もうあの日の子供ではない
単衣が似合う長い髪
妖精がつけてくれた紅
御簾の外は月明かり
私は繰り返し和歌を詠み
あなたに渡すつもり
裏の紅に触れるかしら
吹き消した蝋の匂いも煙も ....
誰もいない静かな高原
雨に濡れた五つの花弁
獣道に紫色の風が舞う
月は山に隠れ
見えるのは六連星だけ
一人分の星の束
墨があれば忘れずに
言葉を残すのに
草に隠れて手を伸ばせば ....
パリの妖精
第4話「コンコルド広場の妖精」



学校帰りにマカロンを買う子供
笑い声が風のように過ぎていく

一緒に遊んで欲しそうに
妖精が肩の横で飛んでいく

遠くにエッフェ ....
パリの妖精
第3話「ムーラン・ルージュの妖精」



サクレ・クール寺院のてっぺん
十字架に座って街を眺め
星がやってくれば人ごみに紛れ
出来たばかりの赤い風車を覗く

貧しい画家 ....
雨音のように
妖精の足音のように
今はもう無いはずの
ピアノが耳の奥で
海鳴りのように降る
目を閉じて幻覚に触れて
優しい声が指先に響いたなら
ソフトペダルを踏むあなたが
紫露草の ....
白詰草の畑で横になり
ミツバチの羽音を聞く

陽の妖精たちの
鱗粉が睫毛に降りそそぐ

甘い香りだけ頂く
そう私は香り泥棒
流星の親子が流れていく
暗い夜空になかよく
迷子にならないように
手をつないで流れる

赤ちゃんの手が離れ
小さな光が雲に落ちる

一人ぼっちで泣く流星
大きな泣き声は雷になり
 ....
季節が一つ
生まれ変わろうとしている
蝉が雨上りの森を見つめる
鳴き声のように
花びらの
流れる音が木霊する
夏の花が散っていく
鈴虫の枯れ葉の家にも
綺麗な屋根がのる
落し ....
右も左もなく上も下もない
平等な海で星は遊泳する
私たちが憧れる永遠の平等のなかで
妖精は星をあつめて瓶に詰める
おはようとおやすみと言うために
瓶は転がり繰り返し時間が流ていく
 ....
閉めたブラインド
風が隙間を探してる
湿ったコットンが
乾く場所を探してる
少し開くと一気に
夜行列車のように
光の数珠が流れて来る
一瞬見える青空に
涙を吸った雲が浮いてた
 ....
命が見えるのは

ワインのような

朝日のまどろみ

夢の中のふたり
パリの妖精
第2話「ブローニュの森の妖精」


木漏れ日を閉じた目蓋に受けて
アントワネットと並んでお昼寝
小鳥も啼かずに羽根を日傘に

温かな土と草の匂い
ゆっくり瞳をひらけば
 ....
パリの妖精
第一話「オペラ座の妖精」


空ほど高いフレスコ画
砂時計を止めるほど美しい階段
バレリーナの魂が空気に溶ける

オペラ座に棲む妖精マリエル
百年が過ぎても愛は色褪せず
 ....
夕日の卵を提灯にして
黄昏に天国から降りてくる

想いが長い階段になり
一段づつ踏んでは
光に変えて降りてくる
階段を照らし優しく燃える

魂に似たホオズキ
耳元で囁いたのは ....
満月は夜空に
一生懸命に
青空を創る
太陽に負けないようにと

白く優しい光が
見えないはずの
二人分の夢を
ぼんやりと浮かべている

流れ星をつかまえて
手をつないで
ゆ ....
入道雲は白く眩しく
石鹸の泡のように
見上げる心を洗う
タンポポの終の棲家にも似て
どこからともなく聞こえる
蝉の声が弔いのようで
魂が白く丸いと気づく
飛べる気がする
あの雲に帰 ....
オレンジ色の海に
真っ赤な風船が
空気が抜けていくように
溶けて流れていく
真上にはもう
気の早い星がやって来て
透明な月も
火が灯る提灯になる
ありがとう さようなら
黄昏の精 ....
星が地球を見てる
たくさんの星が燃えながら
地球を見てる
この青い綺麗な
妖精が棲んでる星を

