羽を捥がれた蝶は
飛べなくなって
身体を花の上に横たえ
蒼い空を眺めている
手を伸ばしても
もうあそこへは戻れない
さっきまで自慢の大きく美しい羽で
蒼に溶け込むように ....
始まりと終わりに境界線を引くのは
もう終わりにしませんか
この世は幾つもの糸が絡み合い縺れて
構成されているのです
アナタにとって大きな出来事も
この世では小さな欠片
一つの縺れに過ぎ ....
僕たちの住む世界には
沢山のものが溢れ過ぎて
何を選べばいいのか判らない
手に取っては捨てて
また違うものを探して歩く
どれも輝いて煌いて
何も劣ってはいないのに
この中から一つだけ ....
この祈りは誰にも届かないまま
虚空を彷徨いながら
静かに煙を巻き上げて
消えてしまった
最初から
そこには何も
存在していなかったかのように
誰かに見えない糸で操られ
無機質な感情 ....
生まれてこなければよかった
誰にも必要とされていないのに
どうして今も呼吸をしているんだろう
捨てられて路に転がって
冷たい風に煽られ舞い上がる
そんな小さな祈りさえも
このまま眠り続 ....
蛍光灯の下に籠を置いた
中にはキミの好きだった花を入れて
黄色いガーベラ
あの日からキミを失って
戻ってくるはずもないキミを
毎日こうして待ち続けている
いつでもキミを
すぐに受け入 ....
その瞳に映った僕は偽者かも知れない
空になった心を必死で崩れぬように
両手で抑えるけれど皹割れは止まらず
破片が肌を傷付け血を流す
いくら笑ってみせてもどこか寂しくて
何かが不足している感覚 ....
水を与えなかった苗が
気が付けば枯れていました
水気もなく浮き彫りの葉脈は
以前は生きていたのだと
ここで呼吸していた事
それを私に知らしめているようで
私が忘れていたから
貴方は枯 ....
今日も空は曇っています
鈍色をした雲が重たく
空が底を低くしているようで
手を伸ばせばその向こうにあるはずの
光にさえ手が届きそうな
そんな気がしました
貴方は変わってしまったと
私 ....
毎日味わうこの痛み
誰にどうやって伝えればいい?
誰が理解してくれるというのだろう
眠れぬ程の鈍痛は
私の心をさらに奥深くまで
毒で蝕んでゆくようで
いっそあの時に
永遠を見れていた ....
狭い部屋でずっと暮らしてきました
誰も受け入れないように
皆は僕を傷付けようとしてきます
冷たい視線悲しい言葉
気付けば外が怖くなっていました
カーテンを閉め切って
薄暗い部屋で呼吸をして ....
機械音だけが響く夜に
静かな中に悲しみが宿るのです
生きているのに死んでいる感覚が
体中を走って止まりません
自由を奪われた体が求める安らぎは
誰かの温もりでしょうか
いつかの夜には
....
その言葉はアナタが大好きな
他人を自分の繭に押し込む為の
甘い誘惑でしょうか
僕はそんな偽善は必要となど
見えない糸で指先に巻きつけた糸で
この人もあの人も操られて
アナタの掌の上で笑 ....
水面に浮かぶよ蒼い花
新月の夜ぱっと咲いたよ
誰かが叫ぶ声に震えていたよ
キミが怯える必要はないよ蒼い花
月を映してよ蒼い花
もっと煌きを僕に頂戴よ
光の粉を振り撒き続けてよ
何をそ ....
あと一歩踏み出す勇気があれば
僕は天使になれる
高いビルディングを垂直に
羽根を振り撒きながら
全てが線になる
その瞬間を見せて
夜に浮かぶ満月
蒼白く街に影を落とす
星の欠片を両 ....
部屋が月の灯りで満ち溢れる夜でした
寝台に潜りながら
四角い空を眺めていたのです
星達が何かそわそわしていました
月が沈むのを拒んで
時計台の針を止めようとしているのだと
僕にそっと教 ....
「あげる」
キミはそう言って僕に両手を差し出した
けれどその掌には何も載っていない
僕はキミの顔と掌に交互に目をやった
「いらないの、」
微笑みながら両手を差し出したまま
キミはその ....
あの人のお墓を作ったよ
ほら見えるでしょ?
穴を掘ってそこにあの人を
花一杯にして埋めたの
パンパンって手で地面を叩いて
ドンドンって足で固めてね
砂を山盛りにしてね
その後に灰色と ....
もういないのよ
気付かない振りを
いつまで続けてゆくの?
その腕で抱いていた
あの天使は貴方から逃げ出したの
羽根の折れた泥塗れの
醜いドレスを引き摺りながら
貴方から飛び出していっ ....
満月の夜に光り出す悲しみ
思い出は儚く結界を張り巡らせる
貴方は私を連れ戻そうと
そんな希望はもうないのに
器に満たした液体が
溢れ出して床を濡らす
まだ動けないでいる
何かが私を縛 ....
緩やかな坂道を
転げ落ちる
心のどこかには
穴があって
そこから思い出が
さらさら静かに
抜けてゆく
どうしてだろう
なぜか体中の力が
抜けてゆく
視界が回って色が混在 ....
僕は生きていてもいい?
この場所に居てもいい?
ねぇ、誰か答えて
微笑んでるだけじゃ何も判らないよ
僕の影を誰かが見破ろうとするんだ
時計の針を逆に回そうとしているんだ
見たくない見た ....
萎れた表情に映る月
突風で乱れる長い髪は
以前は誰もが憧れる程煌いて
キミの眼には今
何が見えているのか
凍った夜空に溶けてしまいそうで
僕がキミを抱き締めれば
抗う事なく弧を描く様 ....
キミは誰かの温もりが欲しかった
ただそれだけなのに
上手く喋れなくて寡黙な少女だった
凛とした瞳に宿る意思は確かに
そこに存在していた
だけど誰も触れる事の出来なかった
見えないキミの ....
壊れた旋律で奏でる音で
誰を引き止めるでもなく歌い
絡まった運命を眺める
私が有害である事実を受け止めて
それでも生きていていいと言い聞かせれば
歪んだ姿でも歩いてゆける、
崩れた過去 ....
頭の中の糸が絡まって
記憶が擦れてゆく
あの日の笑顔さえ消えてしまう
このままでは――
動けなくなった体でも
瞳に映る景色だけは鮮明で
キミの涙が零れるのが見える
僕は指を動かす事さ ....
いつもより早く目が覚めたので
まだ薄暗い庭へ出ました
体に沁みこんでくる空気が
私をここから救ってくれるのだと
そんな気がしました
空中を飛ぶ小鳥を眺めながら
なぜ人間は飛べなくなった ....
眠り続ける彼を抱き上げた
だらんとだらしなく細い手足
蒼白い月に照らされた瞼の舞台で
華麗に踊るのは悲しみの輪
狭い場所で生きてきた彼の
存在意義などあっただろうか
持ち上げても重みの ....
綺麗なドレスを纏い踊る
操られているるように
心に刺さった棘はそのままで
穏やかな笑顔を浮かべて
君はここが狭い箱庭だと理解して
それでも踊り続ける
誰かに造られた世界で
関節にごと ....
君に触れようと腕を伸ばす
見えない壁がそれを阻む
何を怯えているというのだろう?
僕は君の温もりに触れたいだけ
あらゆる物を拒んで
見つめる先に逆さに映る景色
そこに僕がいなくても
....
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