暗闇の中でうごめいている
不可識な渇望が
またやってくる

渇望の重さにうちひしがれるとき
僕は
異形の世界へ下りてゆく

眠ってばかりいる僕の
目蓋の裏には
鮮明な画像が灯ってい ....
切れそうで
切れない夢のあと

僕らの恋愛装置は
発火する

共同幻想のなかを
漂いに漂い

僕らは僕らの
父と母に出会う

リンガとヨー二を一つに抱き
存在の不確かさを確か ....
桜の舞う春の風のもと
初めて出会った君は
もうすでに
大人だったんだよね

夏の灼熱のなか
偶然出会った君と僕
止まってしまいそうな時を
僕はせきたてていた

夏の名残りの秋の陽射 ....
紺碧の広大な海
入道雲の浮かぶ水平線

昼の照射する太陽
夜のほのかな光

海辺のカフェテリアで見た
異国の文字は夢で躍り

ここよりべつの何処かへ
いまよりべつの何時かへ

 ....
秋は深まり沈澱しつつ
冬はしのんで近寄り来つつ
風が吹けば
この季節を経るための
灼けて焦げるようなにおいがする
きっと生き物たちの
魂とはいわずも
肉でも果てるときには
こんなにおい ....
しなしなと
深夜のラジオが
ひなびて曲を鳴き奏でる

くるくる風括る
晩秋は
始めとも終わりともなく

じりじり
砂を噛む
ときの流れのとどこおり

いつともなく
生かされて ....
ちりちりと葉の群れはしる
葉先の鋭角
もろもろの枝らのふくらみ
遠く見ればほうほうと

チクタクと刻む
時は頭脳の産物
はらはらと落ちるもの
地へと消えゆく

目を洗うかのよう
 ....
九月に
花咲くものもあるのだ
愚直な風と雲と
肌さわる空気

苦しみのさなかにもある
はたとした気づきの殴打
群青の宙の下
張りつめる呼気

言ってしまうと
軽々しく浮いていく
 ....
切迫した最期の
夏の到来は
記憶の中でぶよぶよしつつあって

ゆっくり弛緩しつづける
こよりみたい
つづく夏を重ねるたび

もはや静止でも
昂ぶりでもなく
無為のまま指先にふれてる ....
あつくこく
たかぶりゆく盛夏

うごめき
上昇気分

厚く濃いこの空気の中ひそやかに
偏在しているエアポケット

ひとり
静寂の中にとりこまれて

ぽたりと汗のひとしずく
さ ....
この夏が始まる頃に
僕にはわかっていたんだ
僕には二度と
夏がやってこないだろうということを
僕は知っていたんだ
だから僕は
すべてをほうりだしたいと思いながらも
すべてを見届けるために ....
ヒルはヒルで
冴えた空
さらの白い厚い雲

ヨルはヨルで
深き濃紺
これは今日だけまるく満月

くり返しくり返す
するとするどく
光っている、見えないものが

見得ないけれど
 ....
ぼくはただもう
汗をかいて生きよう
排ガスさえ流れてこないよ
よどんで静止する空気のなか
一瞬!の風を
ヨットの帆のよう
全しんをぱんと張って受けている
止まっては溶けつつ
ひたすら冷 ....
むんとたちこめる
空気の塊
固まりをほぐす
風のかざめき

きゅんとつきあげる
胸裏の高なり
耳鳴りをほぐす
指のゆらめき

一筋の広大な
天空の川のように
星ぼしはかがやく
 ....
小さな命が生まれた夜
雨が降っていた
小さな命が生まれた夜
風が吹いていた

遠くで新しい
光が生まれて
此処では静かな
灯りがともっていた

自滅志向の矢印が
行き場を失いさま ....
あるスピードをもって
街の夜明けをめぐっていると
辻つじを曲がるたび
まあるい月が現れては消え
消えては現れるのだ。
四角い建物の影に、
あるいは影から。
黒い樹樹のあいだに、
あるい ....
念のために確認しておく
モーソー
それはある
内容はない
カップラーメンのから
空っぽのビールの缶
それはある
それらに手はない
足もない
カッターナイフはある
ナイフで鉛筆を削る ....
腕時計をはめた手は
自分の手に見えない
よく働き
よく錯綜する

