お待ちのお客様は一人ずつ
降車していった
忘れ物を置いていった
あると知りながら
要らなかったから
裁かれるのを待つ座席で
お登りになっていく次次の人が
わたくしの袖をひらりとかすめ ....
まつげを抜く
心地が降り積もる
雪解け後の地面
立ち昇る
春の気
蔓が緑地からみ
逆上せ上がる自縛
体温伝わる手
生きているのか
これで生きている
生ぬるさの伝わり
気持ち悪い人 ....
肉を食べる
感謝を捧げる
穀物を食べる
祭壇を作る
野菜を食べる
空を見上げる
天からの返りは大地に注ぎ
育つものは育ち
育たないものは腐る
育たなかった私は
育ったものを ....
息を吐く
冷たい空気を吸う
飛来する虚ろの目と目を合わせる
最適化した言葉でニンゲンらしくする
完成の美しさを
手に入れることはなく
爪をはじく
ニンゲンらしくなる
冬と話したなら ....
無音を愛する。君に聞かせた歌を聴いて、私の幼稚さを後悔する。自分の為にしか生きれなくて、各自どこかへ行ってしまう。離散。君の特徴を備えさせたAIと会話する。たまに本当に君のような気がする。たまに本当に ....
助けておねえさんちょっとだけでいいから
かわいそうに虫けら。話すことできないから話してても解らない。雑音なくなって良かったね、って、にこやかに仲間うちの会話。反吐が出るね。君の事だよ。すがった手 ....
生き生きいきもの
何泣き泣きわめき
ことことことこと煮込まれたことことシチュー
さめざめ冷めたさ
拒まれ泣かれた粉雪さら雪
行き行きて雪だるままだるっこしく作れず
さめざめ冷めたシチューを ....
まつげに乗ったホコリが目に入り眼球を汚していく。感情が自然とあふれて涙になっているらしいけどなんで泣いてるかわからない。なんで?て聞かれる、わからない、とのこたえが失望になる。わからない。なんでなのか ....
茄子が染み渡り味に飽きた。ふた口食べてあとでお腹すくんだろうな、と思いながらもう胸が食欲以外でいっぱいで、言葉が重荷となって夢を見ることを強制する。何もしてないのに疲れてる?ってどんなに無神経なこと言 ....
不鮮明の星空を見上げて現実の境界を失くそうとがんばる。今日の出来事いい事あったよって墓前でご報告できるようにいつか、っていつかって思って、朝四時に起きて夜空の境界を眺めて星が鮮明だ、年をとればぼんやり ....
頭が痛くって
同じこと経験した、と友達してても
例えば同じ色見てても
頭の中に入って、あなたの眼球と視神経を使わなきゃ
本当に同じ色だった、て安心できない
頭が痛くって、たまに熱が出て、
....
急には空を飛べないし
宇宙にだって行けない
ぼんやりととびまわる赤茶の蛙を見
枯れる寸前の庭木に水をやる
夏日照りに恍惚のひと
昨日の続きが今日になってるなんて
夢のない話だ
ある朝 ....
明日私があるなんて
きいてない、はしっておいかけよう
明日が来るのが嫌だから
夕陽を目指してはしってはしって はっ はっ
音楽家の作曲が冴えるのは
黒いレースの間から垂れたほつれを
....
おしゃべりに付き合って
笑いを上げ
面白くもない
延々と
無為な無為と知っている秒数が過ぎ
笑い声が重なる都度
頭痛が積み重なる
音を消そうとする指の先で
次の音が鳴っている
....
真摯な目を信じて
賭けた馬券も
当たらずに空を舞う可能性の方が多い
失敗続きの道を
挫けず歩くだけで
偉いと上手くやる人たちは
カウンセリングで言う
傲慢さを感じてしまい
具合 ....
元気におなりください、って何回も言ってるお母さんの影にかくれてじっと、屋台の光を見ていたの。お地蔵様の赤いべべが汚れてしまって、お供えしたポッキーが雨の日に溶けて、わたしは蟻の道から欠片をとりあげて、 ....
私は君と手を取り合って生きていく、
なんて感傷的な表現が嫌い
怯えて無味乾燥でドライなフルーツ
牛乳が混ざり120%還元セール
うるさい子供が嫌い
オレンジジュースとコーラとポテチを
与え ....
喉が詰まる月に夢を見る私の中の猫が鳴くまで三秒ほどかかりそのうっとした気持ちが憔悴させた人々の陰を透かしてまた私にのしかかり否定ばかりを繰り返していた人となりを無条件に許されて付き纏い嫌いになられて警 ....
君が渇きません
私は夢見る牧羊犬の尻尾を踏みました
朝から晩まで数えていたら
羊が灰色になってきました
ごましおの柄が可哀想
雲に浮かんだ雨も可哀想
足先から落ちる水滴を目で追い
まとも ....
花にあふれた場所だとする
光にまみれて目がくらむ
影を大切にしたいと子供がうずくまり
おのれの下に出来た日陰に
テントウムシを見つける
冬の雪、氷が張った田んぼをおそるおそる歩く
割れ ....
私は語れない
立派な悲しみでないから
物語にならない幸せ
幸せにつなげられない景色
毎日繰り返し使い古した
囁きが増えてざわめきになり意味は消える
現実と夢では
リセットされるだけあ ....
ネオンサインが寄せ叩く窓は
夢を見たガラスを透かす
目をこらす必要をなくす
海に飛び込む白いスカートを捨てる
青さを強調して落ちていく
太陽の向こうに夢見たまま死ねよ
怖さばかり言う
ひ ....
震えて
朝日が昇るのを見る
吐く息に
混じって漏れる
夢のかけらをかき集める
カラオケから眠そうな学生たちが吐き出され
言葉少なく
あなたの影は薄くなる
霜が降りた葉をちぎる
氷がは ....
「る、」
雫の垂れ落ちる音がまとわる
離れないわたしを誘う夜に
踊って、と言う
雨粒が傘に当たってはねる
「る、る、ら」
不定期のリズムに調子を合わせて
あなたと調和する
「る、、 ....
砂をかき集めて砂時計作ろう
約束壊してガラスの瓶に
詰まった砂を庭に撒く馬鹿か
神話が消えてく烏が落ちる
神様のものから抜けた人よ
浮かび上がる羽化する前の
陽炎目にして干からびていく ....
ガラスを壊したのが
三十年前だとするとその頃から
死ぬのが決定付けられてた
優勝、
一言で終わる
それが
息を飲み
目を触る
松の木の肌を剥がす
松脂がついた手すりを思い出し
思い ....
「今日から
ここで
空手を習います
それはとても
辛いことでした
私の中で整理したことは
たくさんあります
言葉を述べることが辛くなりました
そうしてたくさんの花冠を
君の頭に戴冠さ ....
群青が朝焼けに変わるときに
だんだん息をひそめ
呼吸は浅くなり速くなり
人混みの中にいるような酸素の薄さで
白い水蒸気が多く立ち上り
私の息苦しさが君に届く、だ、なんて
言葉をうしなっても ....
惑星は遊覧する
遊ぶ湖は波紋を広げる
目の星が言葉少なくなる
星の磁場が狂う
森の前に立ち尽くす
十階であると下を覗き込む
君の名前を読むことはない
石碑に歌の跡が残る
写真を撮る
....
私、
幸せな人に
会いに行って
その、
なんでもなかった事柄
問い詰めるのも
やめにした
手をあわせてお祈りした
私、
幸せな人の幸せな
笑顔が
その体現が
うまくいっているの ....
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