幽閉されたのは
地上と空の隙間
鳥よりも下で
ぼくは生きる
人間にもなれない
あいまいさ
クラップ ハンズ
だれにも触れられない手を
たたいてる
雨がふればいい
....
昼下がり
しってる
吹く、かぜの
感触
ひさしぶり、と
懐かしむまえに
しらんぷりしてとおりすぎる
6月の
かぜ
窓ガラスに笑う月
ことばを司る神経が
いかれちまったんだ
きれい としか
ぼくは言わない
それでいい と
母親は笑った
ガラス瓶に入ったら
出られなくなった
壁は透明で
外のようすはよく 見えた
きれいなものが見えて
手に入れたいと思った
愛しいかたちがあって
触れてみたいと思った
透明な壁 ....
こうしている間にも
ぼくは死に近づいているのだと思うと
無性に何かをしなきゃと
思った
ぼくが死んでも息をする
言葉がいい
開いたページに並ぶ文字が
にやりと笑う、
言葉が ....
伸ばしっ放しの爪が
裂いた冬空
洩れるのは月の、光り
南西の空に落とした方舟
....
今日を飛び越えるのが
ひどく難儀だった
今日と明日の隙間に
いつも
....
目を閉じれば暗闇
その中にも色は
ぽつり、ぽつりと
置かれている
....
あなたの寝息をききながら
椅子に座ります
滑り落ちてゆく夕暮れを
読みかけの本に挟んで
あなたの寝顔を
こそりと見ます
....
わたしは揺られてゆくのです
暖房で濁った、暖かい空気に包まれて
わたしはゆくのです
赤い列車はわたしの知らない幾人を乗せて
ここよりまだ寒い明日の方角へ向 ....
ぼくはシィの心の中に巣くう救世主の皮を被った悪魔。病巣、癌だ。
6年前、シィは死にたかった。初めて出来た友人にあっさりと180°位置を変えられ、嘲笑の渦に落ちた。まだ幼く未熟 ....
魔法を降らせそうな紫の空
広いそれに雪雲を敷きつめて閉じこめた
背の高い木々の細い指先が
くすぐるように風に揺られる
....
夜も構わず降り続いたんだ、雪。
梢を伸ばした櫻の木が
両腕いっぱいにそれを受けて
しならせて垂れる
....
赤い鏡の世界に意識をとばすと
幼い空気と目が合った
昇ってきた階段の ....
ご大層に生きる意味を掲げる人間が嫌いです。何に価値を置こうが知ったこっちゃないが、いちいち人前で叫ばなくてもいいのではないだろうか。
極論で言えば、「生きることに意味は無い」でしょう ....
目を閉じると遠い
なにもかも
くるまの行き交う音が波音のようで
ぼくをここからひきはなす
....
天井が見えた
ひどく煤けた見慣れた天井
ぼくは眠っていたようで、柱時計の秒針が刻む音できっと目を醒ましたのだろう
ここは来たことも見たこともない場所で ....
舞い散る雪はどれも均等に白く
ぼくの体温を盗むほど 冷たい
吐く息は白くて、
ぼくを付けてくる足跡すら白い
....
きょうのひがおわる
おんなじように あなたのひもおわる
きょうもいきてるよ
だって ....
たぶん一瞬だということはわかっていた
それはマスメディアによる知識かもしれないし、本能的なものかもしれない
きみが憎かった
理由はいつの日も単 ....
ぼくの20歳年上の友達は
ぼくによく似てる
独りぼっちで、愛を知らない
彼はぼくとは違う
中身じゃなくてね、見た目
彼の両 ....
結局ぼくはぼくにしかなれない
誰も、そう
自分自身にしかなれないんだ
おなじ感情を共有することも、
ひとつのからだになることもできやし ....
まるい水溜まりに映った月を掬おうと
手をのばして 壊した
幼き日の悪意なき悪意
....
ぼくの短い両腕じゃ
半円だって描けない
手をつないで欲しいんだ
き ....
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