「世の中には色んな人がいるねえ」って
そりゃそうだろ
自分の心の中にも色々なものが有るだろ
「なんで戦争がなくならないんだろうねえ」って
そりゃそうだろ
....
いやになるほど
眉間に走り抜ける白い光の胚乳
その揺らんの中で育まれる少女は
きみで
まるで天使のようだから
思わず
壊したくなる
さざ波の振動数の坂道は
きみへ ....
投げ出された星々は
結ばれず
誰ともつながれずに
コラージュ
ただそこにあるだけ
遠い母の
記憶は
ぎこちなく
夜空の
コラージュ。
手を振ってくれた時の ....
心臓は
夜の快音には
同化せずに
二回、呼吸停止
一回、微笑
フルボリュームの
オーディオ。
音浴しても
注がれずに
ちりちりと星がくだける
冷音域
....
心軽やかに
ふわり失う
自失めがけて
春がくる
きみの背中を
ふわり見失う
欠落めがけて
桜舞う
涙ではなく
微笑ではなく
ふわり
行く
幻 ....
知っている胸騒ぎ
ひっかきまわされるこの感じ
知っている胸騒ぎ
きみと相似形のこの感じ
スリル
足元が崩れる恐怖
みたいな
焦がれ
乾 ....
冷気も熱気もふきだまる、いにしえの都
盆地のそこかしこに
立ち昇る仏寺の香はそこかしこに
自然のものだったはずの土地は縦横無尽の
区画されたまちへと緊縛
亡きあの人の菩 ....
黒をはじいた誘蛾灯のような自販機
寄り添う僕と
きみが唇を寄せる缶コーヒー
だけ手の中
待つつもりはないのに
やって来る
悪夢のように青ざめた朝
色が始まれば
....
自分が不正直であるかのように
投函したポストに手をはさまれても
心ここにあらず
無理やり服を着せられてる
かわいそうな犬が
その俺に憐憫の目を送ってきても
心ここ ....
僕にはドラマが無い
と、気づけば
ふと
カーペットにめり込む体
沈む
僕にはドラマが無い
そう気づいた瞬間に
沈む
体
でも
目線がカーペットと同 ....
ぐしょ濡れ靴に、ひそむ小虫が
俺の靴ひもを何度もほどく
そのたびに結び直すのは
迷いか
恐れか
Uターンして帰宅するチャンスを
何度も与えてくれる
サンクス、小虫
....
夕日を迎えようと
あわてて
西端だけ
昇る地平線
そのせいで
傾く景色
と
傾く地面を
....
1.
野心を特化して行き着いた先
銀光の街
やり残した昨日と、やるべき明日を
奔放に行き来する 銀光の魔力、満ちる場所
だけど、グラス型のビルのすき間に
夕焼けを注ぐ時刻に ....
行き交う人の笑顔が溶ける
やわらかい世界
は
かたい俺をはじく。
あの日ウンザリしたきみの泣き顔だけが
今の俺を支えるほどに。
少なくとも俺はあの日
必要とされたから
....
こぼれる夕暮れの赤
そのにじみの跡を
窓ガラス越し、指で混ぜれば
ばらけていく赤
カケラになったり
粉になったり
くびれた小瓶に入って
....
ベランダにあるテーブルの上
お酒と料理を
ようやく並べ終える きみ
黒髪が風に流れ
その先から濃くなっていく夜
別れ
切り出せない互いのセリフは
草書体のように
読 ....
ポジとネガを反転させれば
ふられたことは正解だった
悲劇が全部喜劇に見えた
白い夜空は寝づらかった
現実の方こそ夢だった
白黒はっきりさせてみても、黒白が ....
次のかどを きみへ
ハンドルをきって
きみがいる公園へ
自転車をとばして
金と銀のからまる陽光を
さけて
木陰で待つきみが
見えてきて
日だまりも影だまりも、濃い
....
「ノストラダムスでーす」
玄関を開けると
郵便配達の恰好をした
ノストラダムスが
照れながら立っていた
ああ
今さらだなー
ああ
予言がはずれて恥ずかしいんだろうなー
....
白くふちどられた白の中で
僕は病身だった
看護婦の中の
とびきりのセクシーは
ボタン一つで僕のベッドにやって来る
赤い口紅
赤いマニキュア
....
「…あ、映像がつながったようです。現場の堀さん! 堀さん!」
「はい」
「あ、堀さん。えー、そちらの町は、つまり全部、赤色一色になったわけですね!?」
「はい」
「あ、堀さんの ....
夜の毒気に
酔っ払ったから
窓を開ける
外の雨の雨の雨の
そのむこうは
きっと闇の
現実晴れ
そんな雨越しの世界だったなら
少しはまともに見 ....
君の笑顔は解読不能
そして
天気記号の元になる
君の涙は解読不能
そして
前文明を葬った洪水の元になる
君のメールは解読不能
そして
現代の学者を悩ます ....
0.1sec.