみたいなもん
説明もなく
背もたれのないスツールに座らされて
何年も呼ばれるのを待っている内に気づいた
土の毛布の下で何の心 ....
視線
子供の頃
車の窓から月と太陽を眺めて思ってた
彼らは一体どこまでつきまっとてくるのだろう?
父親にせがんで アクセルを全開にしてもらっても
振り切れない 奴らの視線もきっとそう
....
ど近眼の俺等一寸先も見えず
手探りで進んではすぐに壁にぶつかって体をよろめかせる
悔し涙で滲む夕日
帰り道に
思い浮かんだのは
夜祭りの日に300円払って遊んだピンボール
勢いよく飛び出た ....
遠路
どこまでも続く地平線
歩き続けてればいつかは辿り着くかな
気が遠くなるだけならまだいい
意識失いそうになる程に遠い
ひと気のない荒野立ち止まって
ダメ元で親指を立ててみたけど
日が ....
そりゃ散々だったな
駆け足で登った螺旋階段 でもどこにもいけず
勢いよく押した回転ドア 新しい世界は見れず
唯一学んだこと 世間はイケズ
そりゃ飲まなきゃ やってられないな
迷う度に ....
美しく光る蛍追って洞窟の中に迷い込んで
どれくらい経っただろう
闇の中を右往左往
すり減った靴底 穴の空いたジーンズ
恐怖で頭から滲む油汗
苛立ってついた悪態が
洞窟の中を反響して
....
大粒の水滴がつたう窓辺で
1人頬杖をついてまどろんでいる
轟音と共にひび割れる空
その破片を恐れてどこか違う空へと飛んで行った鳥達
母なる大地が容赦のない雨に鞭打たれる姿を見て いたたまれなく ....
♯1
まるでそれは壊れたラジオ
垂れ流す意味のない言語
本音を言えば 誰かにスイッチを切って欲しい
ああ でも小突かれすぎてバカになったそれを粗大ゴミに出すのは来週まで待ってほしい...
....
夜になると何度も鳴りだす
その電話にはもう出ないで
そのストーカーは貴方が疲れ果てるのを見て楽しんでいる
無視が一番よ
何かに没頭すれば少しは気も晴れるでしょう
そうね 例えば恋 ....
散々道に迷った挙句
歩き疲れて入った 小汚い木造の食堂
おばちゃんのシワだらけの手が空いた皿を下げていく
おばちゃんは俺の目をチラッと覗くと言った
あんた
社会とはなんて アリストテ ....
君と僕の間立ち昇る蒸気 少し高いところから注がれるミルク
軽く手を添えて 彼女は僕に笑顔まで添えて
白と黒の渦を巻くさっきまでのブラックコーヒー
束の間の現実逃避
優しく微笑むウエイター ....
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