身体化すらした一個の腕時計を
失くしたとき以来
自肌は時もなく
目は手を見失っていたのだ

手は遠い
手が遠くあ ....
鳴き声を発するものは
こちら側に
くるだろう
彼岸は此岸
此岸が彼岸に
いつもなり得る

凛凛と
ぼくらはいつでも
立っているだろう
餓つえて流す
汗も涙も滴るとして
平和より ....
ガリガリとおく歯で
氷を砕く

  口中の熱が
  じゅんと音をたてる

キリキリとこめかみ伝わる
頭蓋の共鳴

  がらがらと崩れ去る
  一本ずつの線

ぎりぎりの目線で
 ....
花は咲かず
風は吹かず
空は暗やみ
ぼくはひとり

いやひとりではなく
ぼくの夢を行き来し
ぼくを翻弄するシャドウたちの
愛すべき
憎たらしい口づけ

ぼくの前に道はなく
ぼく ....
進みゆく、僕らは
どこへ?
生きてゆく、僕らは
死へと?
素晴らしい、か僕ら
前へ、前へ
僕ら実は笑わない
笑わない、僕らを
なにが?

笑いながら僕らの内部から
ななめうしろに ....
曇天をかぶって
つらつら歩く
濡れたアスファルトの
匂いに包まれて

暗澹たる世界の
ぐらぐらたぎる地
触れたあしさきの
熱く勢いのある

汗ばむ肌に
風のかがやき
麦秋の黄金 ....
一枚一枚
葉っぱをむしりとるように
ひとつひとつ
約束を破った
一本一本
虫の肢を引っこ抜くように
ひとつひとつ
約束を破っていった

それは自らも止めようない
虐殺であった
約 ....
そして僕らは花になる
かぜをこじらせた
こけそうな道
鼻緒もきれそうな
しゃっくりの道
そして僕らは花になる
ぐるぐると
小さな羽虫が
無意志に飛んで
清楚な花びらも地に落ちる
毒 ....
見捨てられ
見守られている
みなしごのはだしの歩みで
ちろちろ歩く
ああ僕らは本当に
時代の縁を歩いてきたんだな

そして時代という言葉が
うすっぺらくなった時代を知っている

人 ....
しろく
白濁する身体

血管の赤く
くろぐろ流れる日々

小さな小さな
ほとんどミクロの

暗点より
無理から繰り出される

悲劇
ほとんど架空の

白濁する日々が
く ....
遠く鳥の飛ぶ音
離さない
僕の耳は手のように
つかむ動きをやめないのだ

地球中の血を力にして
叫ぶ
喉からは出る手のように
何かを欲してやまないのだ

続く
つづらおりの道
 ....
しろい花
きいろい花
むらさきの花

白い作為
黄色い極限
紫の無意識

対象知らず
しるしなき
供花は咲きほだされて

立つ雲
しずかなる
狂歌は所在なく奏でられ
日々、邁進するヒトの社会
縮こまる手足を折り曲げて。
ひびわれる窓ガラスの何万枚
千千にちぎれる宇宙の意が儚げで

ただれるような煩雑さの中
かがんで感覚の確かさを嗅ぐ。
唯、意志する主 ....
シホ(38)
タイトル カテゴリ Point 日付
無知の世界自由詩007/10/7 23:45
夢のあと自由詩007/10/1 14:04
時を刻んで自由詩007/9/23 1:28
海とプランクトン自由詩107/9/14 16:11
冬が来る日の匂いと笑いと自由詩406/12/3 2:34
波 濾すからだ自由詩206/11/25 1:43
紅葉自由詩106/11/17 21:39
九月自由詩206/9/12 22:58
夏の晩年自由詩106/8/27 0:32
盛夏の中の静止の音自由詩106/8/17 20:20
僕にはこの夏が自由詩106/8/12 23:29
まわる季節だまる夏自由詩206/8/8 0:17
汗をかいて生きよう自由詩406/8/4 23:24
七月自由詩306/7/28 23:26
誕生未詩・独白006/7/19 19:52
自由詩206/7/11 2:51
在ると無いにおける自己確認自由詩406/7/4 23:18
腕時計自由詩106/6/29 23:52
願い自由詩306/6/27 23:48
氷片自由詩006/6/26 23:23
自由詩106/6/25 0:30
鳥たち自由詩006/6/23 21:49
六月自由詩206/6/22 3:07
約束自由詩306/6/21 2:57
僕らは花になる自由詩206/6/20 2:38
行進の果て自由詩206/6/19 2:22
最後の痛覚自由詩106/6/18 2:11
僕は立つ自由詩406/6/17 1:53
花の色 雲の影自由詩406/6/16 1:33
宇宙の大小自由詩006/6/15 1:14

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