指の付け根から爪を目指して
ゆっくり油が滑っていく
電話が切られたとき見た
甘い色の陽は目蓋に飛び
温度が変わったことに気が付いて
自然とほどけたのは 唇の隙間
小さな振動が カーテン ....
ベッドの上
縮んで
丸くなった幼虫が
布団を這い出て
一日をはじめる
幽霊のやり方など
知らない私に
幽霊は取り付く
君は知っていたのだろうか
君は知ってい ....
ひとつひとつは小さいが
確かな重みを持ったナルシズム
が
私の中をころころと転がって時々意識に飛び込み
そうして今日どまりの今日
時々口から零れていく
電気を消した夜の部屋を
久しぶりに歩いて みるまで
暗がりでは物が見えないことを
忘れていた
この部屋の暗さと
そう大差ない暗さをのせた屋上では
今頃
お線香が燃え終わろうとしている ....
濃い色の空
晴天
強風
伝説の島が降りて来る
促されて見上げた上空
白い点
私なりの自己表現と
君なりの自己表現が浮かんでは消えてく
其れを見つけた貴方と
其れを言い当てた私
....
シャーペンの芯が出てこない
シャーペンの芯が出てこない
シャーペンの芯が出てこない
でてこないでてこない
ひたすら親指が動く
出てこないでてこない
詰まった
先端を回してあけ ....
余剰がこんなにある
泥(なず)みっぱなしの義務を捨てたら
珍しく穏やかな内面は
傍らに望んでも、
在り得ないその人物と事実を考える時、
直線を見た気がしてた
混沌に佇んで
昏睡みたい ....
例えば人が死んだ後、死ぬ前と比べて
21g軽くなるという話が本当ならば
わたしはわたしが、君に出会う前と出会ったあとでは
21g以上、魂の重さ、違うと信じているよ
CDの声にひたすら耳を傾けて
口ずさんでいる日は
窓の外の自由から逃げている
手のひらに収まる小さなメカニック
伝わってくるメッセージじゃ物足りない
黒板の文字から眼を逸らして
屋 ....
爪が長すぎた
帰り道だった
お寺の前
掲示板
「君は自分が好きか」
でも
私はその日爪が長すぎた
明けてゆく空を見る一歩手前で
静かな時間に別れを告げている
飛行機の向かう彼方には気持ちを
無数の戦車の這う此処にはこんな体を
泳がせて様子を見ている
教室の引き戸に力を込めると
開く ....
口にするのも躊躇わレ
遥か遠くに捕らわれて
睫毛も折レルこんな夜
カタク眠りについた末
そこに見えたものなラバ
其れは全てホンモノで
「脈が感ジられない」と
云ひつつ吾が弟は
麗しキ忌 ....
太平洋側に雨が降っていた
明日は晴れるみたい
太平洋側に雨が降っていた
明後日には傘は要らないってさ
太平洋側に雪が降っていた
来週は暖かくなるってよ
....
紙パックのストローから口を離して
ぷはっ
息継ぎをする
O2、O2
夜のむこうから雨音がゆっくり歩いてくる
元気が無いクッキーを
元気の無い私は齧れない
バスの通る道には
デニ ....
意味のない恐怖があることに
逆に安心したんだね
こぼした
蜜のようにあまたるく
頭の頂上から
肌つたってく
意味のない
恐怖があることに
逆に安心したん ....
奇麗なものが欲しいです
だから私は要りません
自由なものが欲しいです
だからノートは要りません
広い地球も要りません
貴方が歩けてしまいます
大きな地震も要りません
その時貴方と ....
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