「――ないのに」
 愛していたんだ、確かに、いつか
 かすんだ想いは、もう輪郭さえ溶けて淡いけど
 でもないていた君の声だけは
 痛みくらい鋭く僕の心に刺さったままで
 何が ....
 生まれてきたいと、彼女が望んだ。
 まだ空一面が青色だった世界。
 それはまるで、月の重力のようにやわらかで、けれど珪石のように尖って痛い、目に見
えるものすべてが水底みたいにたぷんと揺れる画 ....
 僕よりも冷たい君の手。


 
 ここに居てもいいですかと訊いてしまうのはとてもこわくて
 悲しいこたえを知っているような気がして
 言い訳ばかり思い浮かべては
 泣いてしまいそうで

 きっと許されてはいけない、
 何 ....
 例えば、
 降り積もった雪を白い靴で踏みにじる子供。

 例えば、
 大好きだった玩具の名前さえ忘れてしまった少女。

 例えば、
 透明な硝子片の先を細い手首に添える少年。

  ....
 眠りの中で思い出すのは思い出となった未来の景色
 波は雲に砕け水面は空に満ち風の駆ける水底で君は微笑む
 陽炎は光の衣をまとい
 過去に残された思いは忘れ去られた今を抱き留める
 透明な波音 ....
「何を見ているの」と訊いたら、
「夜を見ているの」と君が答えるので、

「今日の夜は綺麗かい」と訊いたら、
「明日の夜より綺麗よ」と君は投げ遣りに言った。

 月の昇る方角なんて知らなくて ....
はゆおりいと(7)
タイトル カテゴリ Point 日付
君の声、楔、直線の言葉を引き抜いて自由詩1*08/4/15 0:09
表題「絵描きはどこかへ行った」自由詩008/4/4 23:57
離したくはないもの未詩・独白006/7/4 23:11
生まれて初めて、言葉に向き合って自由詩206/5/3 14:58
「声の無いこえ」自由詩106/5/1 22:55
「君を問い返すのは海の言の葉」自由詩106/5/1 18:46
夜見自由詩206/4/30 19:15

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