出会ったのは公園の芝生だった
不思議な笑顔で空を指差し
無は確かにあるだろう?と話しかけてきた
晴れたある日には
降り注ぐ陽射しの中で
いつも持っているトランクの
小物類を少し広げて
....
朝だ
扉を一つ開け放つ
爽やかな陽射し
冷たい微風
部屋の腐ったへその緒や胎盤
何度も吸っては吐き出され淀んだ思考
それら腐臭を少しづつ解き放つ
世界の約束を分かっていく
凍っ ....
あの頃の苦しみは燃え尽きた
膿も栄養も全部一緒に
それから抜け殻同然の空っぽになって
じんわり幸せだけ残った
小さな泉のように湧いている
弱弱しく
けれど無尽蔵に湧いている
....
夜明け前の散歩
灯りのない家々を抜け
ちょっとした農道を行く
一人一人の孤独が夜露になって
暗闇を舞う小さなこうもり達の
羽を少し重くする
いつもの開けたどん突きで立ち止まり
ゆ ....
それはそうときゅうりに飽きた僕は
河童と名乗っていいのか?
いつもの茂みで寝転がり
雌の事ばかり考えている
世界がどんなに美しくても
そんなことどうでもいい
忘れられないのだ
....
あの人がまだ何か言ってるのに
灰青の夢が覚めてしまった
また置いてけぼりだ
溶けたまま起き上がる
準備しなくちゃ
背中にあるはずの羽を隠す
曇りガラスの眼鏡をかける
おっと ....
ふとしたことで
この袋小路に迷い込めば
いつものあれがやってくる
筋骨隆々のあいつは
僕がいる行き止まりを通りがかると
貧弱な僕を一瞥して
「犬の糞にもならねえ」と呟いて
僕をつまみ ....
大根の悲しみ和え、辛い
生まれて初めて友人から本物の義理チョコもらった
何度も何度も繰り返す
同じ道を踏む思考回路
あいつは「あの娘は俺が好き」と言う
僕は今日、よく立ち回ったよ
80%の ....
なんだもう夜かと
ひとりごつ
ずっと傷にお塩ぬりぬり
オナニーしてもなんか違って
生渇き
誰のせいなのかと考える
自業自得すぎて笑える
やけに膣が恋しくなるが
生殺し
あーあ ....
生きるということが
ひどく儚く美しい
僕の営みは一瞬で
尚且つ今の僕は今しかいない
そしてどうあがいても
すべて忘れ去られてゆく
生きる事に意味がない
人生は一瞬の火花みたいなものだ ....
身動きの取れない心地良い泥沼だ
それはそれは優しい陽射しに
希望は焼き滅ぼされ
陰は濃く深くなる
カラッと晴れる3連休
なんと意味のないことだろう
好きだった人にもらったガ ....
流れ星のつく嘘に騙されて
幾千も羽ばたいていく星宛ての青い希望達
宇宙の塵になってゆく
もがれた翼が無意味なゴミのように時折地上に降っている
…
地下は重く粘度の高い暗闇だ
息 ....
どこまでも深く暗い
ろうそくを入れた粗末なランプ
小さな焔がこの果てしない未知を
ほんの少しだけ明らかにしている
小道を歩いている
ここはどこなのだろう
果たして進んでいるのだ ....
ポカリ、と
まるで金づちで脳天やったくらいの
陽気な金曜日だ
現実がたとえゴミだらけの砂漠でも
他人なんかどうでもいいしいつでも死ねると思えば
芯にぽかぽかした柔らかな微笑みが生まれる
....
早朝 外は一面の霜
暖炉で部屋が温まるまでに出ていかなくちゃ
凍えた鉛筆を少しふるわせて
横になった君をスケッチ
しょうもない僕を好いてくれた君の
ため息は漂ってすぐ消えた
....
ちょっと前まで風船は鉄球だった
少女はそれを引きずって暮らしていた
今は風船は空気で満ちて
陽射しを浴びるだけで割れそうなくらい
薄い皮膜はつるりとしている
軽く紐を手に絡ませて歩け ....
心は紙風船みたいだから
傷つけられないように
無口に今日も僕は
気取ってないふりして静かに
微笑んじゃったりして会釈する
心の空気は換気しないと腐ってしまう
どろどろで腐敗臭
換気の ....
死の隣の鮮やかな生を知る人達の
凄みのあるあっけらかんとした笑いをもらった
なにもお返しできずに帰る
生きている不思議と不安の中でシャワーを浴びる
当たり前に続く日々、その偶然に
心 ....
来なよ
家、片付いてないけれど
これから片付けるよ
半年前に燃えちゃった家だけど
お茶、用意するよ
ガスと水道止まってるんだった
大丈夫、井戸水汲むし
火をおこすのは得意です
....
人ごみに混じってブリキの人形が
中身空っぽの体かぽかぽ言わせて歩いている
人間でないことを
わかっていないのは本人だけだ
周りの誰しもが
異物の混入に気づいている
おっさんが
....
ちょっと仕事したり
仕事してるふりしたりした
死んだふりもした
疲れた
休日は
ぼろぼろに千切れた心
両手に抱えてあの世に小旅行
骸骨のフラダンスの曲、イヤホンで聴きながら
....
神様がため息をして
意味もなくチーターを産み落とした
落ちたチーターはあみだくじで
バイソンの群れに住むことが決まった
チーターは足が速いこと
毛に変な斑点があること
痩せているこ ....
行き止まりを前にして
希望に意味がないけれど
別に変わらず日が昇る
味気ない空白な毎日
今日も罵詈雑言が空から降っている
昼間だから見えない
皆僕に死んでほしいのだ ....
潮風の中
海岸の老いた果樹は
最後の力を振り絞り
実を三つ実らせた
木の下には少年がいて
あとがきを書き続けている
美しいゴミだらけの海岸で
壊れかけのロボットたちは
自分 ....
その蝉の抜け殻は取り残された
中身は出ていったとき
羽が開ききらないまま乾き
飛べずに地面に落ちて死んで
腐りかけた頃、蟻に運ばれていった
抜け殻は土にいた頃のあやまちを数えなが ....
手塩にかけた
年代物の可能性は腐った
絶望の底には
サンタクロースの死骸の山が
未来の椅子には
代わりにごみが置かれた
苦しみは忘れられ
空白にただ生が浮いていた
残っ ....
幼さは
蕾が花になることを知らない
蕾を一つ一つ摘み取って
分厚い本に挟む
毎日少しづつ色あせてゆく
蕾の押し花を
手に取り飽きもせず眺める
昼間のまどろみの中
手の力が抜 ....
1
疑心暗鬼の檻の中に心を放り込みます
心がワンワン叫んでいるのを確認しましょう
2
後悔でたらたら冷や汗をかきましょう
そして後悔が空転するまで永遠に反芻します
3
絶望感で着 ....
晴天
どん底
歩くだけ歩いた
波しぶきの生む霧が
たいして変わらない毎日を覆っている
振り向けば
情けない日々が
変わらずくっきりと足跡になっている
フカフカの砂浜の波跡に ....
誰もいなくなったようなので
過去を忘れたようなので
身の丈を知ったようなので
少年は心が軽くなりました
少年の目は脆すぎる安心の中そっと開きます
当然にある日常、という名の奇跡
す ....
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