夜空
風を蹴り
雲を渡る

星を薙いで
時を越え
思い出を抱いて

届けた先に
何も無くても

飛んで
飛んで

涙が溢れ
視界は霞み
呼吸は荒れて

想いは潰え
 ....
足元を照らす灯り
散乱する景色の残骸
踏み潰した枯葉の
乾いた音が心地良い

立ち止まる影
通り過ぎる車列
目を合わす事もない

エンジン
溜息と心音
クラクション
割れる枯葉 ....
音の無い雨が降っている
口元に添えた手には
いつものように一本の煙草
細かく震え落ち着かない

空気は大して冷たくもなく
口に出すような悲しみもなく
ただ確実な事が一つだけ

意思と ....
引き戸を開けると
そこに居るような気がする

錯覚とか幻覚とじゃなくて
気のせいとか妄想とかでもない

有り得ない現実である事くらい
とうに理解しているつもりだ
目の前から消えた君を
 ....
ほらごらんよ
世間の片隅で小さく震え
聞こえない声で愚痴る子供が居て

ほらごらんよ
世界の中心で大げさに振る舞い
我侭を押し通す大人が居て

涙を流す術は無くしたなら
理想主義者が ....
ひとつ ひとつ
潰しては探し

ひとつ またひとつ
現れては消え

探して見つけ
そしてため息

冷たい部屋
外に音はなく

苦いコーヒー
何本目かな?

ひとつ ひとつ ....
自宅まで百数歩
暗闇の下り坂

微かに浮かぶ星
見とれて躓き
踏み外した白線

揺れた夜の底に
踏み潰された猫

目を背けたとして
記憶も哀れみも
刻まれたのだから

水気 ....
溜息すら零せない
その瞬間に愕然とする
どこかで満足しているのだろう
終焉を望んでいるのだから

薄ら寒い笑いに包まれて
不要たる存在としての自己
無視と嘲笑の天秤は
変わらずに揺れ動 ....
ほんの少し
冷たさが混じっている
そんな気がした

黄昏の屋上で一服
頂を泳ぐ三色の雲が
足早に視界の端々を渡る

無機質な夏がもうすぐ
幾つかの後悔と共に消え
告げる季節の声に
 ....
歯を食いしばる不快な音が
右脳の片隅に微かに聞こえる
何に憤ってるのだろうか
正体など掴めないまま

煮沸する心境が垣間見た証
怒りであるようで少し違う
哀しみに似ているけれど
疲労の ....
胸が張り裂ける錯覚を覚えて
思わず心を覗き込んでみると
一本の糸が無造作に伸びていた

今にも切れそうだけど
胸の綻びを繋ぎ止めているのは
この糸だけしかなくて

もし胸を繋ぎ止めた糸 ....
今日僕が眠れないのは
君を想ってるからじゃない

知ってるさ
僕の知らないところで
僕の知らない奴に
僕の知らない笑顔でいる

だから今日僕が
50本目のタバコを吸うのも
君を想っ ....
咽るような熱に包まれた朝
日向を避けて裏道に入る
いつもと違う通勤路

ほんの少し吹いている風が
滲んだ汗がへばり付く
ワイシャツを冷たくして

川沿いに伸びる道
太陽が広げる両手を ....
十九時半を過ぎた家路は
真夏に向かう季節を否定するように
涼しげな風が混ざっていた

真白のワイシャツを腕にまくり
処分し損ねた書類の束と
定時と共に引き剥がしたネクタイ
ボロボロの財布 ....
通り雨が上がったら
買い物に出かけよう

少し錆びたギターの弦と
磨り減って持ちにくいピックを
新しく買い替えに行こう

心にいつも引かれている
五線に音符を並べながら
誰にも聞かれ ....
君が居なけりゃ
僕はもっともっと
寂しさに押し潰されて

君が居なけりゃ
僕はきっときっと
委ねる場所も見つけられず

君が居なけりゃ
僕はずっとずっと
一人ぼっちの気になって
 ....
少し空の色が変わった

青を縫うように散った雲から
柔らかな雫が降りていて
やがて窓から見える景色を
雨が包んでいくのを知った

そういえばずっと前に
君に話した事があったよね

 ....
俯いた太陽が照らすのは
未来だとか希望だとかでなく
今日の瞬間に繰り返す
明日の現実に突きつけられた
小ざかしい本音でしかない

額や背中を伝う汗が
クーラーに冷やされて
身体をなぞる ....
嫌になるほど青い空
暑さしかない休日だけど
洗濯バサミが壊れたから
バスに乗って出かけよう

片道三十分と少し
乗り継いで三百七十円
何処方面に乗ればいいか
それくらいは分かっている
 ....
目の前の小さなペットボトルに
赤茶色の液体が詰まっていて
くじで当たっただけだから
捨ててしまうのも選択肢

