どうか僕の心臓を
もらってくれないだろうか
ぼくの血ではなく
きみの血を通わせてくれないだろうか

まい夜まい夜
ぼくはぼくの心臓が泣くのを聞く
自由にして 自由にして と
君の声で泣 ....
ああ
ぼくの心はまるで子どもだ
楽しみが近づいてくると
待ちきれず眠りも忘れそうになる
いざ眠ればそれを夢見る始末
そうなれば
忘れてはならない言いつけも
遊び飽きたボールのように
心 ....
僕は僕が
不思議でたまらない
僕を生かし
僕を僕たらしめているものは
肉か血か心臓か…
僕は僕の
心臓が不思議でたまらない
なぜ鼓動を打ち
この体に血を送り巡らせるのだ
死が恐いのか ....
静かな雨の降る
6月の昼下がりに
僕は
刈り入れの終わった麦畑を眺めている

憤怒と月光を
まき散らした昨夜の嵐が
懺悔に滴らせる涙のような
そんな雨だ
その滴を受けとめ濡れた
や ....
待ちわびた黎明だ
太陽でも月光でもなく
果てない夜を終わらせようと
吹き荒れた嵐の向こうに
生まれ落ちた黎明だ

君が
ふるえる玻璃の瞳に閉じ込めた
青い一迅のそよ風に
ひとつの嵐が ....
羊水の香りがした
その香りに手をひかれて
たどり着いた湖畔の茂みで
ぼくは義足を脱ぎ捨てて
エラで息を吸い
体を翻し、錆びた銀の鱗に
月光を砕いて踊り飛び込んだ
死期の近い動物のように
 ....
有精のそれがこの体に宿った夜
わたしは
高い梢に身を寄せう番のコマドリを
ヤドリギの茂みから見つめていた
無垢で美しい二羽の囀りが
森の向こうへ遠のいてから
わたしは
花落ちた虚 ....
ぼくらは
絵本のなかで
セックスなしで生まれた子どもです
エラ呼吸も陸呼吸もできて
どんな指よりも愛撫に長けた
艶やかな二枚舌

恍惚の高波に血を滲ませて
噛みしめた肌に刻んだ詩が
 ....
接吻は静かに交わすべきだ
君が蛾の繭から孵って
僕がコマドリの巣から落とされて
ここに飛んでくるまでかかった
全ての年月よりも
遥かに長い時間をかけて…

愛撫は静かに施すべきだ
露悪 ....
君の肉を啄みたい
それだけを望んでいる夜だ
その粘りの強い白い肌を
悦びに打ち震えながら咀嚼して
聞いたことのない心地よい音楽を
孤独なままに聴いていたい
栄養の足りない夜行性植物が
淫 ....
ぼくを作った人が
無造作に捨てたあまりの木材で
ぼくは箱舟を作った

唾液の雨が降るのを待った
やがて何もかもがその中に
砂糖のように溶けていくのを見た
ぼくは小鳥の巣から踊り転げ落ちて ....
刈り入れの終わった麦畑に
白い月光が降り注いで
女の裸が踊っている
ぼくは二階の窓に足をかけた
出来損ないの人形で
アスファルトの上に踊りながら落ちて
小さな青い海を広げた

星と月が ....
夜に灯した明かりに
寂静の蝋が溶けて
君の白い裸体になって
ぼくに覆いかぶさってくる

君というカンバスに
僕の原色を迸らせて
覆い隠すように
たたきつけるように
さも意味があるかの ....
両性具有(43)
タイトル カテゴリ Point 日付
解放自由詩119/7/3 17:13
剥離自由詩119/7/1 13:33
告白自由詩019/6/30 13:28
麦畑自由詩219/6/30 13:14
黎明自由詩219/6/30 13:04
羊水の湖自由詩119/6/26 21:02
托卵自由詩219/6/26 5:23
_自由詩119/6/25 0:45
情交自由詩119/6/25 0:14
空想低音自由詩119/6/25 0:00
唾液の海自由詩119/6/23 23:44
君の海自由詩219/6/23 23:28
白状自由詩219/6/23 23:12

Home 戻る 最新へ
1 2 
0.4sec.