懐かしきは
クロゼットの奥に仕舞われて
ナフタレンの臭いを染み付かせた
紺色のセーラー服
二十歳になる
つまらないワタシは
白いハイソックスはもう履かない
紅いスカーフも結びはしない ....
わたしが詩を描く時
そこには何も在りはしない
澄んだ青空に浮かぶ白い雲
ぷっかり浮かんだまぁるい真昼の月
春を告げる鳥の囀り
発情期間際の赤ん坊の泣き声のような猫の声
アスファルト ....
くたびれた黒猫
薄汚れた街のすみっこで
寂し寂し{ルビ寂し寂し=さみしさみし}と鳴いてます
くたびれたダンボール
解れたタオルに包まって
寂し寂しと泣いてます
ラブホテル街のネ ....
ど:どんな時でも
こ:困った時でも
で:デートの時でも
も:ものたりない時でも
い:いつでも
っ:ついてって
し:幸せいっぱい
ょ:寄り添うよ?
黒い喪服の人たちが
ぞろりぞろりと列成して
まるで蟻の行進です
白い棺は雨に濡れ
土手の死人花は鮮やかです
黒猫がにゃぁと一鳴きし
遺影の写真の主は笑っているか
いや、いまい
....
さくり 足音ひとつ
さくりさくり 足音ふたつ
さくりさくりさくり 足音続いて
さくりさくりさくりさくり 白い雪原に足跡よっつ
ふわり 真綿が降ってきて
ふわりふわり 掌の上 ....
空が白んで、今日も一日が始まります。
有機物であるはずのわたしはまるで無機物のように
さしたる感慨もなく、ただ白む空を眺めます。
雀が一羽、飛び立ちました。
白んだ空が、眩しさ ....
ポロリと涙が一滴、
黄色いレモンの上、
滴る果汁は酸っぱくて、
まるで今のわたしの心のようだと、
微苦笑し、
酸っぱいレモンの果汁を一舐め、
やっぱり酸っぱさに目を細め、 ....
私は常に仮面を被って生きている。
えへらえへらと笑うことで傷付くことから逃げている。
弱い私は距離を置いて他人と付き合う。
他人へは深入りしない、他人を懐に入れたりはしない。
....
月明かりゆらゆらゆれて
シーツの波間に埋もれた私は
うっすら舟をこぎながら
懐かしい歌口ずさみ
夢の旅路へと出掛けるの
あの人が待つ、遠い彼方へ
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