手にとって
読み返す葉書

紙の山に埋もれていても
あなたの文字は
見つけられる
その文字が
私を君と呼ぶ

綴られた言葉を
私はきっと
諳んじてしまう


遠く失った恋が ....
むこうの山の町あかり
ひとつ、ふたつ ふるえている

星が 落ちてきたのだ
夜になって、ここまで下りてくるのだ

今は遠い、大切な人の 
あなたの 部屋のあかりにも 星が落ちた
私はこ ....
放課後には少しはやい 午後
夏の始まりを
逃がさないように
自転車同士
つないだ手
ふたり 風になって

長い長いお休みは
もうすぐそこ
追いかけるように
でこぼこ道
スピードを ....
川のむこうにいる君に
小さな僕ができること
ほんの少しでも あるはずだ きっとあるはずだ
だから僕は叫ぶから 君は笑ってもいいから
どうか 声だけ とどきますように

生きてるだけでいいじ ....
旅立つ日の前は
あなたからたよりが届く
あなたが無事に帰ってきたい理由は
唯一つだから
私に「行くよ、」と
祈りのように告げていくのだ

私は願をかけてあなたを送る
きっと無事に帰って ....
姪がうまれてきた日
生まれてきてくれてありがとう、こんな喜びを運んでくれて
と、姉の姑さんが言った
生まれてきた子は、今二歳になって、私の名前も呼ぶようになった
こんなにも愛されて生まれてきた ....
ひきはじめの風邪と
冬の雨
足元の雪氷

淡い恋をしています と
誰に告げよう

おわるために
生まれるわけではないけれど

指先をゆっくりと冷やす
雪氷よりも
はかないと 知 ....
モノクロームの記憶
あなたを待った 冬の陽だまり
夜の都市が浮かび上がるまで 何をあんなに話していたのか、
もう忘れてしまったけれど
ただ、一言で
胸いっぱい、嬉しかった あの頃


 ....
逢いたい、と
喉が呟く
けれど。
誰にあいたい、のか
わからない

私は一体だれを 忘れてしまったのだろう



あなたをなくした
景色の中で
私も風景のひとつとなり
日々を ....
葡萄の葉陰に{ルビ抱=いだ}かれて
青い果実のひとふさは
日ごと重くなりました

花びらのかわりに
熟れた種子をいっぱいにして
向日葵は皆うなだれました

高い空
すうと流れる
赤 ....
ずみの花が咲いた
夜にかくれて ひとつ、またひとつと 
ふくらんでは夢のようにひらく優しい花よ

ずみの花が光る
風を香らせ たわわに揺れる
蜜蜂達が 遊ぶ梢に
私も腕を拡げて 飛びたい ....
湯気に包まれた
身体から流れ 流れ落ちていく
私のすべて シャワーに溶けて
生まれ変わる お月さまのように

もしも このまま

魚になって
排水溝へ吸い込まれ
名もない海に
泳ぎ ....
夜をこえて 夜空を駆けて
眠るあなたのうでのなか 忍び込みたい

あなたの見るゆめ
金の砂漠 蒼の水底
耳をすませて
私にきかせて
ねむるあなたのそばにいるから

明け方のそら  ....
雪が降る
青くて暗い つめたい世界
ゆきが、つもる
世界中の亡骸は声も無く
指を、まぶたを白く埋める
墜落した星の最期のまたたき

時が止まる
ときをとめた
どうか、このまま
声は ....
朝か、もうすこしあとにおきだし
パンをたべ
仕事をし
お昼をいただいて
掃除や仕事をし
たいへんおなかが空き
夜ご飯を皆で囲んで
寝る前までに
いくつか日々のことをこなします

私 ....
こんにちは アブラムシ
あなた何歩でこのルーズリーフを横切れるかしら
ツノをふりふり おしりふりふり

行っちゃうの?アブラムシ
窓を見つけたのね
透明の翅をもじもじして ぱっと消えた ....
ゆらゆらかげろう 
玻璃の向こうに 
柔らかき草萌ゆる 
丘、ありて 
音もなく 風渡る 景色に 
あきもせず 
遥かお山はぼんやりと 薄蒼く 
頬杖つく 
椅子の背は 
しっとりと ....
とおいひの
うたになまえをあげましょう

