悲しみも、春が雪を溶かすように終わります。
なんて。月並みな表現で僕の悲しみを消すことはできませんでした。

現に、その冷たさはいつまでも僕の中にあって。
例えば、それは散歩道の自販機の下。と ....
馴れ馴れしく話しかけてきた空が
ぼくに飽きて離れたことに安心していた。

ひとりになったぼくは、青い朝が街にひっそりと
カーテンを少しだけあける頃、急に毛布が恋しくなる。
だけれども、冷たく ....
朝焼けが出る少し前に、忘れられない思い出をひとつ捨て
それが朝日に溶けるのを見届けてから仕事に行くのが日課だ。
そうすることで、ぼくは大人になった。

だけど最近、夜遅く。
自分の体が暗闇に ....
普段は抱えている怒りは、誰かの悲しみに乗っかって、
厭な思い出だけが染み込んだ
夏の生ぬるい風が吹き抜ける校舎で爆発する。
その被害者の数は、誰かのつぶやきの拡散数となって承認欲求に変わる。
 ....
今年も終わろうかとしているとき
私達は、仮初めの体温を分け合った。

あなたは、ただ36度とちょっとを感じられれば良いという風に私の体温を貪る。

私も、あなたの熱を感じる事は好きだった。
 ....
満月が夜にふんわりと浮かんでいる。
それは、輝いているというより
黒く塗りつぶされたキャンバスに一点、塗りつぶされていないところがあるような、そんな空白に見える。

世界の明るさから逃げて、夜 ....
夜の闇はとろんとした、優しい液体のようだ。
それはスープを眺めている時の感情と似ている。
それは静かな湖をひとりで眺めている時の感情と似ている。
ただ、ぼくを包み込む。
その中にとっぷりと浸か ....
ぴこん、ぴこん。

人もまばらな仄暗い駅のホーム。
まるで、テレビゲームでハイスコアをとった時のような、軽快な音。
電車がホームに来ることを告げるものだった。
何もかもがばかばかしくなる ....
紫と茜が交じる時間帯、ぽつりと街灯がひとつ灯った。
誰も通らないような道に、ひっそりと光が現れる。
それをぼくはみつけ、煙草が吸いたくなった。
遠慮がちにそれに近づいてぼくもひとつ、煙草に火をつ ....
夏は嫌いだ。
だから死ぬなら、突き抜けた青い空がどこまでも続く夏の日がいい。
死に方はなんだっていい。じぶんで自ら命を絶とうが、誰かに命を奪われようが。
だけど、死ぬ場所は室内がいい。
窓に四 ....
言狐(10)
タイトル カテゴリ Point 日付
春を待つ自由詩122/2/28 3:13
自由詩119/10/3 7:42
幻肢痛自由詩019/3/23 10:44
青い鳥自由詩019/2/4 23:05
仮初め自由詩019/1/1 0:49
空白自由詩218/11/24 2:01
夜と雨音自由詩018/10/20 14:54
ホーム自由詩218/9/25 23:45
街灯自由詩118/9/17 21:34
ぼくの終わる日自由詩318/9/16 18:18

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