暗い茂み
あんぐりあいた夜の口
静かに入れば夜の国へとつながっている

夜の国はほんとうの国
隠していたことがはだける
恋人たちは夜の前に身体をさらけ出し
闇の色に溶ける

寂しい者 ....
矩形の渓谷の一角に
わたしのオフィスはあり
黄昏時にはきまって
調子の悪いコピー機が
崖を降り始める
報告書や小さくて地味な高山の花が
つまれないよう
処理されて
岸壁は
お客様の飲 ....
ささやきも
ふるえも
ゆらぎも
全ては風のこと

若木のやわらかい枝に
鳥が休む
虫をついばむ

ついばまれた虫たちは
同じように
樹液を吸い
葉を食べる

葉は風たちにも ....
{引用=夜}
天球儀まわる
透明に

川底をめぐる
闘魚の輪郭

壊された客間のドア
こぼれる鍵盤

遅すぎた伝令
到達しない 手

灯台の照らす
静かな波間

幼い寝 ....
新しい朝の
涼やかな匂い

穏やかな川原の上空
セキレイの鳴き声

ビルの隙間を焦がす
夕日の炎

穏やかな風に
ふるえるまつげ

夏至近く
蜜蜂の金の羽音

葉の露をじ ....
一匹の昆虫
一枚の葉

それだけの世界
それだけでおしまい

卵からかえった時のことを
思い出していた

すぐそばに食べ物はあり
何も問題はなかった

ただ生きて死ぬだけだと
 ....
青いガラスの一枚一枚
次々とかわりゆく風景

海は手を伸ばし
空をつかもうとする

無駄だと思える争いや
流血がいつもあった

生命の循環だとしても
雨や雲のように穏やかではなく
 ....
激しさを押し隠したまま
君は黙る

黙っていることの美しさ
手は何かを引きちぎる

あの湖に落ちていた丸いもの
半円のもの
傷跡のようなもの

雲は何かを覆ったまま
誰にも見せま ....
光が差し込んだ喉
の奥から

羽ばたきいずるのは
鳥と
天馬

赤ん坊の開いた口から
さまざまな果実があふれ
母親の乳房に触れる

午後、空は歌いだすのに
耳の聞こえない老犬は ....
白いあじさいは天使の繭

喜びのうちに生まれるので

雨を涙だとは思わない

ちいさな雨粒は

神様のみ言葉
夏がはじまる

簡単なこと

色画用紙をぺらりとめくる

緑の次は青

それくらいの
温泉宿はがらんとしていた

白く濁った湯が注ぎ続ける

昼に聞いた滝の音

湯気の向こうに

千切った半紙のような月
八月のようなあなたの

意外なもろさを知った

きちんと半円に盛られたアイスクリーム

くちのなかで

はかなくくずれてゆく
ナフタリン

遠い思い出

六月の衣替え

土曜日に雨

二人で聴いたレコード
三度減圧を繰り返した

潜水夫の足取りで起き出す

昼間はほとんど何も見えなくなった

月や星は

正午にも光っているというのに
もうどうせ間に合わないと知って

少年はランドセルを鳴らすのを止めた

土手に咲く花々の名を

どれひとつとして知らない

草笛はこんな風に鳴らせるけれども
昨晩降り積もった雪が

曇り空を白く照らしている

駅まで続くたくさんの足跡

土くれが顔を出し

そこだけが焼け焦げのよう
南から暖かい風が吹く

北欧のラベルがついたブルーベリージャムの瓶

中身は残り少ない

ジャムは雲のパンにつけて食べた

洗ったシーツがもう乾いている
エスカルゴ、お前から風が吹く。
かわいらしい風が。
それは兎の足あと
恋人の名前
花火を見つめる子供のかお

エスカルゴ、お前の足あとは銀色で細い。
そんなお前は雨を呼ぶ。
たどたどし ....
ちっともじっとしていない翅

マカロンのような夢の中で

お前が歌うのを聴いた

ピンで止めてもいいけれど

罪はもう足りている
うっすらと閉じた

まぶた(まつげ)から

真白き炎

ああ、彼女は

恋をしている
今日

兎を一羽

ころせた

繋いでいくいのちは

薔薇の鎖よりも痛い
木造の小学校

椅子も机も

飴色 栗色 焦げ茶色

耳をすませばチャイム足音

今は夕燈だけが座る
空があんなに高い

高くまで煙

樹々は赤や{ルビ橙=だいだい}に燃え拡がる

燃える燃える

火葬場で一服
サキスフォンを右に

極楽鳥を左に

閉じ込めている

晴れた夏の午後開けば

波は歌い始める
私は・・・・・
の後の言葉は全て


水鳥が銀に光る小さな魚を捕まえて
飲み込んだ
ぴちぴちと跳ねるそれを

雲はまつげを伏せて
泣こうとしている

飲み込んだ言葉と

 ....
君のふっくらした胸を
見つめてばかりいる僕を

咎めない
薔薇の棘からまるままにまかせる
ほそい手すりのように

僕は右手でぎこちない
手で君の胸を
見つめてばかりいる

青い草 ....
眠くて山が降りて来ている

夕立の気配匂いがする

セミの鳴く声

寂しい方へ

通せない

トンボ

切り開かれた山々の
雑草が呻く

昨日は嵐で倒れたが
今日は人の手で刈られる

焦って道を行く若者

弾かれた空の青
その彼方

若者は同じところをくるくると歩いている
気づく ....
深海に降り積もる

白い白い亡骸

音も風もなく

海面に溶けゆく白と白

波は高さを増して
曠野(47)
タイトル カテゴリ Point 日付
自由詩209/9/7 19:57
渓谷自由詩3*09/8/27 0:10
自由詩109/8/27 0:08
夜と昼自由詩109/8/20 9:41
自由詩0+*09/8/19 13:54
自由詩209/8/19 13:53
自由詩109/8/18 10:11
自由詩109/8/18 10:00
こえ自由詩009/8/18 9:51
白いあじさい未詩・独白307/6/25 13:26
[group]未詩・独白407/5/31 10:18
温泉宿[group]未詩・独白407/5/25 0:22
八月[group]未詩・独白207/5/25 0:21
六月[group]未詩・独白207/5/23 12:25
正午[group]未詩・独白307/5/23 12:16
草笛[group]未詩・独白607/5/18 12:20
[group]未詩・独白107/5/18 12:16
南風[group]未詩・独白207/3/20 13:54
エスカルゴ未詩・独白207/1/22 0:30
[group]未詩・独白106/12/26 23:16
[group]未詩・独白206/12/26 22:51
いのち[group]未詩・独白006/10/21 1:37
椅子[group]未詩・独白106/9/18 23:16
[group]未詩・独白1+06/9/3 23:34
[group]未詩・独白306/8/31 13:41
嘘つき未詩・独白106/8/31 13:18
白い脚未詩・独白106/6/28 16:52
遠夏未詩・独白206/6/28 16:37
上空未詩・独白006/6/26 22:16
[group]未詩・独白206/6/23 13:27

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