いつの間にか
和らいだ青色に
滑るように重ねられた
白色が
ゆっくりと
南へ流れてゆく
ああ やはり
とどまることは
許されずに
見上げても
見下ろしても
吹き抜ける ....
読みかけの本が
テーブルの上で
風を受ける
ぱら ぱらぱら
微睡みの中から
引っ張りあげるには
物足りなかったようで
ポットとティーカップを
そっと置いて
鼻をつまもうか ....
たまご
ようちゅう
さなぎ
うか
烏揚羽
とまった
ゆびさき
あけた
まど
ゆらっと
かしぎ
ひらっと
はためき
さっと
こうか
ぱくっと
たべた
....
僕は
間違っていたよ
両手を掴んだからといって
それが君だったという根拠を
説明することなんて
できやしないんだ
どこから自惚れていたんだろう
向き合っていた時には
見えな ....
右足の小指の爪の色だとか
立った時の膝小僧の形だとか
傾げる首の角度とか
どうしてこんなに気になるのか
名前を聞いて
納得したんだ
僕は
二十年前の君と
こうして
また
出 ....
共に過ごした時間を
一人で抱えながら
可能性に縋っていても
現実は
色褪せていくだけだから
晴れの日に
風に晒して
綿毛のように
落下傘をふくらませて
地平線の向こう側まで
飛 ....
硝子越しに見た世界の
何かに 憧れたのか
足下に限られた世界の
何かに 追われたのか
求めた水場に
たどり着く前に
力尽きたことは
確実で
黒炭に足が生えたような姿は
かつて ....
信じたいと思えば
それだけで強くなれる
聞く耳を持たないのではなく
揺るぐ理由がないのだから
期待ではなく、
見返りを求めず、
注ぎ込む物。
求めて欲しかった
それでだけは ....
耳を澄ましてしまえば
その囁きが
意味となって
ぶつけられるから
凪いだ海を見つめても
山の端の落日を見上げても
溢れるように
言葉を紡いで
狂ったように笑って
始まりばかり ....
1 2
0.12sec.