小粒な貝殻が天使の爪となり
冷たい海水でその羽を洗うような朝
紺碧の海に笑う神々の声みたいな
波の音が轟きその間に間に凪いだ水面
今生で忘れかけていたことを喚び起こす
その潮の干満に合わせて ....
前略 生きてるかい
そんな綺麗な便箋の文字が
心の琴線に触れて
栓をしたはずの思いが
全然忘れられて無かったって事に気づいたよ
公園の陽だまりで日向ぼっこした様な日々
胸に響くひなげしの花 ....
一秒前の瞬きに取り残された世界で折り紙を折る音を聞く。
永遠に手に入らない宝石の輝きを見せつけられたような日。
大好きだと、遠い遠い島国から言われたような気がして、一瞬何のことだかわからなかった。 ....
あの日の私に出会いたいです
あの頃
夏が来る前の
雨の日の石の匂いが私好きでした
さみだれて
地面から立ち上る
美しい予感のする何かに
失った恋の数だけ
....
さんざめく さんざめく
声や恋に嘘がないように
私の生きてきた軌跡にも嘘がない
秒針を食む心地で叫ぶ
この夏よ 終わるな
生きているだけです きみが好きです
生きているだけできみが好き ....
美しくなりたいと言って、僕はきみと同じように美しくなりたいです。
同じお店でブローチを買ったり、帽子を試着したりして。
天国に行くよりも、きみがいるこの世に
もう一度生まれたい。
そう思えた冬 ....
窓を開けて空を見上げる
東では 点々とした軽い雲が
西では茜に染まる分厚い雲が
それぞれの空を覆っている
足元を見る
今日届いた
ポルトガルの織物が
床に広がっている
....
病んだような落日の頃
サルバドール・ダリみたいな豊かな泡立ちの中でクロイツェルとガスパールを聴く
人生と同じように儚く舞い散る秋の葉
悲しみもこれくらい美しかったらいいのに
生きて ....
月が死ぬ
日暮れから宵に沈む僅かな間
やがて消えていく
虫たちの声を聴いて
夜で夜を愛し
黒で黒を染めて
綺麗な歯を晒した後の
肌を覆う闇に浸る
冷たく ....
星の光さえ霞む様な長い時間の中で
一瞬だけ約束を交わした
私は生きるこだま
私の吐く言葉で
街が光り
慟哭が止み
人々は色めいて
大地は舞う
生の喜び
....
嗚呼これはあの日々の事だ
あの寒かった秋の海での出来事だ
曙光がその大理石の青白い肌を照らして
それは水の音 羽音 荘厳が立ち現れる気配
一切の神々は沈黙を遠のけておらず
....
ちょっと寝ていたら一世紀遅刻してしまった
お詫びにキラリと星を掴む 光になる
星々は銀で出来ていて
地味だけど価値のあるものを燻銀なんて言うけど
地味だけど価値のない私は何にな ....
春みたいな秋に
太陽を見つけた
きらきらと
照らす光の膜が
樹々を包み
あかあかと
紅葉は空を彩っている
ゆらゆらと
風に揺れる花々は
てんてんと ....
僅かに晴れた朝に
太陽が死んでから
街では優しさが忘れられた
祈りの声は消えて
黒い虹のような桟橋から
ぼろぼろと人々が零れていく
風たちの呟きは絶えて
今 ....
綺麗な花を見たその眼で
私のことを見ないでください
そう言いながら
ふるえる骨で菫を拾う
きみは愛された死者だから
眼を閉じても会いに行けるし
白いハンカチが良く似合う
たっ ....
風を待つ秋の夜に路傍で空を見上げていると小さな星がひとつ消えました
その星の光は何万年もの旅をしてここにたどり着いたといいます
何万年も前に小さな星は消えていました
私が見ていたもの ....
美しい世界を知らない美しい人々
この夜を朝に変えることもできないのに
大気が乾燥しているから今日は空が綺麗だ
アスファルトの上を模様のように這うトカゲには太陽は目に痛い
そう、そのきみが太陽か ....
神々の夫婦喧嘩で
あたりちらし流れ着いた新しい愛
それは朝の空に浮いているみじかい月のように欠けているから綺麗だ
浜辺で月が太陽を追い落とす時
酔い潰れる死からは逃れられない
死には遠慮 ....
どうにかして世界を変えたい
どうしても全世界を救いたい
それくらい人間でいたくない
恥ずかしくなどない
涙も忘れる
水音を聴いて
静かにそこを動かない
軽やかな沈黙とぎこちない目線
ど ....
冬の匂いがした
灯りの下の家族の匂いと雪になる前の雨に濡れた石の匂い
マフラーに染みついた乾いた体の匂い
生きるのは恥ずかしい事だと思っていた頃
全ての同い年から置き去りにされた様な焦りと孤独 ....
むきだしの弱さに泣いた
むきだしの傷に泣いた
むきだしの醜さに泣いた
むきだしの罪に泣いた
むきだしの悪に泣いた
むきだしの狂気に泣いた
そうしてできた君の海でいっそ溺れてしまおうか
三 ....
君の未来が見たい
そう、つぶやいて砂をまく
砂が降る
いっそ、海に溺れよう
そんな言葉を僕が覚えたらこの世に悲しみが増えた
朝を迎えるために、夜が更けていく
それでも、死んでしまう月がある ....
太陽を掲げる夢を見た
聖を訪ねて歩く
西へ
世界は終わった訳ではない
かと言って始まってもいない
全ては鼓動の中にある
終わりとはじまりは同じ
ここにある
三千年生きた私と
千年生き ....
残忍な言葉を
紡いで連ねた先に
新しい朝が来る
光を見たいと願う
恍惚の夜に
アニマ、甘やかな誘い
海の心臓を隠し
空の目玉を盗む
人生を隠蔽して完全に偽善の生を送るか
一度きりの生 ....
言葉のない世界の方が美しいけど、でも僕らはこの世界を選んだ
私、神様よりもあなたが好き。
どうやって、この気持ち伝えようかな。
この気持ち伝えるために生まれてきたのに。
何度、生まれてもあなたに、何度でも気持ち伝えたい。
いくつもの星が ....
わたしのわたしのわたしのための あなたのあなたのあなたの世界
あなたのあなたのあなたのための わたしのわたしのわたしの孤独
わたしのわたしのわたしのための あなたのあなたのあなたの心
あなたのあ ....
世界が終わった後の様なゆうぐれに公園で散歩した。
父と母と三人で。
その時、僕には神様の声が聞こえていた。
父の隣で、母とは少し距離をとって歩いた。
本当に世界は終わったのだろ ....
全然、夜にならないから、電気を消して、窓を全部閉めた。
長い間、どこへも行かず、誰とも会わず、この世の端っこの方で、人生が終わるのをじっと待っていた。
僕の人生はまだ始まったばかりだった。
以前 ....
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