地球は燃えていないけれど
宇宙の中でいちばん
きれいに光っている

いま私はあの ....
部屋の灯りを消して
薄暗い部屋で一人
蝋燭の炎の向こうを見る

私の影が部屋のあちこちで
おしゃべりをしてる
おだやかなオレンジ色の光が
部屋に充満している

窓をあけると
影 ....
洗いざらしの星を並べた
白い砂浜に横たわる
深く赤い光

あなたが好きな夏日星
私は見て欲しくて
アンチ・アレースになる

南の地平線でそっと
天の川に隠れ
嫉妬の火が燃え ....
日傘に蝉の声が降り注ぐ
神社の空気まで
短い命を受止めようとする
風に震えるおみくじが
何かを語ろうとしたけど
蝉の鳴く声が重く乗る
振り返れば曇空
祭殿に日傘を忘れ
夏の涙に濡れ ....
ノルウエーの森で
短く小さな命が一つ
白い紫陽花と一緒に土に帰り
妖精のお葬式が始まる

毎日フィヨルドを眺めて
泣いてる小さな女の子
入江の小さな家で
妖精だけが友だちだった ....
私は花に憧れる
花の言葉が聞こえたら
花の気持ちを知って
花の魂を感じたなら
私は妖精にお願いする
私を花にして下さいと
私の心を花に変えてと
病室の花瓶に咲いて
あの子の窓辺にい ....
また逢えたね
今年もずっと長く
一緒にいようね
夏休みが終わるまで
君は大人になるけど
僕は子供のままだよ
海辺の町では
浦島草って呼ばれてたよ
君のママは百日草って言ったね
 ....
新しいお薬が出来たよ
森の妖精医院から
真夜中に声が響き渡る
眠っていた虫たちは目を覚まし
サルスベリの木が揺れた

星の欠片を粉にして
天の川を一滴
ミツバチから甘い花の蜜
最 ....
いらない花も
無駄な花もない

路地裏の雑草も
花が咲いて恋をする

日陰の小さな葉にも
綺麗な花が咲く

誰も見ていない
誰の視線も気にならない

自分の時間だけを
精 ....
シトラスの葉から
落ちないように
無重力の赤ちゃんが歩く
柑橘類の血を吸って成長する

妖精が蜜をたくわえた花を
森に咲かせて待っている
蝶は知っているだろうか
妖精は教えるの ....
誰にも見られたくない
知られたくない
日記のありかを

日記の海に私は住む
羽根が欲しくて泳いでる
海の底でゆらゆら

もう少し軽く自由に
いつかなれたなら
ハマナスを見に行く ....
湿った苔の小径
ウサギの足音を吸込み
風の調べに舞う落ち葉
虹の噴水のように
夏菫が寄せ植えされる

見下ろす二羽の小鳥は
ブーケに憧れ
妖精にお願いをする
妖精の森の結婚式 ....
昨夜庭で泣いていたら
妖精が昔話をしてくれた
地中海に棲んでたころの

私も一人海を見ていた
とても眩しい青い海を
花の色は海の色

ケープを纏った魔女が
葉を摘んで行った
 ....
丘白月(577)
タイトル カテゴリ Point 日付
末摘花の妖精自由詩119/8/16 19:14
楝の妖精自由詩019/8/16 10:44
コンコルド広場の妖精自由詩019/8/16 9:53
ムーラン・ルージュの妖精自由詩119/8/15 18:34
水玉にとじて自由詩119/8/15 9:56
香り泥棒自由詩119/8/15 8:10
迷子の流星自由詩019/8/14 17:27
花時計自由詩119/8/14 8:58
星時計自由詩119/8/13 22:12
雲の種自由詩519/8/13 16:51
お盆の朝自由詩019/8/13 8:46
ブローニュの森の妖精自由詩019/8/12 21:23
オペラ座の妖精自由詩019/8/12 10:36
ホオズキの妖精自由詩019/8/12 7:44
妖精を感じた夜自由詩119/8/11 20:43
石鹸の雲自由詩219/8/11 10:02
黄昏の入り口自由詩219/8/10 20:56
夜空に願いを自由詩019/8/10 18:54
ろうそく自由詩319/8/9 20:11
蠍座自由詩119/8/9 20:07
降り去る命自由詩019/8/9 6:25
夏の天の川自由詩019/8/8 20:07
花に命売ります自由詩019/8/8 19:47
ジニアの妖精自由詩019/8/7 20:33
妖精医院自由詩119/8/7 19:27
妖精の愛自由詩219/8/7 19:14
蝶になる方法自由詩119/8/6 19:40
海の底でさようなら自由詩119/8/6 18:08
夏菫の妖精自由詩019/8/6 17:56
ローズマリーの妖精自由詩019/8/5 12:01

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