社会という尺度に弾かれた私は
だんだんと薄くなる紺色の空を見て
ああまた無為な一日が始まると
ベッドに沈み目を伏せる
この痛みの最中
もし一筋の光があるなら
それはきっと
朝焼けでもない ....
頑張った分だけ報われるなら
思った分だけ頑張れるなら
思えるほどの何かを秘められるなら
空虚な私は構成されず
故に立ち尽くす交差点のど真ん中で
情報に溺れ窒息寸前な私は
人として欠落してい ....
世界一きれいな花が荒野に一輪咲いた日
空は透き通る様な青と油絵みたいな白い雲が浮かんでいた
その十年前そこは殺戮と強奪で燃え上がっていた草原だった
善意で負傷兵を助けた少女の頭を吹き飛ばした隣国 ....
全方位に焼け剥がれた命は
無限の軌跡を描いて一点に収束する
その最中に見る光景
自覚的な痛みを伴った主観的な光景
ビル群
山間の谷間
火炎放射器を持った昔の軍人の写真
凍てつく凍土
あ ....
いつか記憶は彼方まで拡散して
散り散りになっていく
今日も主人の顔を見に出かけると老女は言うが
もう、会いに行ける、その相手はいないのだ
彼女が生きている糧はもういない
もう会えない相手との ....
真冬の寒さに緩く緩く絞め殺される
自覚なく擦り減る命と途方もなく高い空を眺めて
私は人々の摩擦と自意識を感じ取る
血みどろで喜劇的な終わりを迎えたい
あなたのその無自覚な一言で私は消失したい
....
この都会に蔓延する自意識と価値観の虚無が
渋谷の交差点で交わって早すぎる冬の夕景に照らされた
薄明るい信号が点滅して時が動いているのを告げている
大きな街頭モニターには空虚なニュースが流れて
....
メモ帳に書いた空は真っ黒に塗りつぶされ星々の輝きも見当たらず
まるで僕の心の内を書いてしまったようで
今日も中央線が止まったが人身事故ではなかったようだ
ほっとなでおろしたその胸中は誰のためのも ....
美しいピアノの調べとともに緩慢にほどけてゆく意識の底で
遠く離れた友の声を聞いた気がした
ここが終着点ではないと路線に踏み出せなかった一歩は勇気だと
どうか笑って
どうか笑って
つま先から意 ....
夜11時中央線の窓から見える無数の輝き
あの中に何人の人間が箱詰めになっているのか
金のためか家族のためか社会のボルトか
自室に帰っても虚しいだけの私はそんなことを思う
夜景にごまかされた汚染 ....
夏が終わる頃
丁度日が沈む頃
自覚と無自覚の流れる天の川が見え始めた頃
あなたの言葉を思い出すが
私の意識は酒に酔っているかのようにどこか混濁していて
ステンドグラスから差し込む輪郭のない光 ....
液晶越しに反政府ゲリラ部隊の姿を見る
倫理観の欠如か想像力の欠如か
この欺瞞に満ちた世界から一刻も早く抜け出したくて
私は窓を開けて
同時に機械の電源を切る
流れ込んでくる風には仄かな金木犀 ....
聖地へ巡礼
精子の循環
投げやりなまでの生死の受け渡し
ヒトという最小単位が群れを作り
最大公約数的な仮面をつけ街を闊歩する
あの渡り鳥の群れはどこへ行くのだろうか
私があの日投げた紙 ....
私の一生は痛みを抱え続けるのだろうか
この心の軋みと共に生きてゆく
そんな覚悟は私には微塵もない
それゆえ私は撃鉄を起こした
決して本物の銃の話ではないが私自身の生命尊厳思想を奪うのには充分 ....
目をそっと閉じてみる
そこは青い風の吹く深海でありあなただけの精神世界だ
あなたは喧騒雑多な街から離れ独りそこにうずくまる
自嘲することもなく非難されることもないのだ
ましてや移ろいで行く時代 ....
種を剥奪する弾丸
主を冒涜する人間
殺人者が蔓延する戦場の話だ
殺人者を作るのは個人か思想か
500メートル先から撃たれた戦友の薬指には指輪がはまっていた
持ち帰ったのはドッグタグではなく指 ....
街路樹が錆び始めて秋の雰囲気が充満する
今年は雪が降るだろうかなんて生き急いでる私は
大多数の人々と同じ仮面をつけて今日も歩く
神による精密な作図によって作られた世界を歩く
秋の夜長に鳴く ....
唯物論的なエスカレーターを上る
さっきの人身事故も
きっとこのエスカレーターを上った誰かから始まったに違いない
最後の一歩を登り終えてホームに向かう
ビル群が私を見下ろして空は狭かった
列車 ....
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