緑の川面で
すっぱり足を切った あの夏
鳥の声も流れる川も赤い血も
シャツを濡らすしぶきも 眼を焼くキラキラも
子供の歓声も もうすべてすべて手をすりぬけて
あっちへ行ってしまったよ
....
あなたが落ちてくるまえに
わたしは言葉を敷き詰めよう
すこしでも、あなたのその衝撃 を
やわらげようという魂胆から
あなたがそら 大きな悲鳴を上げて
あの暗い穴から落ちて ....
煙を噴く銃口を見つめる少年も
血まみれの死体も
出来心でチョコを盗んだあの子も
基金をかき集めた難病の家族も
集められなかった家族も
この一秒には祈ったのだろうか
自分のために
家族 ....
どうだいうつくしいだろう
これだけ美しいものを見るからには
お代を貰うよと
シリウスが耳を痛くしようとするけれど
ヘッドフォンで隠す
ギターの音に足音が重なり
寒いけれども ちょっと遠 ....
小さないきものが えさを食べながらかんがえました
わたしはこんなにちいさくて えさがこれっぽちしかたべられない
ところが あいつは どうだ
からだばかりおおきくて あんなにたくさんえさをたべてい ....
こうしてこたつにはいって
温もっていると
手の中からこぼれていったたくさんの温もりまで
わたしは思い出してしまう
抱きしめて背中の匂いを嗅いだ
わたしの小さな茶色の犬
彼は両手一杯の温 ....
カタコトン カタコトン
ゆうれい列車はゆくよ
こんな深夜に夜風を震わせ
カタコトン 汽笛は悲鳴だ
ゆうれい列車はゆくよ
血塗られた車両で
仕事を終えた首狩りが
カタコトン 滴る獲物を ....
わたしはこれから あなたに
あ行の言葉ばかり伝えようかと思います
ひどいことを言ったわたしに
あなたは 笑いながら電話をくれましたね
遠いところにいるあなただからこそ
わたしは、少しでも ....
白い紙に
ぽつりと垂れた黒インクは
かなしいか
うれしいか
染まろうにも滲めず
消えようにも消えない
黒は黒のままで
白の上にある。
白は黒に被いかぶさるでもなく
白 ....
どうしてもあれが
こちらの世界のものとはおもえないのです
紅、青、紫の
うすくたなびくその空間に
りぃんと、糸のような月が吊られているのを見たんです
月の糸で結ばれた一番星が
そっと彼 ....
例えば猛烈ダッシュのあとに
喉に血のあじ残るのは
空気が針を隠しもち
そっと傷つけおちるから
あなたは針を飲み込んで
苦しまぎれに声を出す
必死に絞り出そうとしても
突き刺さってる針 ....
疲れボロボロになっても
見上げる夜空はうつくしいものだ
ヤニにけむった息越しにでも
プレヤデスは青く輝く
道を指し示す なにか奇跡のような
そんなものが降り掛かりやしないかと
こうして ....
きらきらを無くすのなんか かんたん
全部あたしのものと思えばいい
髪撫でる風も
風の運ぶ香りも
暖かい日射しでさえも 全部
そうしてあたしは雛鳥のように
口をあけてこう言えばいい
....
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