木枯らしの吹く冬空に
わずかに太陽が顔を出したら
一瞬
懐かしい風が頬をなでた
僕は我に返って
思わず振り返る
人ごみの中に消えてゆく
自分の記憶の中だけにある声と面影
....
「それじゃ」
それだけ言って
お前は部屋を出て行ったっきり
二度と戻っては来なかった
コンビニに買い物に行くように
いつものようにドアの前で
手を振って
なぜお前が消えたのか ....
雨の日は
一日中寝て過ごしたい
灯りをつけようか迷う室内は
まるで処刑前の牢獄のよう
隔離された空間に
さあさあと
涙の落ちる音だけが聞こえる
少しずつ
歪んでいく景色
....
乾いた風に刻まれて
ひび割れた唇は
冷たい鉄の味がする
樹液で貼り付けられたように
言うことを聞かない両足
遠い国で起こった悲劇で
消えていったものの軽いこと
目の前で起こっ ....
都合よく
記憶喪失にでもなりたい
いくら泣いたって
所詮
出てくるものは食塩水なんだよ
突然捨てたくなる
五体満足
誰かにかまって欲しいから
夜中に泣きながら
電話してく ....
夜空の星ほど過ちを犯し
すっかり両手は
真っ赤に染まってしまった
小さい頃に泥遊びをして
汚したはずのこの手と
重ね合わせては
罪悪感なんかじゃない
儚い無常がここにある
....
どんな大船に乗っていても
いつかは必ず傷ついて
壊れてしまうんだ
目的地の島には
いくら乗り継いでも
辿り着けない
ある人は途中で諦めてしまい
ある人は志半ばで逝ってしまった ....
疲れているのに
眠れない
胸のどこかに忍び込んだ
君の猫じゃらしが
延々と僕をくすぐり続けて
ああ
眠れない
僕は
恋をしている
年末ジャンボは
やっぱり見事に外れた
でも
僕は今
しあわせだよ
コンビニで
ガリガリ君を買ったら
当たりだった
ほら ね
こんなにも
僕は今
しあわせだよ
この携帯電話一つ
棄ててしまえば
僕はたちまち解放されて
自由になれる
でも孤独が怖いんだ
部屋で一人
テレビゲームをしていると
ふと
死にたくなる
たばこに火を ....
どんな顔をして
君に会えばいいのかな
そんな迷いは
懐かしい笑窪にかき消された
君はほんのり白くて甘い
やさしいママの香りがする
二人の子供も連れて来て
やっと私は
私 ....
いつか君からもらった
手編みのマフラー
今頃になって
箪笥の奥から湧き出てきた
ボロボロにほつれてしまっていて
それはもう
今の僕らみたいだった
流れ 流れゆく時の中で
....
ねえ おねがい
あなたが持っている
わけのわからないネタ帳の
一番大切な詩は
どこにも公表しないでほしいの
誰かが大きな声で
その詩が良いと言ってしまったら
きっとみんな同じ事を ....
太陽の光に 目が眩んだ
外に出ると
誰かと肩がぶつかって
紙切れみたいに
尻餅をつく
ぐるぐるまわる
早送りの世界に目が回って
いくらカウントとられても
立ち上がれない ....
0.0000000000001%の
ために
僕は今日も
生きてる
痒い
と気がついた時にはもう
君の影も形も見つからなくて
胸に赤くて丸い穴ができていた
血と共に全てを吸い取られ
僕に残ったものは
涙だけ
長い長い夢を見た
右腕の窮屈さに起こされて
見ると君が猫のように丸まって
僕にしがみつくように眠っていた
君を起こさないように
こっそり右腕を抜き出す
それに気がついて
君は ....
何もかもくだらなく思えてきて
途方もない真っ直ぐな道を当てもなく歩き続けていた
しばらくすると海が見えてきて
老若男女が海辺や海に入って楽しくやっていた
誘い込まれたように
気がつく ....
あなたは言った
「もっと頑張りなさいよ」
あなたは言った
「まったく君はだめな奴だぜ」
あなたは言った
「優柔不断な人って嫌いなの」
あなたは言った
「良かったら付き合っても ....
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