何気なく剥くと、秋が出てくる。暗い場所に捨てられた石のように抱き合ったまま微睡むアリバイの無い〈真実と私〉が、突然光を浴びた性器の様に、居たたまれぬほど高鳴ったまま眠っている。

        ....
またひとつ一瞬が結晶化する。また1つ。それは、速度が潤うにつれ揺蕩う一瞬となり、群れから剥がれ落ちるように、また1つの一瞬となり結晶化する。点滅するこの世界の、瞬く一手一手は、奥に潜そんだ不可視の秒針 .... 信号が、――…
「白」になり
露わな校長先生の群れが
一斉に飛んでイク
幕のなかは 
もちろん
膜の中にすら 
もう
「0」すらも ――…
居られはしない
と、いうのに。
いまや ....
蒼い空が 遠くて
余計に悲しいのは
僕が
1羽のウサギだから

カメに負けたあと
どうなったのか誰も
知ろうとはしない
色褪せたウサギ

透明な過去の中に
遺失されたまま
埋ず ....
生まれたときから
終りのない
この心

風のなかにあっても
難しい貌をして

気高く
悶え
涎を流して
渇きつづける

いずれにしろ
しかたないことなのか
誰かの
手はず ....
無数の瞬間瞬間を
音もさせず
かき消していく
静かな雄大な


半ば朽ちかけた美の前に
見上げると
人びとは立っている
感じられるのである。

響く鼓動を耳に
溢れる体温を ....
きみ、という名の女の子がいた
綺麗な瞳が自慢で、視力も良く、
そして、恋をしていた

だが、問題があった

きみ、は躰が、丸いのだ
太っているわけではない。
ただあまりにも、球いのだ。 ....
ここでは、詩作品『風土記シンボリック』(作 地の果ての嘆き)を取り上げて
ごく簡単に作品評を試みる。

(作品のURL:http://mb2.jp/_prs/8435.html#S0)

本 ....
私の体は塊となって泣いた真珠
抱かれた声は何処にも行けない
遠く運ばれてきて、
柔らかい土の中で食べられるだけの
硬く凝固した夢が閉じられた瞼の奥の瞳

盲目の砂の眠りのほかにはもう
指 ....
白い柱の背骨を
クネらせた
憂鬱

そう見えたもの
それは――

千切れそうなほど
頭を垂れたまま
しんしんと澄んだ闇を
受け入れたその
首の付け根に

先細るほど渇き切った ....
夏の次が秋だったあの頃を探しに
ぼくは今、 油切れの車輪を引き摺ったまま
秋の消息を訪ねて旅に立つ

窓枠の中でそっと にこやかに手を振り
石のような白い空に はぐれてゆく僕の影を 
 ....
最悪の街の中で肩をイカらせ
水気を奪う干乾びたパンを囓りながら
落ち窪んだ目でナゼ季語を気にしてる

空っぽの心臓が埃にまみれて 見ろよ
単調な詩情に窒息してるぢゃないか
朝の七時に吊り革 ....
夜の雪のように、燦燦とした陽に跡形も無く降り積もるだけの孤独な祈りが、また一つ舞う 網膜を行き過ぎる詩語硬直の行列
心は、始めから無い表情を隠し
意味は美を名目に犬となって瞑目する
      ――沈黙するロバの耳


灰色にずっと燃えている虫はかすかに
茜色の玉を胸に ....
遠近法が麻痺した囚われの眼(まなこ)を
墜ちるのを怖れた誤読の盲人たちが崇める
しんなりとした粘性の絨毯は織り上げる程
未来を消し去り 響きを失った時空に
拡がっている 奇妙な、奇妙な諧調
 ....
木漏れ日から、ふと宇宙を直観するような時がある。
それとよく似た体験を、―― 作者としてコメントを受けたとき
作品を見直しながら、ふと―― していることがある。
そんな時は、たいてい、その作品と ....
わたしは、生まれた時 自分が実体であることに驚いた

おそらく 死ぬ時は 自分が幻であったことを知るだろう
訪ねると いつも
固く冷たい廊下

その奥の
前髪に落ちた陰の 扉を
日差しが そっと開く朝

気配の草叢が かすかに
擦れて、
沈黙が響く

そら ね 
 ごらん
向こうで ....
夏にはぐれた神鳴雲がひとつ
ぽつんと漂う空
雲は、雲は、やって来たのに
大きく大きくなって やって来たのに
酷苦の炎天を 猛暑を 
掻き消してあげたくて

やっと辿り着いたときには
夏 ....
睫毛に言った
「もう眠ったのかい?」
「いいえ」
答えた口唇は
一瞬も動かず
間を置いてから
「死んでいるの」
そう語っていた