ながいこと
おまえさまの 「な」をしらなかったね
はじめまして、なつかしいうたよ

ひとひら
のーとの「きれはし」にやどっておいでだね
はな ....
白くうずめられた谷川へ
舞い降りる
まだ浅き春の 雪になって
私のほほにふれてください

いま 
瞳に映る美しいものすべて
あなたのものに


やさしくふきぬける
風のよな
寂 ....
壊れた時計をなおしていたら
ふとしたことで けんかになった

あなたは時計をばらすのをやめ
きちんとねじをしめなおし
机にぽいと置いたのだ
わたしはそれを手にとって
いじくりながらそっぽ ....
ほう  ほう
風が鳴いてる
シグナルはしずかに震え
ぽつり ぽつり
話す声がとぎれ
遠い踏み切りから
鐘の音が  ただよい
届かずに消えゆく

銀の車両は
鐘の音のな ....
傘もささずに駆け出した 
胸に 弾む雨 あなたとの出逢い

秋は深まり ひだまりのぬくもり
やがて移ろい いつしかたよりは途絶えたまま 
春を待つ 心に 訪れた小鳥のさえずり

 この街 ....
若葉に抱かれ
ひっそりと眠る
ぐみの実

指で触れる
ざらりとした果実は
甘くて苦い くちづけ

次の春には芽吹けよ、と
その種子を天へ飛ばそ
春風よ
月の優しさを知る
アーモンドの
ほころんだ花びらを そっと波間にうかべ
遠い異国へ 運んでおくれ
涙色の伝説 
その震える肩を包んでおくれ



歌えよ 鳥よ
闇をつらぬ ....
お池の向こうにみえていた
小さな山は 削り取られた
星の数 名もなき命の ゆりかごが

その上に新しく建った家で、子供が育つ
私も そのようにして育った子供の一人です

祈るよう ....
おなかのすくおと ぺこ、ぺこりん

からっぽの胃から 
じわじわ かなしみが溢れ
ずずんと 体にのしかかる

ひとことごとに へってゆく エネルギ
ひとことごとに ふくらむ かなし ....
うるうると  ながれては  こおりにかえり

うるうると  みたしてゆく

つちを  かぜを


たちのぼる霧は
こおりをむすび
春待つ木々を
冬に還す


光 ....
空の青さ映して 
冬枯れの山
麓に霞をひいて
遠い深山

厳しいことよ 優しいことよ
木の葉踊る
お日さまが割れて
少しずつ、欠片がつもった
吹き散らす風は
音もなくこの路を滑って、遠い天を仰ぐ
銀の翅 開いたら秘密が洩れるよ
注意して。

繋がった全てが、消える前 ....
この道を知っている
雨の夜 冬の朝

通り過ぎる面影は 息をきらした 私
あなたの胸に 飛び込むために

今は静かなドアのむこうに いつも
貴方がいた
抱き締める腕があった

今日 ....
紫翠(38)
タイトル カテゴリ Point 日付
ガラスの葉書自由詩307/12/25 1:50
星のあかり自由詩407/6/30 17:21
夢の世界の住人たち自由詩4*07/6/28 16:00
アウトサイダー自由詩4*07/6/20 18:51
旅立つ人自由詩2*07/6/9 3:30
姪がうまれてきた日未詩・独白3*07/4/2 15:33
ゆきごおり自由詩6*07/2/17 23:57
四季彩自由詩3*06/12/11 11:45
自由詩5*06/9/14 1:21
カラコロクル自由詩12*06/9/8 23:44
ずみ自由詩3*06/6/16 22:10
シャワー自由詩2*06/5/31 1:50
千夜一夜[group]自由詩6*06/5/29 15:09
深海の詩(うた)自由詩1*06/4/25 22:59
たのし未詩・独白3*06/4/25 1:46
アブラムシ自由詩3*06/4/25 1:20
春の吐息自由詩7*06/4/22 2:07
うたになまえを自由詩2*06/4/18 1:24
流花自由詩7*06/3/30 1:29
古い時計未詩・独白4*06/3/29 16:10
発車前自由詩5*06/3/15 22:03
春待人自由詩4*06/3/10 4:46
ぐみ自由詩3*06/3/7 23:03
almond.自由詩4*06/3/5 2:51
星のゆりかご自由詩4*06/3/5 1:46
はらぺこのかなしみ自由詩3*06/3/4 1:29
うるうると自由詩9*06/2/28 1:50
自由詩1*06/2/27 0:55
つむじ風自由詩0*06/2/24 20:32
静かな町自由詩2*06/2/24 3:27

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