半世紀少しの人生で
一度も口にした事が無い
今目の前にしてみると
微かな好 ....
もう何ヶ月か経っているのに
いつまでも追いかけているもの
現実を突きつけられるその時まで
後悔だけを引きずっていて

今どうすべきかなんて
分かるはずがないじゃないか
中途半端な熱を帯び ....
天窓に響く雨の歌が
唐突に激しい叫びに変わり
秒針が半周も回らない内に
また静かな声に変わった

空の激情を表現した雲が
宵闇に何を描いたか知りたくて
僕は窓にへばりつき
 ....
背もたれが壊れた椅子を
ガムテープでグルグル巻いて
引っ張り上げても平気になったから
安心して座り込んでみる

ぎしぎしと音を立て
暫くは平気だったけど
やがて苦労も報われず
あっけな ....
屋上から見える裏山の
天辺にかかった雲から
差し込んだ陽射しを眺めて
少しだけ休んでいこう

疲れきっている訳でもなく
悲しいって程じゃなくて
緩やかな風に煽られた隙間から
時どき覗い ....
眠れない夜に思い浮かべる
最近いつもと同じ過去ばかりで

例えば遠い記憶の彼方で
笑いあっていた放課後
例えば笑顔も救えずに
怒号に屈服した苦い春
例えば抱き合う時でしか
感じれなかっ ....
荒れた風の声が耳に届く
浅い眠りの隙間に挟まった
束の間の安らぎから
現実を誘う手が伸びてくる

嫌々ながら体を起こし
一本の煙草と一杯の麦茶
酷い寝癖を整える為だけに
熱湯を浴びて思 ....
二杯目のチューハイをちびちびと呑みながら
深々と溜息を吐くと首元から汗が吹き出てくる
肝臓や肺の当たりに不自然なしこりを感じても
結局は逃げ道を選んだ結果でしかないのだから

浴びるほど呑も ....
ダイニングとキッチンを隔てる
引き戸を微かに開けているのは
滑りが悪いわけじゃなくて

もしも想いが形になるなら
僕が深い眠りにつく時
欠片でも君に届きますように

閉めきっていたら
 ....
天気予報は曇りだったのに
家から出て五分も経たずに
全身隈なく水浸し

コンビニに逃げ込む頃には
汗か雨だか分からない汁が
口の中に入ってくるじゃないか
いい加減にしてくれ
僕が何をや ....
気が付けばいつも
人の輪から外れて
天井の繋ぎ目に向けて
煙を吹きかけている

そういう姿を晒していると
大抵誰かが僕が思う事と
逆側の意図を感じるのだから

存在が掻き消えている間 ....
松本 卓也(292)
タイトル カテゴリ Point 日付
夜間飛行[group]自由詩106/12/1 0:02
街路灯自由詩006/11/29 23:25
手の震え自由詩006/11/27 21:07
引き戸自由詩006/11/22 0:43
全ては現実(ここ)にある自由詩106/11/16 0:01
虫潰し自由詩106/11/9 2:26
亡骸自由詩006/10/3 1:46
偽善の犠牲者自由詩406/9/4 1:30
初秋風自由詩106/9/1 23:31
歯軋り自由詩106/8/30 22:51
綻び自由詩006/8/29 1:29
独りの夜自由詩206/8/27 22:29
いつもと違う通勤路自由詩106/8/26 22:53
優しい風が吹いているから自由詩306/8/24 1:01
通り雨が上がったら自由詩606/8/15 1:10
君が居なけりゃ自由詩1*06/8/9 0:22
晴れ雨自由詩3*06/8/6 22:58
自由詩006/7/31 0:40
バスに揺られて自由詩106/7/30 1:07
野菜ジュース自由詩1*06/7/24 1:06
君の居た場所自由詩1*06/7/23 3:08
群青の境界自由詩2*06/7/21 0:46
椅子自由詩2*06/7/18 23:54
いつもそこに在るように自由詩5*06/7/14 1:19
誰も愛していない夜自由詩3*06/7/12 1:30
誰も見てない自由詩006/7/10 23:58
酔煙歌自由詩0*06/7/8 22:26
想いの欠片自由詩1*06/7/5 23:42
通り雨自由詩2*06/7/4 0:56
溶けかけのアイスクリーム自由詩2*06/6/30 0:39

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