影が隙間から
抜けてくるように
薄い木綿のシーツを
引っぱってきて
路上でなびかせてから
敷いて昼下がりのお茶を飲む

時を隔てたような
杭州のぬるい息づかいが
湿ったまま身体に{ ....
勢いを失って
引き下がるように身を{ルビ拱=こまね}いて
椅子を押しつぶすばかりの
巨体を投げ出して
{ルビ俯=うつむ}くだけの部屋
その午後

汗ばんだシーツは皺くちゃになって
塵 ....
シーソーの両端にふたりで乗ると
どちらか重たいほうが地面に着くんだ
シーソーに乗る前から分かるものなんだ
どっちが重たいかってことは
駆け引きなんてものはない
君がいくらわたしの方が
重た ....
真っ黒い犬が
みごとにすり寄って来た感じで
大きな尾を嬉しさのあまり
振り乱しながら
何処が目だかわからない
心の奥まで伝わってくる愛くるしさで
きれいなベロを垂らして
生ぬるいあいさつ ....
彼は泣いた
わたしが書き上げた詩を読んで泣いた
ことばに泣いたのではない
すばらしさなど彼にはわからないから
詩の気持ちがわかるから泣いたのでもない

むしろわたしの気持ちがなかったと気 ....
眠りの端を吸いつけるように
{ルビ鳧=けり}が清らくついばみを走らせた

マディソンという街の
澄んだ蒼にきらめくのは
寝起きを押しのけた海兵隊の
ブルースが舞う

うえの空の{ル ....
孤島の端に立って
ここに居をかまえようかと
老人のような{ルビ囁=ささや}きを
口にする

年も{ルビ揃=そろ}いこんでみえたと思うが
初倉の重たげな{ルビ袖珍=しゅうちん}すら
こと ....
鳴々門 零(7)
タイトル カテゴリ Point 日付
お茶の色自由詩205/8/26 14:32
ペペ自由詩305/8/17 22:37
シーソーはほんとうにフェアなんだ自由詩505/8/15 20:36
犬にも夏自由詩405/7/30 20:21
なにか言って自由詩205/7/27 21:04
自由によって運ばれてくる自由詩105/7/25 9:04
肖像の胡弓自由詩005/7/24 0:05

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