黒い羽根を持つ蝶を捕まえた
指先に鱗粉で黒い粒できらきら
細い脚で必死で逃げようともがく姿
生きようとしている命を奪う権利は僕にはない
傍にあった釘で羽根を樹に打ち付けた
あまり暴れると ....
生きている価値なんてない
卑屈になって部屋に篭り切りで
そんな貴方にも差し出す一輪のガーベラ
生まれてこなければよかった
そんな人はこの世には誰もいなくて
手に入れなければよかった
....
白いシーツの上にしな垂れたキミを
優しくゆっくりとそこへ
抗う事なくシーツに埋もれて
髪の乱れも気にせず
見開いたその瞳には何が映っているのだろう
歪曲する部屋の家具が畝って渦になる
....
四角い窓から見える蒼穹がどこまで続いているのだろう
そんな事にいろいろ思いを巡らせては外の世界に憧れを抱くんだ
僕はキミみたいに自由にはなれないから
空想で創り上げた硝子の街を歩く事しか出来ない ....
僕はキミの海で溺れる魚
どれだけ嫌われても
嘘の愛情でも
与えられると嬉しくて
悲しい程に切なくなって
瞼の裏の真実を裏切る勇気もないまま
偽物でもいい
キミの傍で呼吸をしていたい
....
空に舞い上がる幾千もの羽根に
貴方は何をそこで祈るのでしょう
星はやがて堕ちて煌く術を失います
そんな無数にある星のひとつが貴方の心
どこでどんな輝き方をしていますか
空に指で描いた理想 ....
あれ? おかしいな
さっきまで一緒に笑っていたよね?
急にどうしてそんな事を言うの?
どうして態度をいきなり変えるの?
僕が何か悪い事でもしたかな?
ねぇ? どこへ行くの?
そんな冷た ....
悲しみが滲む蒼穹の果てが
ゆっくりゆっくり{ルビ紅=べに}に染まってゆく
そんな{ルビ表情=かお}をしないでと宥めるように
隅から紅が侵食されて悲しみが消えて
心に翳が射すのを必死で誤魔化 ....
今日も終わろうとしています
一つの終点に相応しい月明かりが
街を静かに照らします
無事に生きている事に誇りをこめて
掲げる祝杯で全てを許してあげましょう
皆から非難されながらも
生きる ....
鈍色の空の下で腕を伸ばせば
あの栄光にも届く気がしました
太陽が隠れている今なら
大丈夫なのだと誰かが囁いたのです
遠く近くで零れ落ちる水滴を
振り払う事もせずに
ただ虚空の先を探して ....
蒼く澄みきった蒼穹
どこまでも拡がる世界の底は
いつか毀れて砕けてしまう
それは悲しい痛みを伴って私の胸へ
振りし注がれる水滴が
この身体を洗礼してゆく
誰かの悲鳴が聞こえる
助けて欲し ....
虚空に指で線を引く
これ以上傷付かないように
先へ行けば傷口が疼くだけだから
進めないようにと
自分で限界を決めて
もう誰も信用はしない
傷口を自ら広げるような
そんな事に疲れたんだ ....
誰かが願いを架けた流れ星
零れ落ちる涙は頬を伝い
張り裂けそうな胸を必死に抱きしめて
あの人だけはあの人だけは
祈りを捧げるロザリオ
誰に向けるでもない悲しみは
キミに襲いかかる弾幕の ....
どうしてそんなに早足で歩いてるの
どうして誰かに追い越されると焦るの
僕の横を俯き加減で通り越してゆく人たち
何も言えず誰かが敷いたレールの上
立ち止まらずに歩いている
疲れたなんて言え ....
モニターの前でスクロールしてゆく文字の
そのひとつひとつは何の意味もなく
脈絡もない文字の羅列で
本当に他の場所でこの画面を見ている人たちは
面白いと思っているのだろうか
ネットだけで使われ ....
夢の淵で見た幻影の
私は笑顔で大勢の人の輪の中に
ずっと憧れていた光景に今
自分がいるのだという幸福は
瞼を開ければ気付く
全て硝子で出来た世界での出来事なのだと
瞳が部屋を映し出せば
....
貴方が私の前で微笑んで
優しい言葉をかけてくれる
私に似合うと言って
贈ってくれた宝石
私は貴方に何もしてあげられないのに
どうしてこんなにも
優しくしてくれるのか判らない
貴方は誰 ....
布団に潜ってはよく考えるんだ
どうして生きているんだろうって
答えが欲しい訳じゃないけど
考えてしまうんだ
誰の為に何の為にこうして
呼吸をしているんだろうって
物事に躓いて失敗し ....
喋らなくなったキミは
瞼を閉じたきりで
いけない夢を見ているの
悪い子には私がお仕置きを
白い腕をだらしなく垂らして
なんて情けないの
抵抗しない身体は意外と重いのね
早く連れ出して ....
また誰かがどこかで
あの人の悪口を言っている
馬鹿だと罵っている
出来損ないだと嘲笑している
皆が集まってきて
あの人に痛い眼差しを向けている
沢山の人に囲まれて動けないあの人
苦い ....
瞼を静かに開ければ見えてくる
瑠璃色の透き通る世界
頭上で渦巻くのは誰かの悲鳴なのか
脳に胸に沁み込んで
痛いのか苦しいのかな生温い風が
僕を包み込み謡う
重力などここにはなくて
足 ....
人々から罵倒されても
何度でも立ち上がれる勇気を
この心に投与して
気付けばいつも独りきりで
少し離れた場所から
数人が囁き嘲笑している
僕が醜いから
蒼穹もいつの日か堕ちてくる ....
全ては仕組まれた運命
発する言語は金属の脳に
プログラムされた意識の海
指で弄って配線を変えてしまえば
誰もが別人になれるわ
瞳に映る景色さえ違って見えるの
見た事のない場所が
記憶 ....
手を伸ばせば届くと信じていた
あの硝子の向こうに拡がる世界を
この眼で見てみたい
それだけなのに
掌は冷たい硝子に触れて
もうキミが冷笑している
僕の脚には荊が纏わり付いて
ここから ....
真夜中に目が覚めたので
寝台から起き上がり
カーテンを開けてみました
横で呼吸をするキミの頬に
月が創り出した環が
ワルツを踊ります
キミがずっと
夢を見続けている姿は
まるで人形 ....
真夜中の台所
コップに水を湛えて
ビィ玉をひとつ
覗き込めば世界が歪む
逆さまの僕
蛇口を緩く締めたせいで
だらしなく滴る水道水
ハァプが奏でるメロディが
よく似た音が僕の耳を
....
I am an angel
誰からも愛され続ける
人間達に幸福を落とし与えている
僕は心美しい天使
真っ白な羽で世界を時空を飛び回って
ほら貴様にもあげよう
拾う姿が滑稽すぎて笑みが浮かぶ ....
白く続く世界
腕を伸ばせば掴める
それはいつかの僕の夢
壊れかかった生命
いつからだろう
僕の心には誰かが棲みついて
気付けば見えない糸で
操られた抜け殻
鏡の向こうに映るのは
....
今日も誰かに傷付けられた
気付かないうちに痣があちこちに
あの瞬間の言葉が蘇って
恐怖に震えている
何が怖いのか判らないというのに
どうして私にあんな事を言うの
凄く苦しくて夜も眠れな ....
窓際で外を眺める四角い風景
透明な硝子が心を縛り付ける
ここにはいたくない
そう思うのだけど
どうして僕はここにいるのだろう
寡黙に歩く黒衣の参列
白い花に飾られた柩は中心に
誰ひと ....
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