嫌いな人を
嫌いな物を
嫌いな時を
たくさん思い出して
たくさん考えてみたら
心が汚れた気がした
無理に汚した気がした
心にいるもう一つの
綺麗好きな心が泣いていた
誰にも気づかれず ....
空で風と恋人になるシャボン玉
風に抱かれて弾けるシャボン玉
風が啼きながら飛んで行く
空に溶けた香りを追って
シャボン玉の魂を預かった妖精
陽の匂いを挟んだ花が咲く
風が匂いをかぎなが ....
昔むかし一つの光を
神様が宇宙に落とした
星から星へ跳ねて
幾つも色を置いて
終わりのない果てへ
走っていく光の羽根
無数の星は空に撒かれた種
ひとつまたひとつ
運んでは咲かせている
....
やさしい春の結晶が
涙のように
ぽろぽろと散って
日差しを吸いながら
光って舞っている
あなたと歩いた日々は
あの空の向こうに
行ってしまったけど
この香りと温もりは
今も生きている ....
白く白く月が桜を照らす
雪のように花が枝に積もる
星のように小さな光が
風に乗って幾つもあらわれる
今宵は妖精の夜
夜空も見えない桜の下で
桜の国で踊る妖精たち
ピンク色の羽根が
宙を ....
あなたの手紙を
千切って投げた
涙でかすんだ夕暮れに
妖精があらわれて
風の中で大事に集める
やがてウロコ雲のように
空に並べて言った
この手紙は返事を待ってるよ
でもあの人はもういな ....
しだれ桜が
暗闇からあらわれて
燃えるように
足元に落ちて来る
春の夜に思い出すのは
秋の夜のこと
月夜の丘で見上げた
獅子座流星群
宇宙の季節も
私と一緒に巡って
春の獅 ....
雨上がりの公園に
ボンボリが灯され
水たまりにも花が咲く
噴水は花吹雪のよう
屋台の明かりが
お堀の水面に並び
人影が楽しそうに揺れる
人混みを歩いて
孤独を理解する
似た人の背中を ....
風の夜と雨の夜
一人の寂しい夜に
二人が窓を叩いてくれる
歌う風と踊る雨
僕が眠るまで
二人は庭で宴を彩る
ありがとう
寂しくないよ
今は音が欲しいんだ
ありがとう
おやすみ
料紙に書いた歌
千切って月に浮かべてみる
水面でたっぷり涙を吸って
縮んで沈みかける心
ツツジの花のように
薄紅色の月が咲く
妖精は和歌を拾い天で詠む
おはよう
そう言って
一つ一つ
蜜蜂が筒を覗いてる
眠そうな妖精が
おはようと返事をする
花によく似た紫のパジャマ
丸めた羽根はオーロラのよう
鼻の頭に金の花粉付けて
満月は ....
春風を摘み取って
握った手に一杯さして
そっと覗いたら
白い妖精がこっちを見てた
春になると思い出す
初めて逢った新学期
あなたの後ろが私の席
そっと背中の糸くずを取った
窓辺の席であなたの制服は
キラキラ黒いダイヤのよう
春の日差しはなにもかも
希望しか見せ ....
滝のように庭を流れ
壁を落ちて
風にゆれて花が
泡のように溢れる
妖精が幾つも色を並べる
隙間なくパズルのように
そうして誰も入れない
世界を描いていく
どんなに小さくても
....
春の朝顔
金網に巻き付いて
いちめんに花をつける
朝の風のような
澄み切った紫の花
古い家のレンガの
壁を美しく飾って
家を覆い隠して
その中で妖精たちが
集まってお話し ....
椿の葉に隠れて
雨宿りしてる小鳥たち
空が綺麗になるのを待っている
雨が街を洗濯する
手の届かないところを
綺麗にしてくれる
空を洗って
電信柱を洗って
屋根を洗って
山の木 ....
静かな春の森
やわらかな光
風と踊る花たち
森に満ちる日差しが
海のように揺り籠のように
眠る妖精をつつむ
夢を見てるのね遠い春の夢を
閉じた瞳から閉じた唇から
やさしい記憶が ....
声にならない声と
涙にならない震えを
背中から大丈夫だよと言う
喧嘩の言葉と笑い声が
行ったり来たりしながら
やがて去っていく
公園の芝生は
訪れる人々の声を
すべてうけとめる ....
ミミズさんがね
僕をくすぐって
もう起きてもいいよって
暖かくて優しい
お母さんのような
土に抱かれていたんだ
ほら並んだ僕達を見てよ
向こうの一番背が高いのは
早起きの妖精さ ....
いつからだろう
勿忘草が庭に溢れて
目を閉じれば
目蓋に咲く
いつからだろう
冬と春のあいだに
優しい感謝が
よこたわる
忘れないで
忘れないよ
白い息が刺繍糸のように
....
陽は西の国へ帰る
月が別れを惜しんで
黄昏に手を振る
静かな夜の夢が
凍ったように綺麗な
妖精の池に
浮かんでは消えて
遠い日の高い空を
二人で指さした
あの笑い声が
水面を揺らし ....
まってどこへ行くの
私も連れて行って
風のしっぽをつまんで
ついていくどこまでも
金魚草が泳いでいる
風の水槽の中で
私は浮草になって見ている
いつまでも漂いながら
金魚の ....
流星が導火線のように
片想いを焦がして
やがて綺麗に輝く
宇宙に花火が咲いて
見上げるわたしに
小さな火花が落ちる
心に深く沈んだ灯火
恋の予感は
火薬の匂いがした
日曜の朝
いや
もうお昼過ぎ
庭の椿が
妖精のように
障子戸に
影絵になる
コーヒーカップが
日時計のように
テーブルに
影を伸ばして
どこへ行くのと
僕に問いかける
コーヒ ....
花のひらく音が聞こえる
朝露に陽が落ちるような
庭に咲いた花を切る
母が好きだった花水木
母の真似をして
背の高い花瓶に
長い枝を挿してみた
学校にも持って行こうかな
友だ ....
好きだった人の家
レンギョウの生け垣の向こうに
あなたの部屋が見える
いつも通り過ぎて
部屋の窓を見てた
また春が来て
レンギョウが私の想いを
まるで知っているように咲く
香りをい ....
小手毬が咲いた
垂れ下がる花を
子猫が手を伸ばして
撫でている
花の声が聞こえない
雪の中で生まれたばかりの
子猫はこれから
たくさんの花と出会い
蝶と友だちになり
ミツバチと会話す ....
ガラス細工の星
流れて落ちれば
きっと割れて
水平線に欠片が散って
夜光虫になる
動じることなく
宇宙の季節に
身を任せて
夜空に光の花びらが
降り積もる
永遠に変わらぬ
....
一つ季節を越えて
一年歳を重ねて
一人旅を始めたのが
昨日のことのよう
夢の中で夢だと分かって
覚めないでと願った日々
色はあせて
日に焼けて
気づかないうちに
すこしづつ
....
陽に透ける長い黒髪に
ウエディングドレスのような
白いジャスミンを編んで飾る
この香りがどうかあの人に
とどきますようにと
ジャスミンの茎を軽く噛んで
目を閉じて祈る
桃色の ....
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