錆を組み合わせて作られたジャングルジムのてっぺんにいる少年を見上げた。
木陰が伸び、川沿いを走る高速道路と連なる煙突の向こう側では黄色と橙を混ぜ合わせた太陽がその顔を覗かせ、今日の終わりを知らせる鐘 ....
開け放った窓から風が吹き込む。朱に染まるフローリングを、冷たく青白い素足で踏み鳴らす。
部屋の隅から眺める鉄塔や、入道雲の様な鳥の群れ。影と影を縫うように走る半そでとランドセルが、甲高い声で鳴いてい ....
俄かに浮かぶ朧月を掴もうと三歩前に出る。連なる街灯の明かりの明かりを反射する路側帯と横断歩道。肩に降り積もる湿度と温さを含んだ外気。霧の様に光の中をうごめく蜻蛉の群れ。
小さな虫の声と、靴音と、風が ....
煙突の先端の黒煙が、落陽と混ざり合う。ガードレールに腰掛けたまま、上を向いて堪えている。
拘置所の壁と堤防の間の、入り組んだ小路。正月にも人っ子一人いない、住宅街の中にぽつんとある古い神社。ずっと昔 ....
高く掲げた指と指の間を疾走する真夏を思わせる光。公団住宅の群れの中にすら日陰の無い正午。反射角によっては見えなくなる歩行者用信号を通過する。
アスファルトの舗装道路から土の道へ。そこに立って、人がス ....
雪に覆われるはずだったアスファルトは、まだ鈍い色をしてその姿を晒していた。街灯の無い場所、足跡のつかない硬い道、蛍光色の表示、スパンコールをぽつぽつと置いた様な都会の夜空。
深く呼吸をする度に、胸の ....
扇情的な色彩の西日を背に塀の上を歩いて行く子供達の姿、木々に囲まれた小さな公園、冷たさを感じさせないジャングルジム、手にこびりついた錆を払い落とし、強い風に押されながら、見下ろした風景。

鎖骨の ....
散乱している風景を、工場街の白煙越しに掴む事を試みる。背中を焼いた真夏の陽炎と瓜二つの屈折した光を、諦めにも似た抱擁で迎え入れた。

ひどく人工的な幹線道路を基本線とした網の目の様な街の中を、眉間 ....
「冬の日」


冷たい土を素手で掘り進める。霜が降りた河川敷の土が、稀に指先に噛み付いた。擦り切れたジーンズの膝、素肌との温度差に徐々に感覚を失っていく。
50m間隔の街灯の光を頼りに、自分が ....
遠い昔だった様な気がしているし、たった今過ぎ去ってしまった過去でもある様に、静かに流れて、少しの間立ち尽くす。
冷たい陽光を睫毛が遮って、風景の彩度を狂わせた。聞いた事のある声はしない、足元から背後 ....
傘を叩く大粒の雨の雫を視野の片隅の捉えながら、深く白い息を吐く。遠い街を歩く訳でも無いのに、どこか緊張した足取りで底の見えない川を臨む土手を行く。大蛇の様にうねる高速道路が空を見上げた視線を憮然と遮っ .... 虫の声がそこかしこで聞こえる。透明の日の光が木々を潜り抜け降り注いでいる道を通ると、もう白いシャツはじっとりと汗で湿り出す。前髪が額に張り付くのを指で払いながら、一歩一歩前に進んでいくと、小綺 .... 夏の終わりを告げる時、大地に帰る多くの蝉達。たったひと夏、泣け叫び、そして彼等はいなくなる。
土の中と、地上、一体どちらが平穏で、幸せだったのだろう。もしかすると、蝉の声は、歓喜の雄たけび、喜びの喝 ....
龍二(13)
タイトル カテゴリ Point 日付
ジャングルジム自由詩208/6/6 22:41
影法師自由詩108/5/31 2:57
三歩自由詩208/5/24 2:11
錆び自由詩208/5/15 8:05
一跨ぎ自由詩108/5/9 1:35
雪について自由詩108/1/23 0:07
屋上自由詩208/1/8 23:29
廃工場自由詩008/1/7 4:56
冬の日の夜散文(批評 ...008/1/6 4:33
冬の日 二自由詩107/12/10 22:41
冬の日 一自由詩007/12/7 3:41
夏の日 一散文(批評 ...305/7/13 4:23
自由詩005/7/13 4:08

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