夢の蝶、舞う
遠去かる
宇宙の縁に触れ 燃えあがり
忽然と消え また現れ
あらゆる現の美をよろめかせ
その軌跡のおぼろな輪郭を
響かせて 響かせて
降りていく
夜空の底へ
降りていく
瞼を閉じて
降りていく
やはらかなそこへ
そこなきそこへ
はらはらはらはら舞いながら
やさしいことのは散らしながら
降りていく
宇宙の底 ....
うじゃうじゃと
うじゃうじゃと
ことば湧く
わくわくと沸く
湧く沸くとわく
湧く沸く湧く沸く
ワクワク ト 鳴って!
くねってみようひねってみよう
やはらかに しなやかに
こ ....
無音の現に
頭突っ込む
頭呑まれて
言葉を捨てる
要らないんだ
要らないんだ
伝達言語、要りません
白壁囲う白い部屋に
伝達言語、要りません
壁を叩く
沈黙の壁叩く
壁な ....
宇宙は雪降り
街は冬晴れ
燦々と照る
太陽渦巻き
宇宙の渦巻き
俺は聴く
銀河が
旋回
する
音を
タタタタタッ
走る走る
芭蕉の奥の細道を
走る走る
タタタタタッ
....
書く、
打つ、
叩く 言葉
ひたすら
書く、
打つ、
叩く 言葉
朝方
酷くうなされ
幻のなか
さ迷い出た
便所に行っても
幻に包囲され
恐
の文字、
踊った
....
世界、割れる
割れる世界の
音、ヒタヒタと迫り来て
今日は曇天冬模様
と打った ら
冬も酔う
と 出た!
冬も酔う冬模様
冬模様冬も酔う 冬冬冬、終、
糸、冬 糸冬
いと ....
陽の光満ち、
無数の銀の矢飛び交うなか
私の意識は泳ぎ出し
遠く貴女の声を聴く
久しく憧れ懐かしい
囁くような貴女の声は
やがて天空に力強く木霊して
飛び交う銀の矢を震わせ
降って ....
静かだ
この現、
静まり返り
沈黙の間に
無音の響き
行き交って
静かだ
音の精霊たち、
掬うコトバに
寄り添って
ナニカガ ウマレ ソウダ
言葉
宇を身籠もり
身籠もる言葉は
響く声また声の渦
底無し底無し底の底から
何かが何かが ウマレテイル
夏の炎天下の縁側で
西瓜を食べている
....
ど どもる
ど も っ て し ま う
うちゅうのまんなかで
まんまんなかで
底を測る そそそここををを
まんまんなかで
うちゅうのまんなかで
ど も っ て し ま う
ど どもる ....
風になびく
ススキの穂が
水面を滑る
眼差す太陽にギラリと光り
到来した冬は
情け容赦なく
すべてを裸にし
覚醒の輪郭を
与えていく
透徹として刄の ....
水晶の大海開ける冬の空
柿落ちる音に驚き雀散る
冬日の木漏れ陽に歌う見えぬ鳥
紅葉燃ゆ冬日の暮れ子が遊ぶ
万物に灯りをつけて冬陽沈む
くろめ川の水底は
ゆらゆらゆらゆら揺れ動いて
澄んだ水面の影呑み込み
そうしてなおいっそう透き通り
底なし底抜け 師走の大地を震わせる
言ノ葉
純粋な
木霊
ト
なって
遠去かる宇宙
の
速度を
呑み返す
とき
、
宇宙は
やわらかな
うちゅう
ト
なって
原初の混沌を
木霊させる
やわらかなう ....
死
白い衰弱
歩いていく
静かに
行く人のない
この道を
生への意志、
燃やして 燃やして
やわらかな肉に
流れる
清冽な水を
むさぼり飲み
やわらかな宇宙を
貫く
輝きの光を
集める
ことば、コトバ、言葉 を!
欲望の卑猥を魂に焼き
スコンとまっさらな地平から
....
落ち葉舞うもう絶え間なく絶え間なく
鰯雲流れ流れて西へ行く
木立の間茜の光冬陽落ち
夜闇に揺れ浮かぶ冬の薔薇
宙に飛ぶ光のサンタイヴ近し
網戸から漂い入る夕げかな
陽の照る日、日は冬日、あかるい日に、
日の陽の光の広がって
あたりいちめん純白の原
ときはとけてうずをまき
めくるめく永遠の瞬間を
垂直に切り開いていく
陽の照る日、日は冬日、あか ....
冬陽落ち廃墟の瓦礫で子が遊ぶ
震えながら花の香掬う戻り道
蠢く闇の夜陰しずまる
なんにもない
なんでもない
ぽかんとあおぞらあけまして
しずかなかぜがふいている
むおんのかぜがふいている
なにもないわたくしは
まちのけんそうのただなかで
たいこのおとをきいている ....
風一吹き静まる街に冬陽射す
ぽかんとして我一人居る冬陽の底
帰ろうよ声の木霊する冬の暮れ
声と声が交わるあいだ
柔かな光が横切って
わたしは不意にいなくなる
うねる大気が木霊して
青空が見えている
静かだ
青空を見ている
静かに
呑まれていく
わたし
青空が見ている
静かに
夜寒さの無音の部屋で飲む焼酎
薄陽射す花野広がる忘却の果て
ひたすらに草を食む牛只在りて
鈍色空は僕の心
鈍色空は僕の気分
鈍色空は行き止まり
そうしてぼんやり全てに呆けて
僕の心に花野が開ける
狭い暗渠を通り抜け
あの無上の花野に至る
遠くの森はいつの日か
愛娘と歩いた森
今頃木々が色づいて
キラキラ綺麗に輝き出し
二人で辿ったあの道を
艶やかに照らしているだろう
娘よ、お前は元気かい?
今頃二十歳のその道を
....
ひんやりと肌刺す冷気に我保つ
何故だろう独り静かに此処に居る
ゴォとまた街の彼方が唸っている
秋の夜に
煌々と浮かぶ半月は
闇に艶めく大地のあちこち
銀の涙を溢しながら
陶然として傾いていく
わたしは寝床でゆっくりと
その推移を辿りながら
迫り来る世界の無表情に
今夜もやっ ....
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