さみしいな
さみしいなと気づいたら何回もそう呟いている
少しの時間でも逢いたい
疲れているのは本当だけど
体の疲れが例えピークでも
少しでも逢いたい
相手の気持ちを考えて
お互いに寂しさ ....
どこにも行くあてがなくて
彷徨っている
頭の壊れてしまった肉親に疲れ果ててしまって
終の棲家を探している
認知症患者じゃなくて
ただのおばあちゃんなら
まだ寂しく思う心があっただろうか
 ....
コップに並々と牛乳を注いで
はいどうぞと無理やり渡して
ちゅう
わたしの行動理由や奥に潜む影も気づかないうちに
溶けた頭で何が浮かぶ
人が壊れていく
大人が強いと言ったのはどこの誰だろう
声をはり上げて
大声で叫んで
ただ静かにわたしは暮らしたいのに

誰かの心を疑うこともなくて
意味もなく何かを恐れることなく
静か ....
薄い膜に包まれている
甘くとろける液体の中で静かに呼吸をする
触れるもの全てが薄い膜を通して
目にするものが全て薄い膜を通して
壊れそうな人の肩に触れる
悪夢を見る人の肌に触れる
とろける ....
気がついた時には箱の中にいた
体を小さく折りたたまれ身動きがとれない
ひざが箱にあたり
息苦しさは、箱のところどころにある小さな穴で和らいでいる
細い光がまだ生きていることを教えてくれる
お ....
黒いいばらの棘が締め付けるたびに
長い睫毛が綺麗な夜空を覆い
しずくがきらめいた

その場所は苦痛を伴うのでしょうか
誰もが眠りにつき
訪れるもののいないいばらの国

陶器のような白い ....
彼は写真の中でわたしとは違うひとの隣で笑っていた
この写真が彼とのはじまりで
わたしは
彼がわたしを好きになるずっと前から好きだった
賢くない頭で精一杯考えて
友達として、でいいから逢いたか ....
正直わたしは寂しかった

仕事帰りにコンビニによってお弁当を買う
ついでにビールも買う
誰もいない家の扉をあけることって
どうしてこんなに苦しいのだろう
ビールをあける
少し酔っ払ってテ ....
ふわりと浮かび行く

白い手足
風に舞うスカート

そっとのぞき見る
屋上に一人で、空ばかり見ている

長い手足が柵に絡みつき
そこだけが彼女だけの世界

不似合いな口に咥えたタ ....
やわらかなシーツに包まれて
そっと盗み見る

ゆるやかなウエーブの髪に指を絡ませて
唇を寄せる

幸せそうに眠る
起こさないようにベッドから降りようとして
冷たい床に足が触れる前に
 ....
気づいたら
マンションの一室に黒い鳥籠
口元にボールをくわえて目だけが自由

色々な穴から綺麗な手が現れては
触れて去っていく

頬を撫で
首筋を流れ
下に下に

スーツとワイシ ....
病院跡に置かれた一つのバスタブ
沢山の薬品のにおいだけで溶け出しそうになる体

できる限りゆっくりとバスタブに体を沈めること

それがこの小さな紙切れに書かれた最後の指令で
わたしがその約 ....
ふうっと息を吹きかけて
数えるはずだった花を散らせた
数えながら、あなたを想って
この恋を呪って
待ち続けた自分にさよならして
優しい空気を胸いっぱいに吸い込み
明日にジャンプする

 ....
気づかないうちに僕は透明になっている
形がぐにゃりと歪んで気づいたら誰かの心配そうな顔を見る
そんな毎日
いつからかあやふやになってきた
僕は本当にこの場所にたっているのか
ここでこうして君 ....
飲んだのかきみは何を飲んだのか
あれかあれを飲んだのか
このまま僕をおいていくようにあれを飲んだのか
僕しか知らないはずの肌を染めて
君はきっとあの蜜をすすった
もう歯磨きしたのに溶けかけたあめを
口の中でくちゃくちゃしながら
片手で携帯をいじってる

時々カレンダーを開いて
時間も気にしながら

やわらかい布団が眠気を誘う
負けそうになりなが ....
山手線に揺られていく
扉が開き
紺と白の艶やかな浴衣のひとが現れる
今時珍しい黒檀の髪がゆるやかに
姿を今に染めることなく

過ぎていく朝顔市のポスターを何回か見送った後
降りてホームを ....
いつまでたっても治らない
あきらめて期待してを繰り返し
いつのまにか悲しみさえもいつものことになった

