花屋へ行って 鈴蘭を買って来て下さい
野生の鈴蘭が咲くまで
私は待っていられないのです
どんな花よりも 鈴蘭は
私を和ませてくれるのです
優しい気持ちにさせてくれるのです
あの小さな釣 ....
爪よりも薄いガラスの箱に
僕は閉じこもっている
時々ガラスの表面に傷をつけては
そこから流れ出るどす黒い粘液を舐め
その苦さに顔をしかめる
これまで膨張と収縮を
繰り返してきたガラスの ....
はい、そうです。法学部出身です。
そりゃあ嬉しいですよ、?種試験合格は。
子供の頃から、中央省庁の
官僚になるのが夢でしたから。
ええ、必死で勉強しましたよ。
遊ぶ暇なんてありませんでし ....
流れ続ける物語に
終りの刻はない
エクリプスの血をひく
ザ・バロンは
ストックウェルの父となり
ストックウェルは
ドンカスターの父となり
ドンカスターは
ベンド ....
八千頭の同期生に与えられた枠は
十八しかない
歴史に名を刻むのは
たった
一頭
そこへたどり着くまでの
長い長い闘いを知っているから
今にも折れそうな四本の足で
一生に一度のチ ....
曇った日には
ねじの頭に
ドライバーを突き刺して
右へ回してみる
雨が降り出しても
ねじ穴の隙間から
汚れた水が入らぬよう
少しきつめに
締めてみる
晴れた朝には
左へ回して
....
ひぃ ふぅ みぃ よぉ
夕陽を浴びた銀杏の影が
柿色の地を這う夕暮れに
幼い私は
祖母の形見の手毬を突く
いつ むぅ なな やぁ
紫と紅と白
少しほつれた糸に
人差し指が引 ....
黒い犬と黒い猫が
畑の真ん中でにらみ合っている
起きぬけの太陽はまだ寝惚けているが
それでも息だけは白くなる
――パジャマの胸ポケットは
何のために付いているのだろう?
外刃の ....
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