夜中三時に目が覚めて
となりのうちの車が帰ってくる音をきく。
太陽がまだ見えない地平線の裏側で
音をやっぱりたてている。その音をきく。
カーラジオがかかっている。
古い曲がかかっている。ぼく ....
田舎のバス停は屋根があって、周りには木しかない。
屋根の下には、やっぱり木のベンチあって、
もう虫がぶんぶんしている。
だけど、真夏の蒸し暑い日でも、
空気はひんやりしているから
たとえバス ....
二日前。
隣の家の物置から話し声がする。

三日前。
近所にある橋の欄干から飛び降りる人に会う。

四日前。
家がどこにあるのか忘れてしまった。

五日前。
途方もなく遠い場所から ....
雨が降った後で晴れた五月の日に
出窓を開けて扉を開けて
新鮮な空気の一つの通り道を作る
そのとき風は確かにある
まるで長い棒のようにして

僕は出かける準備をしている
床のすき間にはいっ ....
毎日ふとんを干す。
晴れの日も、曇りの日も、雨の日も。
風がつよくて、ふとんがおちそうになっても。
毎日ふとんを干す。

うそだと思っているのなら
私のうちのベランダをみてみるといい。
 ....
僕は老人だ
一人のみすぼらしい格好をした
だけど、その手には
可愛い孫がつながっている

僕は海へ向かう
孫の手は小さくて、あったかい
それ以外に知っていることはもうない
僕は老人だ
 ....
聞こえる
枯れた路地の壁際で
男が携帯で話をしているのが。
その携帯の電波をたどっていくと
しかし、どこにもつながっていない。
聞こえる
いま、ようやく動き始めた心臓の音が。
音が静かに ....
私は朝、起こされる
寒い朝だ
点呼の声がきこえる。どこから?
どこか遠くの山の向こう
だれが?だれか望んではいないのに
はりあげている声
私は、みんなと一緒にもくもくと歩く
よくみると、 ....
何も持っていない両手を床に置く。
手のひらを上に向けて両手を床に。
かがみこんで、両手を床に。目は高いところから
床の両手を見る。
外から鳥の鳴き声が聞こえてくる。
床はひんやりする。
私 ....
ある晴れたなつかしい夕焼けが染める公園の大きく枝を広げた、10mはあろうかと思える木の下のベンチに老人は腰かけ、手には赤色の、カバーの取れたむき出しの本を一冊。
背を丸めて、まるで自分の視線で、本の ....
目の前に数時間前からころがっている
赤いヘッドフォンがある。ちいさなヘッドフォン。
僕は見るともなく、それを見ている。実は
見ていないふりをして、実は、そればっかり、気になってしょうがない。
 ....
夕方、いつものように散歩に出かけて、コンビニで、お酒とピーナツを買って帰ってきた。
公園があって、その前を通ると、その公園の奥に、でっかい太陽があった。
自分に迫ってくるようにでっかい太陽が今日は ....
赤い髪をした女の子が近寄ってくる
手にはちいさなかばんを持って。
そのなかから手にとってぼくに見せるのは
お菓子でも、お金でもなくて
ちいさなちいさな言葉の書かれた紙
昔、希望とかyesとか ....
ねぇ
僕たちは死んでいくものに対して
こんなに優しくなれるのは何故だろう。
僕らが死んでいっているから?
手が死に足が死に脳が死に
眼が死に口が死に細かな生が死に

今日、夢を見た。
 ....
大きくふくれあがった木がささやく
僕はここに居てしまった。
君もそこに居て僕を見ている。

人間のぼくは、おおきな木にささやく
君は本当に大きいね。
ぼくが生まれたときにも、そんなに大きか ....
風が吹いてきたから
泣けてきたわけではないけれど
夕方になって日が沈みきって青っぽい夜が来て
それが寒くなりかけた日の夜だったから
泣けてきたわけ。

犬がぼくを追い抜いた
ぼくが犬を見 ....
ポテトを食べている
短いポテトをつまんで拾いながら時々長いポテトを食べる
店の中は客でいっぱい
僕だけがひとりだ
一人でポテトを食べているのでいろんなことを考えるほんとうの思考は無心のときし ....
テーブルの上にはみかんが乗っているだろう。
そのみかんの皮は少しだけ水分が失われているだろう。
ほかにも様々なものがのっているが、君にはみかんしかみえないだろう。
出窓から射す正午の光りとみかん ....
湖に子供
静かに波打っている
湖に子供
もう
息をしていないのだろうか
塩水ではない水に
もうすぐ浸される
からだは大きくて
頬はまだ
赤い
もう息をしていないのだろうか
だれが ....
はたからみると
とてつもなくばかげていることが
ぼくのほんとうにやるべきことだったり
ぼくのほんとうにやらなくちゃいけないことだったり

だれもみていないところでおどる

といれのなかで ....
大小島(20)
タイトル カテゴリ Point 日付
音の世界自由詩007/7/14 2:21
田舎の初恋自由詩307/7/4 0:21
1週間で終わってはじまる。自由詩007/7/3 1:27
五月晴れの日曜日自由詩107/6/24 1:39
真っ赤な手、真っ白なふとん自由詩107/6/20 6:50
知っていること自由詩006/9/24 23:33
電波塔自由詩206/5/26 23:09
ALL自由詩006/2/17 0:49
両手、十本の指自由詩006/1/10 23:38
この世の老人自由詩106/1/3 21:34
赤いヘッドフォン自由詩2*05/12/28 1:53
ピーナツ、あるいは死者との対話自由詩205/12/8 22:50
30自由詩005/11/17 22:25
僕は知っていた自由詩0*05/11/4 1:06
春、晴れた日に自由詩2*05/11/1 1:22
泣けてくるわけ自由詩1*05/10/25 1:37
ポテト自由詩2*05/10/24 23:00
予言自由詩1*05/10/18 1:30
BOY自由詩2*05/9/28 1:46
万有引力[group]自由詩005/9/26 1:24

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