閉店後の園芸店は
花達がゆっくり休む時間
子猫がやって来て
色とりどりのジュリアンに
話しかけた
子猫は言う
僕は自由だよ
どこでも行けるんだ
みんなはずっと
ここに ....
宇宙の公園にいるみたい
あなたのまわりに
星だけが浮いている
すいこまれてしまいそう
あなたは優しくささやいた
ずいぶん待たせたね と
その言葉だけで
私はふるえがとまらない
....
とっても温かい海の中で
私は笑っていた
優しい母に抱かれて
泣いて生まれたけど
涙はまだ無い
涙の海にいたというのに
温かい涙の海で
私はすべてを
神から頂いてきた
....
妖精が毎晩ずっと
雷雨の夜も
凍る夜も
風が羽根を掴む夜も
いくつも季節を越えて
一つづつ運んでる
小さなバラの蕾を
ひとりぼっちの
あの子のポストに
あの子はもう一年も
....
夕日は海の底で
赤いイヤリングになる
人魚がクラゲに
似合うかしらと聞く
誰かに見て欲しい
波を超えると妖精になり
星の浜を飛んでいった
裸の妖精は恥ずかしくて
森のド ....
風の内緒話し
鳥の告白
雲の散歩道
白い花は雪の匂い
怖いほど空が近い
妖精の羽音が聞こえる
どれだけ登れば逢えるだろう
頂上に咲く雪の結晶
エーデルワイスの優しい瞳
....
冬の晴れた黄昏の海
彼の足元に波が打ち寄せる
私は背中に耳をあてる
このまま背中に溶けてしまいたい
おんぶされて見る景色は
夕日の味がした
並んで飛ぶかもめが聞く
「ついてく ....
赤いハンカチをちぎったように
嘘の花びらが積まれていく
いちばん下に隠された気持ちが
あなたに見えるかしら
妖精が色とりどりの花苞を
持ち寄って集まる
星のしずくを集めた花が
中 ....
恋の学校が
たったいま閉校した
卒業したのだ
そう片想いが終わったから
告白を書いたテスト用紙
何気なく渡して
採点が始まる
点数はオリオン座の真下
街路樹の枝に星が吊 ....
夜の公園で落ち葉が遊んでる
すべり台からジャングルジムへ
ブランコから砂場へ
きっと子供には見えてる
妖精が葉の下に葉の上に
隠れてなんかいない
私には見えないだけ
目で追う ....
雲が帰って
空には誰もいない
見上げるすべてが
星と月だけのものになる
やがて
聴こえてくる
オーケストラの音が
目の前まで星が降りてくる
月が指揮をす ....
種を蒔いて
たくさん たくさん
花の種を蒔いて
あなたの喜ぶ顔が見たい
カラスが落とす胡桃を
あなたは追いかける
カラスと競争して拾うと
割ってあげてと私に言った
チューリップ ....
あなたは野ばら
小さな微笑みの中に
大きな朝露をためて
揺れる空気を待っている
あなたは桜
四季を忘れず
光を感じて
温もりを知っている
あなたは雲
夏の日差しを隠して
冬 ....
月から流れる光が
砂時計のように
ゆっくりと
時には早く
街に降りそそぐ
誰もいない
暗い部屋の窓にも
月の光が温もりを照らす
街灯のない道に
小さな花が咲いている
月 ....
朝日がゆっくりと
木々の枝と葉を
一つ一つ
赤く染めて昇る
朝露を浴びて
赤く透き通る光が
野原の宝石箱から
もれて広がる
冬苺の妖精が
雪のような
白い羽根を広げて
....
天窓にひとり
夕日に火葬されてひとり
赤とんぼひとり
馬鹿な詩人なら
まるで自分のようだと
同情を誘うような
ありふれた言葉を書くだろう
ただただ
救えない
絶えゆく命を ....
人は詩人にはなれない
まわりくどく
うんざりするほど
くどい説明しか書けない
月や花は何も語らないけど
存在そのもが
永遠に詩を詠ませる
季節だけが唯一詩人であり
人はその ....
あんなに近く
目の前に見えるのに
アメリカより遠いんだと知った夜
私は一番深いところに突き刺さる涙を
すすりながらのんだ
逝った日
最後の言葉は
月から見ているって
は ....
自分が生まれた時にはもう
詩を書く人は存在していなかった
もう絶滅していたのだ
詩を体感するには
過去の詩人を探すしかなかった
遠い昔の
言葉のおにぎりは
なんと美味しいこと ....
あなたの言葉は
フリーズドライになって
ずっと胸の小瓶に詰まっている
いつか濾紙に取り出して
熱い本当の言葉で抽出したい
涙で心を洗うしかない
ビワが妖精の意思を咲かせる
愛しているから心配しないで
春まで眠るからノックしないで
甘い果実の中で目覚めるまで
あなたの指が触れるまで
ああ舞い降りる雪は麻酔の香り
少しづつ泡立てた
雲をたくさん集めて
妖精が空を洗う
石鹸の香りが
雨で流され土に染みる
やがて花の匂いになり
庭にいたあの人を思う
朝日の声が聞こえたら
おはようと言いましょう
朝日は嬉しいのです
たくさんの人に逢えるのが
夕日の足音が聞こえたら
ありがとうと言いましょう
夕日は祈っているのです
明日もあなた ....
いつか天使に
羽根が翼になるように
そうなればと
天使に恋をした妖精は
こっそり見つめてる
天使の鈴が咲いたら
たくさん届けよう
綺麗な鈴の音をぶら下げて
クリスマスの ....
凍るように広がる
冬の夜空は海のようで
東から西へ流れる月はクラゲ
夜光虫を集めたプレアデス
今夜も編んでるあなたへ
羊は身体を差し出して言う
私の毛をどうぞと
温かな夢を編んで ....
小さな歩幅で駆けてくる
足を踏み外して
天の川へ落ちていく
尻尾を立て泳いで渡る
岸の向こうで待っているのは
シリウスの瞳のおおいぬ座
プロキオンはこいぬ座の魂
白く小さくひ ....
遠い過去から歩いている
迷子の猫を拾った
心のなかで遊んでいる
頭のなかを一日中歩いている
今はもう星座の鎖を解かれ
自由に宇宙を散歩している
私だけの星になった猫
抱き ....
川の流れる音
陽の匂いがする土
草は高原を走り
白い雲は山の襟巻き
種を一つあげましょう
夜の良いところは
星を見せてくれること
昼の良いところは
陽の温もりを感じること
....
バラが散ったあとに
可愛い赤い実が呼びかける
妖精は両手いっぱい摘んで
森の湧き水に浮かべる
宝石のようなハーブは
冷たい夜に妖精を温める
湯気の向こうに
ぼんやり見える ....
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