もう何処にも生きている窓はなく
道も もう 死 ....
部屋の隅に一つの箱があり
その中に、《詩》が入っていたから
ぼくは意外だった


《詩》の中に世界が入ってるんだと
てっきり
そう思ってた


もしかしたら
ほんとは《詩》の中で ....
いかにもその渡世を彷彿とさせる
全身傷だらけで 目の据わった
一匹の猫が 固く舗装された道を歩いてくる
踏みしめる肉球 心は動かない
ただ黒く固い舗道のザラつく感触のみ
彼は自分の ....
咥えた指が、ガラス張りの胃袋の中で蠢き、
吐出したいグニョグニョの悪夢を掻き回してる
肘からゴボゴボと沈んでいった頬杖

まばたきをしても何も変わらない
絶え間がない
そう気がつく

 ....
何も隠せない快晴の或る日
昼でも夜でもない街の中を
わたしは 俯いて歩く  
恐れられる吠えない犬のように そして
世界の綻びを拾い上げ  何もない空を見上げる


機械仕掛の戦略を支持 ....
足跡を捨てながら
帰り途を急ぐ
 その歩数と
  掛け算するように
夜の密度が
 濃くなっていく

粘度を増して
重く絡みつきはじめた
暗闇の
後ろ姿しか
見えない

姿の無 ....
足跡を捨てながら
帰り途を急ぐ
その歩数と
掛け算するように
夜の密度が
濃くなっていく

粘度を増して
重く絡みつきはじめた
暗闇の
後ろ姿だけしか
もう見えない

姿の見 ....
   *
レトリックの瓦礫が密集する街を頬を赤らめて通り過ぎてゆく足取りが虚しい
整然さを嫌った歪んだ街路ばかりの、あざとく惑わすような模造芸術の佇まい
支配電波が強烈な悪名高いB地区では入力辞 ....
「サーカディアン・フラクタル」


空といたい。
そう言って見上げた優しいおでこに
ギリリと違和感が粘着していて
不毛の鳥は翔けてゆけない!

「ヒューストン、応答せよ!」  ....
沸々と煮えている過去が
億光年の果てから
這って来るような
ソノ音がふつふつと
耳に辿り寄せるたびに
白くなりかけた記憶は
徐々に泡だって
蒸気のように巻き戻され
瞳の前にあらわれつづ ....
古い手紙を炎が読んでいる
泪を引き摺った星屑の海を見ながら
夜が月を口説きつづけている空に
たち昇り煙る記憶が渦巻いて踊る
醜く膨らんだ雲が濁らせた景色を
冷静に見つめる硝子窓は沈黙を守り
 ....
ハァモニィベル(208)
タイトル カテゴリ Point 日付
秋の歌自由詩1+*14/10/31 23:47
一瞬自由詩2+*14/10/31 22:57
ガラ・コンサート自由詩1+*14/10/31 20:51
空の向こうに自由詩10*14/10/25 22:15
ブリコラージュ・ゲーム  ※書換リレーより自由詩1*14/10/25 22:13
【金木犀と夕焼け】※題名無茶ぶりより自由詩4*14/10/22 21:41
【君の瞳が言っている゛わたしに話しかけて゛】※題名無茶ぶりリ ...自由詩3*14/10/22 5:45
地の果ての嘆き 『風土記シンボリック』によせて散文(批評 ...1*14/10/22 3:51
ヒレのある魂自由詩3+*14/10/15 18:45
白い憂鬱の影自由詩4*14/10/5 22:15
あの頃を探しに自由詩6*14/9/16 13:31
ブレイクショットⅡ自由詩1*14/9/16 13:30
裂けぬ夜  【一行詩】自由詩2*14/9/12 13:25
 詩骸のソネット自由詩4*14/9/7 22:51
Gの上空自由詩3*14/9/7 3:53
続・きみの言語自由詩4*14/9/6 19:50
始まりと終わり自由詩3*14/9/5 4:33
きみの言語   自由詩4*14/9/3 7:44
ぽつん自由詩4*14/8/31 19:29
Eyeと詩の間(はざま)で自由詩2*14/8/26 14:33
詩がみえますか自由詩2*14/8/15 8:39
リノケロスの肉球自由詩4*14/8/12 8:05
一つの現代詩自由詩3*14/6/22 10:15
一輪の日々自由詩3*14/6/17 1:16
樹晶夜 【横書Ver.】*改訂版自由詩2*14/6/12 2:50
樹晶夜  【縦書Ver.】自由詩1*14/6/11 10:57
Mirage自由詩2*14/6/9 16:05
サーカディアン・フラクタル自由詩5+*14/6/4 1:12
黒い星に生まれた女の謌自由詩1*14/5/31 3:14
朝の心臓自由詩2*14/5/31 1:35

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