金木犀が香っていました
東京に重くのしかかる雲が
甘くかんだ乳首にみえた
なんど壊してもなんど壊しても
修復しようとするのはいつも
あなたのほうで
わたしはいつも恐いよといって ....
悲しいからといって
泣けるわけではない
それはきっと
悲しいことではない
と
信じる力が勝つのだとしたら
わたしたちはひどく不幸だ
いつからわたしの手は
....
切なさにほだされて
歩けなくなる夜
誰かの幸せを唐突に願ってしまう
たくさんのなぜは消化されるはずもなく
刻々と恨みへと姿を変える
私はたくさんの夢を抱えて
たくさんの愛を抱えて
たくさ ....
澄み切った青に目を洗浄したくなる
一緒にいたい
その言葉の所在を
水溜りに映った景色の奥底まで生き埋めて
朝がちゃんと訪れるようにと
祈りだけを外気に沿わす
私もあなたも
肌色でした
....
母はいちごの好きな父が好きで
いちごが好きでない父が好きでした
コーヒー、
それですべてが帰ってゆく
差し込む西日
差し込めなかった何かがあったことを
誇りに思う
ガト ....
この世界から酸素が消えて
川と水のない地球に
酸素ボンベが取り付けられ
全てが生かされ
全てが許された
そんな末日にも
この部屋の音楽は流れ続けるんだと思う
さらに過呼吸がちな私に
あ ....
空でばらけたピアノ音
ひとつの音からさみどりの雨たち
愛したその指で描かれた
もう会えない
朝色が鎖骨の赤をカモフラージュする
蜂蜜酒に光
フローリングに落ちた黄金色
染まる猫の ....
八時、駅に
そういえば昨日はずいぶん言葉を素粒子に引き渡したな、
そう思った後、紛れてゆく私の煙
冷蔵庫の開く重低音
ただいま、
ソーリー、と軽やかにマルキューを見上げる外人さん ....
朝 曇り
この窓はblue
寂しくなる、
そうして一言は部屋に染み渡ったのでした
こうしてあのときの一言が
雨の日の漣みたいに
交差点を傘が彩り
沈黙はいつもこうしてこの街を ....
言葉の無さに落胆し 朝
早熟なインクの匂い
誰かの朝刊の紙面が
今夜は雨が降るという情報を私の頭に置き去った
いつかの記憶の隅でステンドガラスが少し光る
垂れ流したミルクのように走り抜ける電 ....
ひとり
朝の駅
ぽつり
ひかり
カーテンが優しく包む
私は優しく包みあげられた歌をうたう
細々とした生きる音の息吹
生きていてほしいんだ今日 きみに
今朝の新聞は白紙であった
そして
少しのポエムが余白をさらに白くさせていた
誰も何とも向き合いたくは無かった
あるいは
とても向かい合いたいという気持ちが
無力さあまりの孤独を超えていた
....
私の前には先生が歩いていた
あの角まで あの角曲がるまでに
奴をどう調理してやろうか、
そんなことばかりが頭を滑走
肩越しに見え隠れするオレンジを睨む
舞い散るチョークの粉は美である
どう ....
鳥が羽を震わすリズムに合わせて
もう何度も見送った
じりじりと時を告げるメロンソーダの気泡
朝からは早速 猫が喉を涸らして狼狽
静けさのあまりに
静けさを這いながら
この部屋を伝う一定 ....
朝、鳥
群れが
一匹の鳥がついていけないでいる
どうしても次のピースは
此処でなくてはならない
気が狂いそうになる
そして夕暮れ時に描いた水の入ったグラスは
描き終えてから
ほとんどが ....
微光する灰皿に視線を落とし
きつく反射するレモン色が
まぶしい
そういえば
いつもこうやって
うずくまり笑った
静か過ぎてずっと
目覚まし時計の音が耳を触る
私が詩をかけなくなって ....
言葉は研ぎ澄まされてやがて空になる、という迷信は
いまだ空を知らず
飛べずにいる
....
なんていうか、現フォはやる前はなんかいやだった。
知っている人の詩をよめる分にはいいけど、自分がやるとなると、んーという感じだった。
けど、やってみて思うことがある。
今まで知らなかった方の作品 ....
西日が記憶を泳がせる
夕刻
走る246
たとえば
高架下の隅っこで
あなたと膝を抱えうずくまって
いずれ
ふたりで金の粉になったとしても
私は、私として生きる勇気が
あれば
と、ひ ....
この街にも星はあった
どこか
小さな頃の痛みにもそれは似ていて
それでいて
世界中の貧困と苦悩と悲しみがどっと流れ込む隙間はなかった
-b±√b2-4ac
a=――――――
....
日は{ルビ翳=かげ}り
見上げた月は幾分か{ルビ朧=おぼろ}で
乳白色の湯船から浮き上がる手は
もう
あなたの手か 私の手か
わからないくらいに
溶けていた
わからないだ ....
あゆみ
ミートソース
スカート
鳥
輪廻
猫背
絶対忘れないわ、
忘れないわ
スカートがゆらり
落ちた影とコンクリの狭間に
そっ ....
金の鱗が這って朝の空を流れて
電子レンジの反復音が忙しなくこだまして
なんだ 世界の終わりを告げる鐘ってこんな感じかもな
吐いた息は規則的に白く色付き
目に見える心臓として
生きる ....
笑わないで聞いてくれる?
例えば
不規則的に唸る換気扇が
この世の終わりみたいな音を奏でても
それに怯える私はうずくまってコーヒーを飲み明か ....
明日は我が身、
{ルビ認=したた}めた脳裏に
父と母の喧騒と
踏み入れられなかった襖一枚と
ぎりぎりの強さと
泣きながらくねらせた騎乗位と
青い夜が届けたシンナーと
守り抜いた大切でない ....
西日は傾くばかりで
傾いていた人らはそれをみてさらに傾き
結局はみな平面へとブレンドされ
じりじり沈む夕日を片手に
それはそれは玩具を手に入れた子供みたく
みな
愛しきひとを ひとり
空 ....
今日が死にゆく2時半
あなたの残した
フレーズ
フレーズ
フレーズ
”人は死んだらどこへゆけば ....
もう二本の指はたらりと垂れ下がっていて
それでも狂気は青々と垂れ流されている
よって、
手元には一本のペンと
鳩は羽をばたつかせるであろう
明日は晴れだ
あらゆる所在なら此処にある ....
猫みたいだ、って言うから
猫みたくしてるのに
空に見える猫の引っ掻いた爪痕まで 届きそうにないの
指は折ればただの飾りになるわ
言葉は書き残さなければ詰らぬ伝記にすらなれない ....
許せなかった、
許し合う必要なんて
もう
持ち合わせていないのだけれど
大切なものはいつも
否定することでしか
息の根を止めれず
見上げたあれが
サテライトでも、星でも、
ひ ....
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