黒で彩られた人達の中で
どうにも落ち着かない感覚に襲われる
その家に訪れた不幸を
何とはなしに自分に置き換えてみる
命はやがて尽きる
そんなのは当たり前の事
なぜかしら目頭が熱くなり
....
恋なんてする時にするもんさ
そう悠長に構えているうちに
あと二年で三十路なわけで
休日の大半は睡眠で
晩飯には賞味期限切れの焼きソバ
赤ウィンナーに安物の豚バラ
三分の一以下に薄めた焼 ....
どうせ僕は社会と言う構造の一部で
一定のリズムを延々と刻み続ける内に
何時の間にかそれこそが幸福であると
結論付ける事で納得を繰り返し
やがて好きでも嫌いでもない
中途半端な将来を描くしかな ....
こんな時どうする?
と言うような心理テストで
気の利いた言葉一つ思い浮かべず
見て見ぬ振りでお茶を濁す
きっと求められた答えとは
かけ離れていると思ったけれど
それが何より自分らしかったか ....
ボリュームに書き込み出来ません
それは眠る事さえ制限した作業が
淡々と始まる予兆に過ぎなかった
バックアップと復元と言う単純な作業を
待ち受ける時間にどれだけ時代が動いたのか
例えば ....
嗚呼 何てよく晴れた朝だ
雲一つ無く透き通った蒼が
彼方まで薄く広がっている
風の囁きが耳に心地よく響き
色とりどりの花が道端で笑っている
ただどんなに空が澄んでいても
どれだけ風が優 ....
何度眠ろうとして
何度寝返りを打ったっけ
昨日はいつもより肩が重く
左目の少し上がとても痛かった
安物のホットドックが
不自然なほど美味かったけれど
眠たくて眠りたくて
夢なんか ....
時間が解決してくれる、なんて
分ったように口にしてみても
わだかまりが心に降り積もって
いつも同じ映像を追いかけるだけ
夢になどもう出て来やしない
昨夜は世界から見捨てられたし
一昨日 ....
どれだけ昔だったかと
思い出せはしないのだけど
眠れない夜を過ごす事が
とても珍しくなったこの頃
ささやかに降る雨にさえ
怯えていた遠い日を思う
今が充実しているかと
あの頃に呼 ....
システムを開発する
一言で生業を説明すれば
それで済むのは分っている
予算は幾らか
工数はどれほどか
テストと納期と
自分の人生
どうする事で生活を得ているか
何をする事で報酬 ....
そういえば最近テレビを点けていない
別に何らかの偏った思考思想によるものじゃなく
リモコンのボタンを押すのさえ億劫に感じてて
惰性か限りなく進行する生活の中で
現実の重さからどうやって逃げ ....
{ルビ飛沫=しぶき}を浴びた眼鏡を外し
まだ見えている右目を{ルビ瞑=つむ}り
ほぼ見えてない左目を{ルビ顰=しか}め
道行く人にはどう見えるのか
そんな愚問を過ぎらせながら
信号が ....
何でこんなに陳腐なのかな
僕の言葉 どれだけ積み重ねても
決して届きやしないのが
分ってしまっただけで
気づいてあげれなくてとか
見て居なかっただとか
言い訳にしか過ぎない ....
何も
何も・・・
何もっ!
得る事もできず
与える事もできず
また一つ大切なものが
手の届かない場所で
認識の遥か彼方で
知る事もできない空間で
失われていく光を
見送 ....
川の流れに乗っかって
どこか遠くに行きたいな
思った以上に世界を知りすぎた
こんなにも分らない方が
幸せだったなんて思わなかった
耳を澄ましていなくったって
誹謗や糾弾に晒されるし ....
そこで見られた存在は
もしかしたら僕かもしれない
今部屋で焼酎を飲む存在は
僕でないかも知れない
唐突な疑問は確信めいていた
既に遠く闇に潜む影は
次第に理由すら覆い隠していく
....
平日朝八時から十九時まで
切り替えるシフトはピエロモード
何を言われても気にしないふりをして
切り裂かれた胸をガムテープで縫いとめる
休日の昼から月曜の朝まで
ネガティヴに振舞ってみたと ....
もし明日のある時唐突に
心臓が停止したとして
その瞬間を笑って過ごせるかな
帰り道で見た交通事故
ニュースで見た訃報
新聞を賑わす殺人事件
生まれた瞬間に
どんな風に死ぬかが
....
意味も無く天井を眺めると
ヤニで微かに濁る壁を通り越して
或る日の横顔が浮かんでくる
空間に溶け込んだ表情は
手を伸ばせば頬に触れれるようで
近づけば温もりを感じれるようで
あるはずの ....
給料日まであと二日
財布の中には二千円
日に吸う煙草は二箱で
計算上は問題無し
最近一週間を紐解けば
晩飯はカレーしか食べてない
昼飯はおにぎり二つ
酒も飲めずに遊びも行けず
....
何の為にと言う疑問さえ飲み込んで
ただ生き延びる事だけを目的に
たまに吐きたくなる愚痴も飲み込んで
安酒で心を誤魔化す日々が続いてく
何をやってるんだろうなんて
そんな疑問を抱く事で慰め ....
一重に幾重に
堆積した言葉の渦に
埋もれる心があったとさ
貴方の為だとか言う
使い古されたキーワードには
傲慢さが見え隠れしているのに
恥ずかしげも無く語る
思い至る事も無く告げ ....
昼飯を買って会社に戻る途上
頭上を素早く横切った影に
ふと目を奪われた先で
一羽の鷹が悠然と
青天を舞っていた
佐世保川はいつもより澄んでいて
きらり、と陽光を弾いている
鷹は、 ....
一日についた溜息の数
戯れに数えてみた
一昨日で七回
昨日で十回
今日は八回
忙しさに比例して
楽しさに反比例して
寂しさとは関係なく
溜息の数だけ
幸福が逃げるんだよっ ....
三月の風が二月より冷たい
冬がもう少し生き延びているのかな
昨朝国見峠では雪が降っていたそうだ
できればその景色を見てみたかった
いずれ今年に春が訪れる
冬らしい冬を過ごさなくなって
....
昨夜 横臥で金縛り
今朝は朝から肩が重く
月曜から休みを取れば
部長の小言がうるさい
分ってるから
多少無理をしてでも
会社に行くしかないんだ
二十八年の人生で覚えた事
妥協と ....
言葉の全てが通り過ぎていく
幾百の思いを込めてみたとして
その全てが届かないように
分かるかい?
ベランダで見上げた空には
星が一つも見えないんだ
光など降って来やしない
例 ....
脳裏に浮かぶどの言葉も
君に捧げるには陳腐すぎる
川上の方から流れてくる
灰色に濁った川でさえ
海に至る長い過程の中で
澄んだ我が身を取り戻すだろうけど
暖冬に吹く柔らかな風が
....
夢が舞う歩道橋の上で
東に浮かんだ夕陽を眺めていた
崩れた表情を整えながら
笑う君の残像に目を奪われて
僕はただあざ笑うばかり
まるで閃光の中に消え去った事実のように
....
グラスの底から小さな泡が
いくつもいくつも湧き上がって
水面で弾けたささやかな音
聞こえるはずもないのに
まるで泣いているように
どこか寂しげに消えていく
澄み切ったソーダ水の中を
....
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