がんばれないと母が言う
もうだめと家を飛び出していく
残されていくわたしといもうと
 ....
部屋の中央にキューブが転がっている
クーラーに助けられ
凍えるキューブに赤いつぼみの花がある

凍った果物をひとつまみ
がりがりがりんと噛み砕く

つやつや光る氷の中に
かしゃりかしゃ ....
ねぇねぇ
ふんわりお布団に
ごろごろごろりとおるすばん
しっぽをふりふりおでかけなんて
やめて私とあそばにゃい
この場所に真新しいシーツを広げ
指を絡め
少し背伸びをする
片手だけをほどいて
ふわふわの髪の毛にゆっくり触れる
暗闇が広がる窓に
明日何色のカーテンをつけようかと思いながら
息が肌に触 ....
夜の列車に乗り
窓に頬を近づけて
ガラスの列車に乗っていく
列車の中と同じ人たちが夜の闇に透けて
線路のない道をすべるように

窓に身を寄せて
車体に体を溶かしながら
闇に透ける切符を ....
透明な膜に包まれた妖精が夜明けを待たずに凍りついた
氷の目をもつ少女は干からびていく妖精を片手で握りつぶした
孵化を待っていたつがいの妖精が朝露の涙を流して飛び回る
少女はそれを用意に捕まえ飲み ....
白い花が咲き乱れた
僕は花の名前を知らない
囲むようにして
ごく自然に永遠がそこにあった
湖に出来た波紋のように
ひとしずくの僕が踏み入れたその地で
吹き荒れる風が花びらと共に僕を連れ去っ ....
縁側に腰掛けて
びわの実をとりだしては
おいしそうなものだけを隣の誰かに渡していた
私には見ることができない誰かに話しかけ
少し怒ったり笑ったり
私の方は決して見ない
早くに亡くなった私の ....
初潮をまだ迎えていない
女に生まれ変わる前のどこまでも真っ白な女の子
青空の下で
柔らかで小さな手をゆっくりと包む
腰を落として
彼女と同じ目線で微笑みあう
白い肌が日の光で赤く染まる
 ....
風に体をあずけて
夜の海が見える場所で
れもんを浮かべた水を口にする
海から運ばれる潮風は体を少しだけ寂しくさせる
風に乗った冷たいしずくとれもんの香り
暗闇のむこうに何度も手招きをして
 ....
世間から姿を消した歌姫が夜の番組に現れる
闇に憧れたその姿はどこか蠱惑的で
目があるはずの場所には底知れぬ空虚感が漂っていた
歌うことで救われたはずが
歌うことが苦しさを生むようになったと
 ....
出来るだけ
あとを残さないで
この時間の流れの中に自分をゆだねて
明日で消えるようなあとなら
ただ一時の気まぐれの独占欲なら
この肌に何も残さないで

触れるのさえ怖い
そんな臆病なら ....
暗闇れもん(406)
タイトル カテゴリ Point 日付
さみしい自由詩008/3/2 1:10
施設へ[group]自由詩108/2/25 20:29
味覚自由詩008/1/17 18:18
母は強くない[group]自由詩407/12/29 23:02
自由詩007/12/29 22:40
おトイレに行きたい[group]自由詩107/12/29 22:09
[group]自由詩207/12/22 21:01
写真自由詩107/12/20 22:33
捨て猫一人分自由詩007/12/19 22:28
自由詩007/12/19 22:16
シーツ自由詩607/10/13 19:53
鳥籠[group]自由詩107/9/8 12:03
バスタブ[group]自由詩007/9/8 11:42
花占い自由詩107/9/4 0:34
ナルコレプシー自由詩207/8/31 16:43
あれ自由詩107/8/26 20:35
遠距離3自由詩107/8/26 20:28
朝顔市自由詩007/8/10 21:17
母を追いかける[group]自由詩207/8/10 20:10
キューブ自由詩107/8/1 21:31
ねこにんげん(11)自由詩007/7/30 22:06
一夜目自由詩207/7/29 20:30
夜行列車自由詩107/7/17 21:18
氷が降る日自由詩007/6/26 23:04
花びら自由詩207/6/26 22:52
びわの実[group]自由詩107/6/7 19:09
女の子[group]自由詩107/6/6 21:31
暗闇れもん自由詩607/6/2 23:38
歌姫2自由詩207/6/2 21:16
残り香自由詩507/5/22 22:44

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 
0.31sec.